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新しいアイデアを思いつきました。 [科学ネタ]

最近、新しいアイデアを思いつきました[ひらめき]
電車に乗っておりましたら(笑)

まだ、それでうまくいくかはこれから色々数式をいじらないと
わかりませんが
私の研究の結構難儀な部分に風穴をあけられるかも知れません。

まあ
こんなことを言っていて
やってみたら
新しい問題点が見つかったり、見当違いであることも
ままあるのですが…

私が本当に天才だったら
こんなに悩みませんし、先もぱっと見通せるのでしょう。
それが出来ないので
極めて平平凡凡なのであります。

ただ、もしこれがうまくいけば
世界的に超弦理論の大きな難題と言われている問題が
解決できるかもしれないんです。
やってみる価値は十分あるのですが
私には時間がないので時間がかかります。

若いころでしたら寝食を忘れ
学校を全部休んで
今なら仕事を全部キャンセルして
一カ月くらい問題解決に集中するのですが
今はそういう気持ちはありません。
知りたい、という欲望をある程度我慢できるようになってきたんです。
別に人より早く解きたい訳でも
どこかに発表するわけでもないので
のんびり小説を読むようにじっくりと楽しんでいきたいと思います。

ただ…
少し今ある数学は不便なので
何かいい数学を考えるか
誰かからアイデアを借りることになるとは思います。
その段階にまず行くかどうか
わからないのですが
ある山を越えれば、その後の道は結構見えているような感覚があります。

理論物理をやっていて
今、この瞬間が一番楽しいです。
解けるのか解けないのか
わかりませんし。
ワクワクします。

なるべく暇な時間を使って
問題に挑もうと思っています。

因みに超弦理論の研究者は皆
ラーメンが好きです。
冗談ですが(笑)

なぜ超弦理論なのか [科学ネタ]

なぜ私が超弦理論の研究に至ったか
これは授業でよく質問されますが
いつも説明する時間がないので…と断ります。
今日はこれを簡単に書いてみたいと思います。

私が学生の頃は超弦理論は言わば
オカルト、宗教のようなものだと言われていました。
こんなもん研究してたら、おかしな人間だ
そういう考えが主流でしたし、私が論文を高校時代に書いたものも
数学的には正しいかもしれないが
それは空理空論だと一笑に付されました。
まず、まともに読んで下さる教授は日本にはいませんでした。
しかし…
時は流れ
最近は空前の超弦理論ブームと言っていいほど
超弦理論はもてはやされ
超弦理論こそが究極の理論だとも言われ始めています。
実験でもヒッグス粒子が見つかったり…様々な超弦理論への道が
開けてきていると思います。

私がこの理論に取り組んだのは高校一年の夏でした。
一般相対性理論が数学的にやっと納得がいったくらいの頃です。
ふと思ったのです。
ニュートンが絶対空間、絶対時間をとなえ
(今でも時間は過去から未来へ向かって
流れていると思うのが一般の人の感覚かもしれませんが
それはアインシュタイン以前の感覚ですので、そろそろ改めたほうがいいです。)
それをアインシュタインが、時間と空間は相対的である。
つまり観測者によって時間や空間が伸び縮みするということが示したわけです。
そこで、今まで過去から未来へ流れている時間は
人間の単なる思い込み、そう感じる錯覚なのだということが示されました。

その話を理解した私はふと思ったんです。
時間が錯覚ならば
空間も錯覚みたいなものなのではないか?
これが高校一年生の私が感じた最初の疑問です。
私たちは現在のところ時間一次、空間三次元
つまり時空四次元で生活をしていると思いこんでいます。
それではその証拠は?ということを考え始めるんです。

この思想は中学三年生の頃に読んだ
デビッド・ヒュームの革命的な議論に端を発します。
ヒュームは懐疑論を唱えました。
私が哲学の本を一冊推薦しろと言われれば彼の本を推薦します。
簡単に要約などできないのですが
簡単に書いてみますと
私たちが本当にこの場に実在するのかという議論です。
私が実は水槽の中の脳で、様々な出来事、感情は電気信号で制御された
全てはヴァーチャルな世界だとしても
全く矛盾なく全てのことは説明がつきます。
私が確かにこの世界が現実のもので、現実に存在するということは
どのようにして示せるでしょうか?
そういう問題をヒュームは投げかけるのです。曰く我々は知覚の束に過ぎないと。
また、科学で使う因果関係もヒュームは人間の心理的素因に過ぎない、
つまりある事実があってそこから次の事実が起こる
その事実同士は真であっても事実→事実の
→の部分は真でもなんでもなく
人間がそう思いたいから思っているだけだというのです。
これは科学者にとって非常に鋭く、痛い指摘です。
人間は前後関係をすぐに因果関係だと誤認する癖があります。
例えば
昨日勉強しなかった→今日の試験が悪かった
という時間的な前後関係があると
すぐに今日の試験が悪かったのは昨日勉強しなかったせいだ
と因果関係で結びたくなります。
それをヒュームは「ある人がそう思いたいだけ」で
何の論理学的適正さもないのだと切って捨てるんです。
それはその通りです。
今日の試験が悪かったのは
本当はもっと前から勉強が足りなかったからかも知れませんし
当日コンディションが悪かったからかも知れませんし
偶然苦手分野が出たのかもしれません。
その原因を「昨日勉強しなかった」と決めつけるのは本人がそう思いたいだけ
つまり心理学的素因であって、真でも何でもないんです。
科学は大半がこの間違えを犯しています。
私だって、宇宙の始まりを超弦理論で示せるというのは
客観的に科学的に導出されたものでも何でもなく
そうあって欲しい、と思うからなんです(笑)
客観性を標榜する科学において因果関係というのは基本中の基本です。
その因果関係に客観性など少しもないとヒュームは言う訳です。
冷静に考えてみれば、私たち科学者は
この原因はこうであるはずだ→あって欲しい、を最初に考えて示そうとしている
わけです。

そんなヒュームの思想を受け
私は空間が時空四次元だというのも
人間がそう思うだけ、思いたいだけではないか、
と考え始めたのです。

また、量子論と相対論をみると
全ての物質は粒子としても波としても振舞います。
一般に小さくなればなるほど波動としての性質が強く出て
大きくなればなるほど粒子としての性質が強くでる。
このことが20世紀にはっきりしたにも関わらず
超弦理論以外の全ての理論は
全てのもののもとであるもの、素粒子などは
粒子であるというのです。
これに私は大きな違和感を感じました。
小さくなればなるほど波動性が強まるのに
究極的に小さい、万物の根源は粒子なの???
これは私には到底理解できません。
またこの無理な仮定は数学的な発散という大きな矛盾を
生み出しました。

ここから私の超弦理論の旅は始まったのですが…
それ以来地獄のような数学の勉強を強いられました(笑)
あるものを追求したい、夢をかなえたい
そういう理想を実現しようとするなら
嫌というほどの単純で苦痛な努力が必要なんです。
これは何事にも言えることです。
努力が楽しい、というのは理想論で
運のいい人はそうなのかも知れませんが
私にとって果てしない努力というのは非常に苦痛なことです。

まあ
こんな結論じみたことをいう私もまだまだ道半ば
宇宙について少ししか
理解できていないのだと思います。
どこまで行けるか分かりませんが
真理のしっぽくらいは掴みたいと思って努力を続けています。

眼鏡の超音波洗浄器 [科学ネタ]

私の唯一の取得である視力の良さも
そろそろ落ちてくると思いますので
最近、移動時間の合間とかに眼鏡屋さんに
入ってみることがあります。
憧れの眼鏡です!
私は進学校の中で唯一眼鏡やコンタクトをしておらず
クラスの中で群を抜いて視力が良かったため
勉強が足りないから目がいいんだ云々
散々言われて参りました。
その時から眼鏡をかけてみたいなあ、と思っていました。
まあ実際考えてみると…
眼鏡をかけて何かをしなければならない
視界がぼやけるというのは非常に面倒な話なのですが。

眼鏡屋さんに入って色々な眼鏡を見ておりましたら
入口付近に興味深いものを見つけてしまいました。
水槽のようなものがあって眼鏡の超音波洗浄器と書いてあります。
こういうものがあるとどういう仕組みかを考えずにはいられなく病気が
私にはありまして、様々な方向から超音波洗浄器を見ていたら
案の定、不信に思った店員さんが近寄ってきました。
ま、まずいです…[たらーっ(汗)]
ただ年の功と言いましょうか、昔ならダッシュ[ダッシュ(走り出すさま)]でその場を離れ
更に不信度アップさせていたのですが(笑)
最近は店員さんと普通にお話して立ち去るという術を身につけました。
店員さんが
「眼鏡の洗浄をご希望ですか?」と聞いてきましたので
大人の対応で
「いえ、これはキャビテーション効果で洗浄しているんですか?
それとも何か薬品を使ってますか?」と質問したところ
明らかに困った顔をして
「は、は~ 中の液体は洗浄液ですが、基本的には普通の水であとは…」
う~ん[ふらふら]
明らかに私の不信度アップです[もうやだ~(悲しい顔)]
「す、すみませんでした」と言って私も急いでお店を出てきました[モバQ]

こ、これが大人の対応か~[exclamation×2]
と自分につっこみをいれました。
初恋の時の告白みたいなぎこちなさですよね(笑)

まあ、でも私なりに洗浄器の仕組みは把握してきました。
あれは単に水の入った水槽の下に超音波発生装置がついているだけなんですね。
それで綺麗になる理由を今から説明したいと思います。
前フリが長すぎましたよね(笑)

今から書く仕組みはあくまでも私の物理学的推測で
もしかしたら実際は化学的に洗浄しているのかも知れません。
ただ、超音波で物理的に何故洗浄ができるのか?ということだけを
書いてみたいと思います。
ポイントは超音波によって圧力を周期的に替えるということです。
水槽には空気の大気圧と水の圧力が下向きにかかっています。
それに超音波で下向きにさらに圧力をかけます。
そうすると瞬間的に下向きの圧力が2気圧以上になります。
次に今度は超音波で上向きの圧力をかけて
大気圧+水圧-超音波の圧力=0で0気圧に近い状態を作ります。
この0気圧が大切です[ぴかぴか(新しい)]
流体は圧力が低くなるほど分子が動きやすくなり気化しようとしますので
0気圧の瞬間に「気泡」がたくさんできます。
これをキャビテーション現象と言います。
そして、また次の瞬間
先ほどと同じように下に超音波で圧力をかけ2気圧にします。
そうすると一気に気泡が壊れます。そうすると壊れる瞬間
周りから気泡の中心に向かって凄い勢いで水が集まってきます。
その水どうしが衝突し、瞬間的に概算しただけでも
数千気圧の力が発生します。
この力が眼鏡の汚れを落としているのだと思います。

なるほど…0気圧を利用した
なかなかいいアイデアだな~
と思いましたが
人としての私の対応は0点でしたね(笑)


学べば学ぶほど分からなくなり、難しくなります [科学ネタ]

私にとって一番難しいものは物理で
一番分からないものも物理なんです。

飛行機は何故飛ぶか?
そんなことは物理を始める前子供の頃は
単純に考えていました。
ベルヌーイの定理によって翼の形の
上と下の空気の流れに差ができ
その差によって揚力ができて浮き上がる。
そしてその理由は翼の後方で等時間で空気が出会うから。
今、考えれば馬鹿みたいな説明を鵜呑みにしていました。

上と下の空気の流れに差ができ
その差によって揚力ができるというのは
「概ね」あっています。
しかしその理由が問題なんです。

あれは確か小学校の時
映像でアクロバット飛行をしている飛行機を見て
はっと気がついたんです[exclamation×2][がく~(落胆した顔)]
自分は飛行機に実際に乗って飛んでもいないのに
とんでもない考えを思いついてしまいました。
それはあの本の説明だとアクロバット飛行なんて
あり得ないということです。

あの本の説明だと
逆さ向きになった飛行機は
同時に空気が翼の後方に着くのならば
羽根の形が逆の為、揚力は働かず
墜落するはずなんです。
更に考えてみると…
適当に作った紙飛行機が空を飛ぶのは何故だろう。
昔あった、ゴムをくるくる丸めて飛ばす飛行機が飛ぶのは
何故だろう、
と疑問に思う訳です。
勿論、そんな疑問を解決することなど当時の私にはできませんでした。
しかし
その疑問をずっと頭の片隅に残しておくということが大切です。
疑問は疑問のままでいいんです。
なんでもすぐに答えを聞いてしまっては思考力はつきません。
これは入試においても同じなんです。

そんな疑問を抱えたまま
五、六年経つと一通り色々な微分方程式等が
解けるようになり、物理学者が作った
「クッタ・ジェコフスキーの定理」などを学んで
飛行機の翼の後ろの縁がとがってさえいれば
クッタ条件を満たし、翼のまわりに渦が生じ
空気の流れに差ができ、揚力を生じ空を飛べる。
ということを数学的にある程度納得することができました。

ここまできて
やっと飛行機が飛ぶ理由がわかった!
と思いました。

飛行機の羽の後ろ側が丸まっている飛行機は
実際に飛べませんし
空気のシミュレーション、実際の実験でも
クッタ条件を満たした渦ができることが確認されています。

はい、これで終わり。

世の中の本等も大抵このような説明で終わっていると
思います。
私が最初に書いた初歩的間違えを流布している本も
沢山ありますし、その他ニュートン力学で説明するものまで
ありますが…
とにかくこれで一応の説明はつきました。
めでたしめでたし[手(パー)]

…と
ここで分かった気になれればどんなに楽か…

…更に物理の勉強を進めていくと
まず自分たちが信じている
流体力学の定理自体の数学的な問題に気づいてしまいます。
ベルヌーイの定理やクッタ条件の問題点といいましょうか、
諸々の条件が
少々おかしなところがあることに気がつくわけです。
大体こんな感じ
で誤魔化している部分があるんです。

そうなると…本当に
「飛行機が飛ぶ理由がわかった」とは言えないわけです。
まあ、大まかに分かってはいるし、実際に毎日鬼のように沢山
飛行機は飛んでいるんだから、気にするなと言われればそれまでなのですが
勉強すればするほど、ものごとの難しさに気づくんです。

これは普通のことです。

少年野球の頃は本当の野球の難しさなんてわかりません。
スランプもありません。
練習すれば練習するほど
試合をすればするほど
野球の怖さや難しさがわかってくるんです。
気軽にテレビ観戦して
選手の悪口を言っていた少年時代の頃が懐かしくなります。
実際に野球をやるとプロ野球は恐ろしくレベルの高い世界だと
いうことに気がつきます。
甲子園にででもプロで活躍できる選手なんて本当に数%しかいません。
その甲子園にすら私は出られませんでした。

あまり深く考えないこと、あまり深くやったことがないと
本当の難しさというものに気がつくことはないんです。

私は宇宙の始まりについて研究していますが
これも考えれば考えるほど問題の方が難しくなっていくんです。
いつも「信じてしまえ」という誘惑に負けてしまいそうになります。
ニュートンが万有引力の公式を発表したときに
それでは、何故万有引力が働くのか?
と問われたときに
働くものは働く、この方程式に「何故は」ないと言いましたが
最終的には
・あるんだからしかたないだろう
・神様がやったからだ
・聖書に書いてあるからそう信じなさい………
などの
思考をやめた結論にたどり着きたくなるものです。

でも私たちは
常に考えなければならないと私は思います。
私は
死んだときに疑問を感じなくなるわけではなく
疑問を感じなくなったら死にます。
何故生きているのか、わからないから生きています。

学べば学ぶほど難しい
これは普遍的真実のように思われます。
しかし、それ自体も疑って考えることも大切なんです。
考えることが多過ぎて人生が足りません。
でも、だから人生は楽しいんです[ぴかぴか(新しい)]


このブログの読者で受験勉強を
始めた方や勉強を始めた方もいると思います。
勉強は始めると難しくなります。
傍で見るより実際にやる方がもっと難しいですし
やればやるほど難しくなります。
大切なのはそこで諦めないことです。
そうすると少しできるようになります。
少しできると楽しくなります。
しかし、そうなると更に難しさに気がつくんです。
あとはずっとこの繰り返しです。
勉強ができない人は
勉強ができる人は苦労していないだろうとか
そんなに悩みはないだろうとか
思うかもしれませんが
出来れば出来るようになるほど悩みは深く
問題は難しくなってくるんです。

人は
わかった、極めた、終わったと思った瞬間
そこで成長はとまりますし
それは何かを悟ったのではなく
考えることを諦めただけなんです。
悟りを開いた人=考えるのを諦めた人だと私は思います。

宇宙の問題と個別の問題 [科学ネタ]

物理学の問題には難しい問題があります。
物理自体の問題です。
それはどこまで正確か、正確な方程式を想定するか
ということです。

例えば宇宙の始まりやらなんやらという方程式、理論には
誤差や曖昧な点があってはならないとされています。
勿論、私も宇宙を表す方程式は美しい筈だと思っています。
ところが
個々の個別の問題について
例えばたった数個の物質が相互作用するだけで
とても方程式として解けない問題になってしまいます。
つまり方程式で数個の物質の相互作用ですら
完全には説明できないんです。
飛行機が飛ぶ仕組みを考えるときもそうです。
ベルヌーイの法則は
一様重力のもとでの非粘性・非圧縮流体の定常な流れに対して
しか成り立たないので
ある値は小さいから無視するとか
理想状態に近いからといって
細かい部分は目をつぶります。
それでも十分に色々なことは、勿論大まかにですが
説明ができます。
これを厳密にやるのは逆に無理があります。
それなのに
何故宇宙の始まりという大きな問題になった途端に
完全な方程式というものが必要になるのでしょうか?
これは考える価値のある非常に有意義な問題です。

私たちの現実を表していると思っている方程式は
ほとんどが
ある理想状態で成り立つものです。
つまり宇宙の初期は私たちにとって
理想状態に近いであろうと
多くの物理学者は考えているんです。
宇宙が理想状態ではない場合
通常の物理と同じように
何が影響が大きくて、何が小さいかを
私たちが判断しなければならないのです。
これは普通のビッグバン理論では難しい問題を生みだします。

電気の世界では電磁気力より重力は圧倒的に小さいから無視できますが
その大きさの判断と言うのが次元が変わると難しくなるんです。

ノーベル物理学賞日本人三人受賞! [科学ネタ]

昨日
日本人三名
赤崎、天野、中村氏が
青色LED開発によってノーベル物理学賞を
受賞しました[ぴかぴか(新しい)]

青色LEDについては
スマホやら信号やら…
身の回りに溢れかえっているので
皆さんも御存知のことと思いますので
私があらためて説明することもないかもしれませんが
簡単に書いておきたいと思います。
ちょうど昨日
生徒の雑談で話した内容とほぼ同じですので
昨日の生徒には同じ話で申し訳ありません。
まあ、私のブログは見てないかもしれませんが(笑)

半導体にはp型とn型があります。
p型というのはpositiveのことで正孔がキャリアになり
n型というのはnegativeのことで電子がキャリアになります。
例えばp型半導体というのはどういう仕組みかといいますと
ケイ素の結晶の中にガリウムのような物質を混ぜるんです。
ケイ素は周期表で14族で価電子が4個なのですが
ガリウムは13族なので価電子が3個なんです。
そうするとガリウムが入っているところだけ価電子が足りません。
穴があいているようなものなんです。
その空いた穴を隣のケイ素が補うように電子で埋めます。
そうすると今度はそのケイ素の価電子が三個になり穴が一つできてしまいます。
その穴を埋めるために更に隣のケイ素から……と繰り返すことによって
電流が少し流れる。
びみょ~に流れるものを半分導体、つまり半導体といいます。

今、気軽にガリウムの例を書いてしまいましたが
実はガリウムで初めて成功させて青色LEDの足がかりを作ったのが
赤崎、天野氏です。
それまでは同じ13族のホウ素やアルミニウムで作られていたんです。
私はp型半導体を生徒に教えるときについ気軽にガリウムの例を
言ってしまいますが、そんなに気楽なものではありませんし
ノーベル賞まで取ったので今度からは敬意を払いながら
お話します(笑)

赤崎氏は当時、窒素ガリウムでp型半導体を作るのは
理論上不可能であると様々な論文で証明されていたにも関わらず
ここが職人気質の日本人らしいのですが
極限まで綺麗な結晶をつくればできるのではないかと思い
「不可能」に対する挑戦を始めたのでした。
サファイアの基盤の上に1000度ほどの気化した窒化ガリウムを
吹きかけるのですが
これは合わないブロックを積むようなもので
奇跡的な偶然と技術がないと上手く接合できません。
この方法で赤崎さんは何回か成功を収めたのですが
とても皆ができるようなものではなく
小保方さんのように自分だけができるスタップ細胞の作り方(笑)
のようなものなのです。
そこで皆ができるようなもっと簡単な方法として
サファイア基盤と窒化ガリウムの間に緩衝材、バッファーを
入れることを思いついたんです。
バッファーには同じ13族の窒化アルミニウムを選びました。
その実験を通常の半分の温度500度でやるよう
赤崎教授が頼んだのが、今回共同受賞された天野氏です。
ところが当初大学院生だった天野氏は
こんな500度程度の温度で結晶なんかできるわけない
と思っていて難色を示し
なかなか指示通りの実験はしませんでした。
ず~っと無視です(笑)
ところがある日
電気炉が故障し、偶然高温にならなくなり
赤崎氏が言っていたように500度でうまくいき
偶然成功したんです[ぴかぴか(新しい)]
まあ偶然といいますか…
ちゃんと言われた通り実験しろ、という話なんですが…
それでタナボタのように天野氏も共同受賞
色々考えはあると思いますが
私はこの経緯を知っていたので正直、????と思いましたが(笑)

中村氏は赤崎氏が考えた方法を
より実用的なレベルに引き上げました。
普通は物理学賞の対象になるのは
赤崎氏だけだと思いますが
まあ
仲良く三人そろって受賞です。

しかし、それなら
山中教授がiPSで受賞したときに
実験の中核を担いと根幹となるアイデアを思いついた
高橋和利さんも同時受賞にすべきではなかったかと
私は不思議に思うのです。
山中教授もそう思っておられると思います。
天野氏の貢献よりははるかに大きな貢献だと思うのですが…

こういう線引きが曖昧で
その割に無駄に権威があるところが
ノーベル賞の私が嫌いな部分です。

まあ
おめでたいことなので愚痴を書いても仕方がない
ですが…

ノーベル賞は死んだ人はもらえませんので
一番の功労者赤崎教授が85歳で御存命のうちに
受賞されたことは何より良かったと思います。

それではまた[手(パー)]

(オマケ)
史上最悪の論文ねつ造事件と言われている
ヘンドリック・シェーンの事件がありました。
シェーンは嘘をついてnature、science等に何度も論文を載せ
時代の寵児、天才と呼ばれたのですが
その手法は赤崎氏が考えたバッファーを入れるのと
まるで同じような方法で高温で超伝導物質ができるというものでした。
しかも、その技術は難解なためシェーンにしかできないという
最近日本で聞いたことがある
~さんにしかできない実験シリーズのねつ造です。
本人ができたというんだから、できたんだろうということです。
今回受賞した三人の偉大なところは
そのような科学的な知識を
だれでも作れるところまで実用化したということです。
そのおかげで世の中便利になりました。
誰誰にしかできないというではどうしようもありません。



natureかscienceか [科学ネタ]

大学生になった生徒、もしくは社会人の方から
よく次のような質問を受けます。

先生は何故scienceではなくnatureを購読されているのですか?

う~~~ん
まあ結論から言いますと
natureの方が面白く、使い勝手がいいからです。
特にscienceよりnatureが優れていると思っている訳ではありません。

あっ!
ここまで当たり前のように書いてきましたが
私のブログには小学生の読者もいると思うので
説明しておきます。
世界には様々な論文を掲載する雑誌があって
その中でしっかりと査読をし、歴史と権威がある論文雑誌に
アメリカの論文雑誌science
イギリスの論文雑誌nature
というのがあります。
私はnatureを定期購読しているのですが
何故scienceは読まないのですか?
と質問されることが結構あるのです。

まあ本当は両方読みたいのですが
忙しい等様々な理由があって
natureしか基本的には読んでおりません。
一般的にscienceの方がかなり安いです。
購読料は半額以下です。
またネットでAAAS会員になれば無料で公開されている部分もあり
読みたい論文だけ購入することができます。
natureの方はそうはいかず1誌につき年間六万円弱くらいの
定期購読料がかかります。
これは高いです。

物理の論文を徹底的に読みたいという人は
Physical Reviewをオススメします。
アメリカの物理学会の論文雑誌で、物理業界ではトップのものです。
このPhysical Reviewを隅々まで全誌購読しても
natureの方が高いです。
それだけnatureは業界では高い購読料の
学術雑誌なんです。
以前は私はnatureとPhysical Reviewを購読するという
贅沢な暮し(笑)をしていましたが
全部読む時間もないですし、
高いのでnatureだけにしました。

それでは何故natureか?
それはnatureは結構「攻める」からです。
natureは時にこれは大丈夫かいな?
という論文を掲載します。
それがなかなか面白いです。
古くはユリゲラーやネッシーの論文もnatureに載ったことが
あります。
図らずもSTAP細胞の論文も
同じような結果になってしまいましたが………
私は自分の常識をぶち壊すようなものを読むのが好きなんです。
新聞も180度逆の思想の
朝日新聞を相変わらずとっていますし
記事の内容が信用できないので
それはそれでも色々と頭を使って、疑って読むので楽しいのです。
疑って色々と考えてみて楽しむ
これは一般的な科学者の習性であり
私も物理に嵌りすぎたらこんな人間になってしまったのです(笑)
究極的には自分自身を私は一番信じていませんが(笑)
あっ!でも
誤解して頂きたくないのは
朝日新聞とnatureでは信用度は雲泥の差です[exclamation×2]
natureに論文掲載するというのは日本人にとってそれはそれは大変なことです。
朝日新聞と併記することすら憚られるくらいのことです。
あくまでも学術論文雑誌内の話です。

あとは記事が色々と面白いというのがあります。
読み慣れているという面もあります。
自分の研究分野以外でどんな論文が発表されているか
毎週楽しみにしています。

このような論文雑誌を読むのは敷居が高いと思われている
方もいるかも知れませんが
そんなことは一切ありません。
高校生でも読もうと思えば十分に読めます。
論文雑誌の英語というのは文法的に非常に平易で
構文も分かりやすいです。
文学作品のような難しい英語は一切書いてありません。
ただ、単語が専門用語が多いので
最初のうち、まあ色々な分野の論文を見ていれば一生ですが
沢山辞書を引くことになります。
しかも通常の電子辞書では載っていない語も沢山でてきます。
しかし、今やネット時代
私が高校生の頃、辞書をボロボロにしていた頃とは便利さが違います。
わからない単語はネットでサクッと調べられます。
将来研究者になろうと思う方は
高校生くらいから英語で論文を読み始め、大学になったら
教科書も英語版で購入した方がいいです。
最初は大変かもしれませんが
半年頑張れば慣れて普通のことのようになります。
英語が苦手だという人は徹底して自分を馴らしていないからです。
その言語しかない状態で格闘しなければならない状況になれば
誰でも言語は習得できます。
論文も諦めずに読み続ければ必ず普通に読めるようになります。

それではまた[手(パー)]

傘を持っていくべきか、持っていかざるべきか [科学ネタ]

[るんるん]
都会では自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨 傘がない[るんるん]

これは井上陽水さんの「傘がない」の
冒頭の歌詞です。

そう
この季節になると傘を持っていくか持っていかないかは
大きな問題です。
最近、ゲリラ豪雨やら何やらで急に雨に打たれる
ことが増えてきました。
皆さん折りたたみ傘は常に持参しているでしょうか?
私はほぼ毎日折りたたみ傘を持って行っています。
ただ、授業の道具や水筒でカバンがそもそも重くぎゅうぎゅう詰めなのに
折りたたみ傘を持っていくのは非常に難儀です。
特に土曜日は授業が多いのでカバンも重く
腰痛を持病として抱える私には少しの重さの増加でも堪えます。
本当に傘を持っていくか持っていかないか迷います。
皆さんも折りたたみ傘を持っていくか持っていかないか
迷ったことはないでしょうか?

今日はこれをざっくりモデル化して
明日から折りたたみ傘を毎日持っていくか
毎日持っていかないか
を科学的に決定したいと思います。
皆さんも自分の行動を科学的に決めてみたいと
思われましたら(笑)
自分なりの数値で計算してみてください。
なるべく中学生にも分かるようなモデルでやってみたいと思います。

東京で1ミリ以上雨が降る日数は
昨年度の気象庁のデータですと115日です。
一年間が365日なので
東京で雨に遭ってしまう確率は115÷365=0.315
つまり31.5%です。
ただ、真夜中で移動に関係ない時間や
休みの日等は雨が降っても関係ありませんので
東京で移動中に私が雨に遭ってしまう確率はざっくり25%としたいと思います。
これは人それぞれ好きな確率で設定してみてください。

次に効用を考えます。
これこそ個人的にどう思うかという値を入れて欲しいのですが
快不快を数値にして平均をとるんです。
今は私の行動を決めるので私の独断と偏見で数値を決めさせて頂きます。
喜びの度合い、不快な度合いを数値化します。
起こり得る場合としては
①雨が降るかつ傘がある
②雨が降るかつ傘がない
③雨が降らないかつ傘がある
④雨がふらないかつ傘がない
の4通りです。

私の場合
①の喜びの度合いを基準に100とします。
今日は急な雨、それでも私は折りたたみ傘を持っている
う~[わーい(嬉しい顔)]なんて、偉いんだ[グッド(上向き矢印)]という
喜び、快適さを100とします。
そうすると
②の場合
ロンドン市民ならしょっちゅう軽い雨が降るのでほとんど傘を
ささないので値は高いのかも知れませんが
私の場合仕事のスーツなので濡れてしまうと大変です。
これは不快なので20くらいです。
ビショビショに濡れたスーツと靴下、これで生徒のお宅に
伺うのは非常に気が引けます。
③の場合
カバンはぎゅうぎゅうで重くて我慢している[ふらふら]のに
傘があっても雨が降らない。
う~ん
これは何だか損をした気がするので60くらいです。
それでも②よりは随分ましです。
④の場合
これは最高です。カバンも軽いですし雨にもあわない。
あと①の場合は折りたたみ傘を使ってしまいますが
折りたたみ傘を使うとあとで干さなければいけませんし
綺麗に畳まなければなりません。
また一度使った傘を持ち運ばなければならないので
タオル等でガードをしてもカバンの中は濡れます。
それに私はかなり不器用ですので
折りたたみ傘を上手く畳めません(笑)。
ということで①は実は結構不快な方に属します。
ですから④の場合は200くらいの喜びですね。

そうしたらそれぞれ期待効用を計算します。
①雨が降る確率0.25×喜び度100=25
②雨が降る確率0.25×喜び度20=5
③雨が降らない確率0.75×喜び度60=45
④雨が降らない確率0.75×喜び度200=150

ということは
傘を持っていく効用は①+③=70
傘を持っていかない効用は②+④=155で
これを比較すると傘を持っていかない方が効用が高いです。
従って明日からおりたたみ傘はもっていきません!

な~んて
ざっくりモデル化してみましたが
勿論、傘は天気予報で雨が降りそうなときに持っていき
そうではないときは持っていかない
という戦略を取ることもできます。
この場合は天気予報が
当たる確率等もかけて考えればいいのです。
またその他にも実際に電車や授業中は雨が降ってもいいので
季節や雲による雨の振り具合等も考慮にいれて数理モデルを
作ってもいいかもしれません。
科学的には傘を持っていかないという戦略がbetterだとでてしまいましたが
私はきっと毎日持っていきます。
それは雨が降るか降らないか傘を持っていればイチイチ心配しなくて
いいからです。数値にはしませんでしたが、そうした精神的作用というのも
大きいです。備えあれば憂いなしです。

読者の皆さんの意見はわかります。
それなら最初からこんな数理モデルを立てるな
とおっしゃりたいはずです。
それはその通りです。
ただ中学生くらいの読者に科学に馴染んでもらうため
現実の数理モデル化として紹介したかったというのが
心の奥にはあります。

このように
以前私がブログで書いたように人間は、私は、
不合理な方を選択することもよくあるんです。
たとえば今後関東で大地震が起こる確率が
30年以内に80%と(まあこれは厳密にいえば科学では
ありませんが)言われても、それで引っ越したりするかしないかは
また別の話なんです。

Let it go [科学ネタ]

ありの~ままの~

と今(ちょっと前でしょうか)流行りの
「アナと雪の女王の歌」を歌っている
小学生がいました。

私は映画を見ていないので
どんな話なのかすらも知りません。
ただコマーシャルではたまに見ることがあるので
最低限
アナという女性の方がでるのは知っております。
まあ題名から雪の女王もでるんでしょう(笑)

こういうアニメーションを見ているときも
つい科学的におかしなことを考えてしまうのも
私の悪い癖です。

最近のアニメはコンピュータグラフィックで描かれるのが
ほとんどですが、皆さん何かに気がつかないでしょうか?
それはほとんどの女性キャラクターは「髪を束ねている」のです[exclamation×2]
アナと雪の女王の番宣に出てくる画像ではアナらしき人が
(映画を見ていないので誰だかわかりません)
後ろに束ねた髪をほどくシーンがあって
私はそれを見た瞬間ドキドキドキっとしました[がく~(落胆した顔)]
あ!勿論
私が女性の髪をほどくシーンフェチなのではありません[わーい(嬉しい顔)]

やっちゃう?
ディズニーは(ドリームワークスだと思いますが)そこにお金をかけちゃうの?
とドキドキするんです。
しかし、次の瞬間がっかりしました。やはり髪の毛はおろしても髪は束ねたありました。
束ねた髪を上にあげて更に束ねていただけなんですね。な~んだ。

…とここまで書いてきて、読者の方は????と思われると思いますが
そろそろ種明かしをします。
それは
一般にCGで髪を束ねていない状態をリアルに描くには非常に複雑な
方程式を解く必要があるんです。簡単に言うとお金が非常にかかります。
ですから大抵のCGキャラはロングヘアよりもショートカットやアップの髪形
になっています。
更にアップでよったときの都合で巻髪よりもストレートの方が
三次元画像にしやすいのでそのようになっています。
非線形のものは扱いずらいんです。

ところが
最近、様々なこの手の巻き髪を描く技術というのが
開発され始めています。まだまだ途上で時間がかかるとは思いますが
そのうち様々な髪型、おろした髪型、巻き髪のキャラクターがCGアニメーションで
沢山でてくる時代がくるのかもしれません。

ですからアナらしき人が髪をほどいたときに
あ!ああ!
ストレートヘアをディズニーは描いてきたのか?
そこまで勝負してるのか??
とドキドキしてしまったのです。
実際にはその部分だけに多額のお金をかけるのも
現実的ではないですし
あり得ないことは分かってはいたのですが
この番宣は見ている科学者に向けて
「どうだ、凄いだろう」とディズニーが言っているのかと思ったんです。

いつの日か
ありのままの髪型でアニメが作られる日がくるかもしれず
それに私は注目しています[ぴかぴか(新しい)]

光合成の素晴らしさ [科学ネタ]

植物は水と二酸化炭素から光合成によって
酸素とブドウ糖を作っています。
我々人類を含め地球上の多くの動物がその恩恵に浴しています。

改め考えてみるまでもなく
光合成というのは発電蓄電を含んだエネルギー合成で
素晴らしい反応と仕組みです。
科学者にとっても光合成の再現が大きな夢となっています。

まだ光合成を人工的に行う夢は実現されていませんが
その研究の過程においても私たちに役立つ反応がたくさん見つかっています。
太陽光発電も勿論そうですし
日本人に関連する分野では
本多藤嶋効果などが有名です。

本多藤嶋効果は二酸化チタンと白金電極を置き
二酸化チタン電極に光を当てると水が電気分解されるというものです。
今ではこの反応をエネルギー源として利用するのは難しいので
他の方法にシフトしていますが素晴らしい発見だと思います。

この内容はこんな一日一回のブログで書ききれる内容ではなく
今、書き始めたことを後悔していますが
今後も光合成を研究することにより数多の発見があると思います。
自然を探求する、模倣するというのは
自然科学の原点なのです。

(オマケ)
胸やけがまだ治りません[もうやだ~(悲しい顔)]
喉が詰まる感じがするのと、時々胸が痛みます。
来週になっても続いているようでしたら
また通院したいと思います。

原理をしっかりと理解する [科学ネタ]

一週間以上前のお話なのですが
生徒がすっぽんを食べ
コラーゲンを沢山食べたのでお肌が
ツルツルになったと言っておりました。

まあ………
そう思えれば幸せでいいので
私は相槌を打つ程度で特に何も言いませんでした。
これが処世術であります(笑)

サプリメント業界を敵にまわすようなことは
テレビやその他メディアでは言えないのかもしれませんが
この手の話は原理をしっかりと理解していれば
自分で判断ができます。

口から飲んだサプリは基本的に小腸で吸収されます。
勿論、100%吸収されるわけではなく多くが代謝、排泄されてしまいます。
要は肝臓の解毒等様々な洗礼を受けるわけです。
その結果数十%が小腸で吸収されるのですが
小腸での吸収はリピンスキーの法則というものがありまして
基本的に分子量500以下のものしか吸収できません。
ですからビタミン、ミネラルのような低分子のものは吸収されるので
サプリとして意味があるのですが
分子量が100万を超えるヒアルロン酸やコラーゲン等は
そのまま吸収されることは絶対にありません。
バラバラに分解されて二糖類程度の大きさに分解されてから吸収されますので
もはやそれはコラーゲンではありません。
また、そのバラバラになったものが手品のように
再度身体の中でコラーゲンに戻ることはないんです。
スタップ細胞が存在する確率よりかなり低いです(笑)

この分子量500の壁という原理をしっておけば
自分で色々と調べられます。分子量は大抵ウィキペディアさんに載っています。
自分が飲んでいるサプリが効果があるか否かの前に
身体に吸収されていくものなのかを調べた方がいいです。
薬を作るときにもこの辺は注意しているんです。
分子量が大きいものは注射にするんです。

それでもコラーゲンを飲めば少しでも膝の痛み、軟骨のすり減りに
効果があるのでは
と思われる方がいるかもしれません
ので書いておきますが
軟骨には血管がありません。
つまり軟骨まで栄養素を伝達する手段がないのです。
ですから膝の痛み等でこのような物質を飲んで治ることは絶対にないのです。
原理的に不可能なのです。
それでもコラーゲンたっぷりのすっぽん鍋でも食べた翌日は
お肌がツルツルで張りがいいのだという自覚症状がでることがありますが
確かに張りはでることがありますが
それはコラーゲンではなく、鍋料理などで沢山食べるため塩分を取りすぎ
翌日顔がむくんでいるだけだと思います(笑)

様々なことに疑問を感じ
原理までさかのぼって考えてみる
わからなければ調べてみる
そういう姿勢は科学者でも受験生でも一般の方でも
大切だと私は思います。

まあ
それでも人間のプラセボ効果というのは絶大なので
効いていると思って、実際に効果を実感出来れば
そこに原理も何もなく
本人の自由なわけですが。

話は逸れましたが
何か分からないことがあったら根本原理にさかのぼってみるというのは
非常に有効な手段だと思います。

ワインはニキビ味 [科学ネタ]

三月くらいにnatureに発表された論文なのですが
ニキビなどの原因になるヒトの皮膚の常在菌である
アクネ菌がブドウの木にも宿ってることがわかりました。
ヒトの病原菌が別の生物下位の宿主に
寄生するようになった初めての発見です[ぴかぴか(新しい)]

遺伝子を辿ると大体7000年前に
ブドウの木を剪定する時などに人の手から
ブドウに移ったようなのです。
移ったと書きましたが寄生生物が新たな宿主と
共生関係をつくる場合、たいていは近縁種の宿主との乗り換えが
普通で今回のような近縁度が低い乗り換えというのは非常に稀です。
しかも仮に乗り換えてもそれ以外の環境で生きられなくなった寄生生物
は今までいなかったのです。
ですから最初に発見した時には実験ミスか何かで手から菌が移ってしまった
のではないかと思ったらしいのです。

アクネ菌がブドウに移ったメリットは何かというと
葡萄は脂肪酸を大量に含んでいるために
アクネ菌のような皮脂の脂肪を食べる細菌には良かったということが挙げられます。
そして
アクネ箘を含むプロピオニバクテリア属の細菌はプロピオン酸を産生するので
葡萄の酸味等の味にも大きな影響を与えたとみられています。
つまり
ワインはニキビ味なのかも知れないということなんです(笑)

因果関係と向き合う [科学ネタ]

科学というのはある時期から因果関係との戦いで
それは今も続いています。
ある時期というのは
ニュートンが運動方程式という因果則を見つけだし
その大成功によって、全ての科学は因果関係を見つけだす
学問となってからです。
因果関係を示すこと自体が科学である。
逆に言うと因果関係を示せなければ科学ではない
という考え方が
近代科学の恩恵に浴した我々の隅々にまで浸透しているという
事実を日々痛いほど目の当たりにします。

その中で沢山の誤解や間違えが生まれていっています。
一番単純なものでいうと相関関係を調べて因果関係を読むという誤謬です。
これは統計学上絶対にやってはいけない
数学でいうとゼロでわるようなものなのですが
まあ至る所で相関関係から因果関係を読むということが行われています。
簡単な例で言うと
残酷なゲームをやっていた人と凶悪犯の相関関係を調べ
正の相関(ゲームを沢山やった人ほど、凶悪犯が増えている)があっただけで
残酷なゲームは禁止すべきだ、なぜならばゲームを沢山やると凶悪犯になる可能性が
増えるからだと勝手に因果関係を読んでしまう場合です。
そんなことはありません。そもそも凶悪犯になる素養を持った人が、残酷ゲームを好んでやる
傾向がある可能性もあるからです。
相関関係から因果関係を読もうとすることすら本来はやってはいけません。

ただ、人類も因果関係について
勿論、まったくわからないままにしているわけでは
ありません。
それから様々なアプローチが試みられてきました。
それはまたいつか書くことにします。

経済評論家にしろ、歴史学者にしろ
なんでもかんでもそれらしい因果関係で現象を結ぼうとします。
デフレが起きた原因は何何だから
だとか
税収が減った原因は何々だから
とか
もっともらしいことを吹いていますが
そんなに世の中の減少は一つのことが引き金、原因になって
結果が起こるわけではありません。
これは完全にニュートン力学のままの思想です。
歴史学もそうです。
なぜ本能寺の変が起きたのか
というときに皆もっともらしい原因を一生懸命探して
因果関係で結んでお話をつくるのが歴史学ですが
本当はぱっとそのときに思いついたのかもしれませんし
その時うつ病だったのかもしれませんし
被害妄想が膨らんだだけなのかもしれません。
現代の事件ですら、なぜ起きたのか因果関係で語ることは
難しすぎます。日々起こる事件についてさえも裁判等をやっても
本当の因果関係というのはつかみきれません。
それを何も残っていない時代のことについて古文書を紐解いてやるなど
ということは元々無理なことなのです。
残っている資料をすべて信用して歴史は作られていますが
中にはふざけて嘘を書いている人がいるかも
しれませんし、今風に言うとゴーストライターがいるようなことがあっても
何ら不思議はないのです。

カオスについて以前に書きましたが
ニュートン力学的因果則が蔓延している世界では
科学者というのは一般の人からすぐに因果関係を求められます。
なぜ東日本大震災は起こったのですか
阪神淡路大震災は起こったのですか
なぜガンになったのですか等々困る質問について
一応相手が納得するように因果関係をつけて話せば
世の中丸く収まるというだけです。
本当はわからないものはわからないんです。
断層があるから地震が起きるわけではありません。
日本中どこでも地震がおきる可能性があります。
東日本大震災も阪神淡路大震災も、大きな地震が起こる可能性
10%未満の地域で起きました。
他に高い確率のところは沢山あるのになぜ起きてしまったのか?
それは正直に言えば誰もわかりません。
それでも理由を求められるのでいい加減な科学者は屁理屈を並べて
因果関係に持ち込みます。
ガンにしたってそうです。私が今ガンになったとして何が原因でなったか
それは誰にもわかりません。ついてないというだけです。
それでも、私がどうしてガンになったのか
医者に問いただせば適当に因果関係を考えて
答えてくれます。私を一時的になっとくさせるための嘘の理由ですが。

今の時代
わからないことをわからないと、いいづらい時代になってきました。
これがニュートンの偉大な功績です。
低線量被爆の影響はどうだと言われても、他の影響の方が大きすぎて
わからないとしかいいようがないのです。
でもそうすると、科学者は何をしてるんだ
わからないわからないなんて科学は役に立たないんじゃないか!と
怒られるわけです。
税金をそんなものにつかうなと言われてしまうわけです。

数学以外のすべての科学はこれから
因果関係とどう付き合っていくか真剣に見直さなければならない時代に
なってきていると思います。
それと共に一般の人々の科学mindもそろそろ20世紀以降版に
up dateする時がきているのだと思います。
科学教育の改革が必要なんです。

まさに革命的 STAP細胞 [科学ネタ]

先日、理化研の小保方晴子さんのグループが
細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導すること
を示しました。
STAP細胞の発見です[ぴかぴか(新しい)]

今まで基本的に哺乳類では
受精卵が分裂して血液や筋肉など多様な体細胞に変わると
種類ごとに個性づけ(分化)され、分化を完了すると
その細胞の種類の記憶は固定されて
その分化を逆転させて
受精卵に近い状態に逆戻りする「初期化」は起きないとされてきました。

その常識を覆したものとして山中教授らによるiPS細胞がありました。
初期化を促すために「人工的に」山中因子と呼ばれる
四つの遺伝子を細胞に導入するのです。
これで初期化が起こることは大きな話題になりましたから
皆さんご存知のことと思います。

そもそも細胞の初期化さえ無理だと思われていたのですから
その初期化が「人工的」ではなく
「ある環境条件の中で自発的に起きる」など
と唱える人がいたら
どんな生物学者も異を唱えると思います。
しかし
その常識を覆した発見が今回のSTAP細胞の発見です。
正に革命的です[exclamation×2]
これはiPS細胞研究の成果を根こそぎ持っていくような
素晴らしい発見です。
実用性だけではなく、進化の秘密までもが明らかに
される可能性があるからです。
iPS細胞では人工的に作るのでそのようなことはわかりません。
そもそも自然では起こり得ないこともやって人工的に作り出しているからです。

小保方晴子さんのグループはマウスのリンパ球に
様々な化学物質の刺激や物理的な刺激を加え、
細胞外の環境を変えることによる
細胞の初期化への影響を見たところ
酸性溶液で細胞を刺激することが初期化に効果的
であることが判明しました[ひらめき]
どうして初期化したかどうかわかるのかというと
多能性細胞に特有の遺伝子「Oct4」が発現するかどうかで
判断できるのです。
その結果、酸性溶液処理によってリンパ球のT細胞に出現したOct4陽性細胞が
T細胞にいったん分化した細胞が初期化された結果できたものであることがわかりました。
更にこのOct4陽性細胞は生殖細胞を含む
多様な体細胞へ分化する能力をもつことが分かりました[ひらめき]
更に更に
ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞などではほとんど分化しないとされている
胎盤など胚外組織に分化することも発見しました[ひらめき]
その上
酸性溶液処理以外にもガラス管の中に細胞を多数回通すなどの物理的な刺激や
細胞膜に穴をあける化学的刺激でも初期化を引き起こすことも発見したのです[ひらめき]

そしてこのSTAP現象がリンパ球だけで起きるのではなく、
脳、皮膚、骨格筋、肺、肝臓、心筋など他の組織の細胞でも起きることを実験で確認したのです。
細胞外刺激による細胞ストレスが
分化状態にある体細胞の記憶を消去して初期化するという発見は
これまでの細胞分化や動物発生に関する常識を覆し完全に覆しました。
それとともに細胞の分化制御に関する新しい原理の存在を明らかにしたのです[ひらめき][ひらめき]
これからは細胞の初期化メカニズムの原理解明が世界中で行われていくと思います。

ヒト細胞への応用等課題はまだありますが
順番はいつくるかわかりませんが
当然ノーベル賞をもらえる研究成果であり
iPSを超える革命的な発見であり
生命の謎へ迫る大きな一歩を踏み出す発見だといえます。

理論物理学とは [科学ネタ]

私のように理論物理で数式ばかりと
対峙していると
自分のイメージがいかに脆弱かということ
に気づかされることが何度もあります。

よく生徒に
理論物理とはどんなものか
という質問を受けますが
ひとことで言うなら
数式に物語を読むのが理論物理だと言えます。

古典物理学の範疇では難しいですが
量子力学を学んだかたならば
数式がイメージを裏切るという経験を
されたことがあると思います。

最先端の物理になると、ほとんど人のイメージは
意味をなしません。
数式は最初は無口に見えますが実に雄弁です。
色々な声をかけてくれます。
ただその声を聞くためには、自分自身にもそれを聞く能力がないと
駄目です。

これは人生と同じだと思います。
私も人生で数々の貴重な助言を頂きましたが
自分が未熟故に意味や有難みが分からなかったことがあります。
日常は貴重なメッセージで溢れていると思います。
それを読みとれるかどうか
というのは結局私たちの人間力次第なのだと思います。

ある人にはただの記号の羅列である数式であっても
私はその中から長編小説を読みとります。
詩や歌や曲を感じます。
それが理論物理学だと思います。

医系生物系論文の約70%は再現不可能 [科学ネタ]

私はnatureで読んだのですが
最近、アメリカに大きな話題になっている問題があります。
それは、医系生物系論文の約70%は再現不可能である
という問題です。

科学というは再現性が不可欠であるということは以前にも書きました。
これは当たり前です。
私が今日ピタゴラスの定理を使ってだした答えと
明日読者の方がピタゴラスの定理を使ってだした答えが一致しなければ
定理でもなんでもなく、科学ではありません。
実験でもそうです。
ある日ある時、誰かがやった実験と、次の日の実験結果が異なる
ならばそれは間違った定理、結論であると
だれもが思うと思います。

ところが
この非科学が医系生物系論文の70%に及んでいるという
深刻な事態があります。
がんに関する論文の60近くを調べると89%が
再現性がない、即ち次に実験すると結果が変わるという結果でした。
ここにはいちいち再現性を誰も確かめずに
論文が通ってしまうという問題があります。
嘘の論文を書いても誰も分からず、有名な方が
名前だけ共著者になって謝罪するという事件が医学界であったことは
記憶に新しいと思います。iPS詐欺です。

本来は論文の執筆者がそれをやってから論文にすべきですが
一回でも成功かそれらしいくらいのレベルで論文になってしまっているのが
現状です。
まあ、これは実は物理の世界でもよくある話です。
数学のように論理がはっきりしていて誰が見ても正しいか間違いかが
わかるというもの以外は
その実験を同じ装置で部外者が再現性を調べるということは
非常に大きな話題になった重要な実験結果でないとやりません。
まあ、その人がしっかり実験をしたなら
そうなのだろう。そう思うしかないわけです。

ですから一般の方々から見た場合に
おかしなことが沢山ある訳です。
~が身体にいいか、悪いかという議論は正にその典型です。
Aというものが身体にいい、悪いという相反する論文が
成立し得るのです。それはお互いに再現性がないので
いいときもあれば悪いときもある、というような
人生訓めいた結論になってしまい真偽は誰にもわからないのです。
おそらく両論主張している方々にもわかりません。

仮にAという物質は身体にいい
という論文を読んだり、テレビで聞いたりしても
基本的にこれは疑った方がいいです。
勿論、明らかに悪いというものもありますが
大半のものは良かったり、悪かったりの両面性があったり
影響を受ける度合いは個体差によったり
もしくは結果自体がグレーな状況であったりするわけです。

私も授業をしていて生徒にこの相反を問われることがあります。
ある本ではAは必要だと書いてあるが
ある本ではAは必要ないと書いてありますが
どちらですか?というようなものです。
私に聞かれても正直わかりません。
結論がはっきりしていないものは、その人がそう信じるほうで
どうぞとしか言いようがありません。
これは科学の領域ではありませんから。

まあ
ただ戦略としては
偏食をせずに様々なものを食べるという方法が一番リスクを
抑えられると私は思います。
あるものが身体にいいか悪いかなど分からない物の方が
圧倒的に多いわけです。
それならもし私たちの食べているものに
身体によくないものがあったとしても
少しずつならなんの影響もないので
俗にいうバランス良く様々なものを食べるという戦略が一番
理にかなっていると思います。

…という私は
このような戦略をとったことがほぼありません。
それほど嫌いな食べ物はありませんが
マイブームというものがあり
あるものに嵌ったらそれをしばらくは食べ続けてしまうんです。
これは本当はよくありません。

でもなんだかんだ言って
人体に一番影響を及ぼすのは精神的なストレスだと
私は思っています。
食事がよかろうが悪かろうが
過度のストレスを人間が受けるとすぐにおかしくなってしまいます。
ストレスへの耐性というのはかなりゆっくりとした進化にも関わらず
科学技術はあっという間に進み、高ストレス社会を生んでいます。
こちらの方が大問題だと個人的には思っています。

今年のノーベル物理学賞 [科学ネタ]

昨日、今年のノーベル物理学賞が発表されました。
ソネットのニュースをコピペすると以下のような
結果となりました。

「スウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)は8日、2013年のノーベル物理学賞を、「神の粒子」と呼ばれる「ヒッグス粒子(Higgs Boson)」を理論化した英国のピーター・ヒッグス(Peter Higgs)氏とベルギーのフランソワ・エングレール(Francois Englert)氏の2人に授与すると発表した。

選考委員会は、「素粒子の質量の由来を理解することに貢献したメカニズムを理論的に構築した」業績に対して賞を授与するとし、「このメカニズムは、予測されていた基礎粒子の発見を通じて近年確認された」と付け加えた。

ヒッグス粒子はビッグバン後の宇宙の物質に質量を与えたものとして、1964年にヒッグス氏によって理論化された。

昨年7月4日には欧州合同原子核研究所(European Organisation for Nuclear Research、CERN)が粒子加速器「大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collider、LHC)」で「長年探求されていたヒッグス粒子と一致する」粒子を発見したことを発表していた。」

ヒッグス粒子が発見され、それが正式に今週論文で発表されましたが
これは理論物理学にとって非常に重要なことです。
また一歩私たちが真理への扉に近付いた感じです。

まあ
ただ…
物理学者というのはせっかちなものでほとんどの人が
ヒッグス粒子はあるものとしてどんどん自分の理論の「妄想」
を広げていくわけです。そのように理論物理学は進んでいき
かなり後追いで実験で正解がでます。
それで間違えていたら、普通の方はショックを受けるのかもしれませんが
物理学者というのはせっかちかつ準備がいいので
もしある地点で自分の理論が間違えていた場合の準備もしてあります。
もし間違えていればその地点から考えなおせばいいわけです。
そういう夢想をどんどん続けて
私たちは何もので、世界がどうあるか、宇宙はどのようなものか
それを捉えようとするのが理論物理なのです。
小さな蟻が地球が丸いことに気がつくくらいの難易度ですが
それを可能にするアイデアを私たちは常に考えています。
革命的な発想の転換があれば
蟻も「地球は青かった」と言えると私は信じています。

完全に題名と話がそれましたが
ヒッグスさんも84歳ですか。
理論物理は理論があり、実験によって確認されて初めて
認められます。現在の実験は5,60年前の理論を確認していますので
理論物理学者はかなり長生きをしないと賞がもらえません(笑)
…といってもおそらく物理学者で賞が欲しいなどと思っている人は少なく
自分の理論が正しかったかを見届けたいというのは一番なのだと思います。
それには
尚更長生きが必須なのです。

絶対零度よりも低温の量子気体 [科学ネタ]

受験で忙しすぎてこのコーナーは久しぶりの登場になります。
今年の一月から結構面白い発見があって
このコーナーを書きたかったのですが時間的に無理でした。
時間があるときにそれらを少しでも紹介していきたいと思います。

今年の一月のnatureに載っていた論文に
Quantum gas goes below absolute zero
つまり絶対零度よりも低温の量子気体というものがありました。
これについて今回は書いてみようと思います。

高校と大学1,2年では基本的に古典物理学を学習する訳ですが
その中で
温度に関して次のような説明をします。
「気体の絶対温度は気体を構成する粒子の平均運動エネルギーであり、
絶対零度は全くエネルギーをもたない状態」だと
空気の分子の運動が激しい状態を私たちは温度が高いと感じるわけです。
その運動がだんだんゆっくりになっていくと温度は下がります。
当然最終的には静止し、そのときの温度が絶対零度即ち-273.4℃な訳です。

ただ、これは古典的な考え方で
量子論を学ぶと
ハイゼルベルグの不確定性原理というのがあり
「静止」はできず、イメージ的に言うと揺らいだ状態にあるということがわかります。

今回の論文は
古典的には分子が静止するだろう温度、即ち絶対零度よりも
低い気体をつくったというものです。
古典的にはあり得ないはずの気体です。
どのように作るかというと
通常、ある気体が~℃であるとき、それを構成する粒子の大半が
平均付近のエネルギーを持ち、少数の粒子だけが
より高いエネルギーを持っているのですが
その状況を反転させて
より高いエネルギーを持つ粒子の方が多くなるようにすると
絶対温度の符号がプラスからマイナスに変わるんです[ぴかぴか(新しい)]

これはドイツのルードヴィッヒ・マクシュミリアン大学ミュンヘンによる研究ですが
絶対零度以下の温度をつくるために
カリウム原子からなる超低温量子気体を用いたそうです。
そしてレーザーと磁場を使って個々のカリウム原子を格子状に並べると
(大学入試の数学か化学の問題が作れそうです。)
プラスの温度では当然原子は互いに近すぎるため反発しながら
配置を安定している訳ですが
そこに急速に磁場を調整して原子を急に引きあうようにすると
最も安定でエネルギーが低い状態にあった原子がもっとも
高いエネルギー状態に移動してしまうんです。
勿論、通常の温度でこれをやれば反転した途端に
あっという間に原子の配置は崩れてしまうのですが
絶対温度近辺では周りのレーザーを調整することでこのバランスを保つこと
ができるのです。
わかりやすくいうと、ある平衡状態からある平衡状態に
さっと転移するのです。水→水蒸気というような相転移をイメージして頂いても
構いません。おそらく宇宙もこのように真空の対称性が崩れ、それが相転移して
できたものと考えられています。

この方法によって絶対零度よりわずかに高い温度から
絶対零度より10億分の数度だけ低い状態が作れたそうです。

これは非常に応用が効く発見だと思います[ひらめき]
私は最近材料化学に興味があるのですが
この方法を応用すれば新しい面白い材料ができそうです。
また宇宙科学をやってきた私がピンとくるのが
絶対零度以下の気体が、宇宙をどんどん膨張させている
「ダークエネルギー」の性質に酷似しているということです。
そういう意味で
今回の実験は、実験室に「宇宙」を作ったと言えるかも知れません。
非常に興味深いです[わーい(嬉しい顔)]

(オマケ)
私たちが通常暮らしている世界は量子の世界からみれば
非常にマクロな世界です。
マクロな世界では物事は連続的に変化し、感覚的にそれが
当然だと思ってしまうのですが
量子の世界ではそれは成り立ちません。
離散的なエネルギーしかあり得ないのです。
つまり1→2→3のように飛び飛びの値しか取れません。
1.2とか2.5とかいうエネルギーはないのです。
そんな馬鹿なと思われる方もいるかもしれませんが
私たちの世界にも全く同じ現象があるんです。
それは波動です。
波動は基本振動、二倍振動、三倍振動…と離散的値しかとれません。
なぜなら間は打ち消しあってしまうからです。
量子もそのようなイメージでとらえると、飛び飛びの値しか取れないことに
納得して頂けるのではないでしょうか。
ですから平衡状態も徐々に移って…とは
ならずに瞬間的にテレポートするのです。
今回の実験も絶対零度で止めることはできず
絶対零度をまたいでしまうんです!!

興味のあること [科学ネタ]

今週のnatureにマックスプランク研究所の論文で
「電気的に捕獲した多原子分子のシジフォス冷却」
というものがでました。
これには非常に興味があり
昨日から熟読しています。

簡単にお話できるかわかりませんが
簡単に言うと
多原子分子というのは一般に極低温まで冷却する方法が
今まではありませんでした。
というのも多原子分子は複雑な内部構造や
双極子双極子間の相互作用などがあるからです。
今回の論文はシジフォス効果を通して各冷却サイクルの
運動エネルギーの大半を除去する方法を提案しています。
興味深いです。

レーザーによる冷却というのは私が高校生くらいのときに
始まりました。
一般の方はレーザーで冷却???と思われるかもしれませんが
冷却というのは簡単に言うと原子の運動を止める方向にもっていけばいいのです。
そこでレーザーを原子にぶつけて動きを鈍らせてやるわけです。
…といいましても
ビリヤードのような感じでイメージをしていただくと
それはそれで問題があります。
光というのは量子ですので、粒子のようなイメージではありません。
粒子のように考えるとぶつけかたによっては加速してしまうのではないか
と思われてしまいます。
運動量で考えるとわかりやすいです。
分子にぶつかった光子はランダムに外に散逸されます、
その運動量の平均が全体として
ゼロになるので分子は冷却されるのです。
この方法は以前から知られており、ドップラー冷却と呼ばれていました。
しかしおかしなことに実際に実験してみると理論上のドップラー冷却による
限界温度よりも低くなるのです。

これを説明してくれるのがシジフォス効果です。
ここでは光の波としての性質でこの効果を説明してみます。
レーザー光のような可干渉に優れた光は一般に定常波として存在します。
定常波には光の強い部分と弱い分、山と谷があります。
この山の部分で原子が強制的に光を吸収させられると
光を自然放出して減速して谷に落ちてきます。
当然減速した原子は山を登るのが大変です。
そしてこれを繰り返していうちに山は登れなくなります。
しかし、それでもあがくんです。
登ろうとしては落ち、登ろうとしては落ちる
それを繰り返しているうちにやがて疲れて動かなくなる
つまり減速して極低温になるわけです。
これがシジフォス効果の簡単な説明です。

もう長くなってしまいましたので
この辺で終わりにしますが
シジフォス効果はなかなか複雑な多原子分子に適用するのは
難しいです。
そこをうまく突破する非常にうまい冷却法が考えられました。
それが今回の論文です。
まだ不十分なところも多いですが一つのアイデアとして
非常に興味をもって論文を読んでいます。

メタンハイドレートについて [科学ネタ]

先日生徒から
日本には天然ガス換算で97年分のメタンハイドレートが
あるから、早くそれを採掘すれば100年はエネルギーが安泰ではないですか?
と質問されましたが
そんなに単純なものではなく
むしろ私はメタンハイドレートに関してはかなり疑問を感じています。
東大や、独立総合研究所等々の方々が国費を投じて色々と調べ
始めていますが正直言って???と思います。

私の意見を書く前に
科学が苦手な方のために書いておきますと
ハイドレートとは包摂水和物のことで
メタンの周りを水分子が囲むように存在するもののことです。
メタンハイドレートは固体でイメージ的には氷のようなもので
火をつけると燃えます。「燃える氷」とよばれることもあります。
これが日本の海の底(水深500~1000m)に溜まっているので
それを掘り起こして燃料に使おうというのです。
誤解のないように書いておきますが
メタンハイドレートは再生可能エネルギーではなく、化石燃料です。

私がメタンハイドレートについて問題だと思うことは
①集まって存在しないため、拾い集めるのにかなりの労力とがかかる。
②固体のため石油のように採掘しても自然に噴出しない。
③費用対効果がかなり悪い。
④地球温暖化など環境負荷が高い。
⑤採掘事故等の可能性
という点です。
これらからわかるように
メタンハイドレートは経済的に実用可能なエネルギー言えるには
程遠いと思います。
技術的に可能だと推進派の方々は言われますが
技術的に可能であることと
経済的に実用可能であるかは全く違う問題で
エネルギーはコストや環境負荷を考えずして
成り立たないと思います。
もうすでにかなりの国費が投じられていますが
将来的にどのような見通しがあるのかはっきりしていません。
推進派の人はできるできると連呼し
また、それに国費が投じられています。

私はこの方法に未来はないと思っています。
もっと他の再生可能エネルギー等の研究にお金を使ったほうがいいと思います。
もう地球を採掘して云々というエネルギー形態は時代遅れだと思います。
以前にも書きましたが
世界全体で安定して使えるクリーンエネルギーを考えるべきです。

地震の予知や天気予報の正確な予想は何故無理か? [科学ネタ]

昨日、ほぼ今日ですが
地震の予知がなぜ無理なのか
科学が進んでこれからどんどん進んでいけば
できるのではないか?
という質問を
生徒からうけました。
授業時間がもったいないので
将来複雑系を勉強するか、私のブログに簡単に書いておくので
見て欲しいと
つい口を滑らせてしまいました[あせあせ(飛び散る汗)]

そこで受験準備で忙しい中、
今日はこの内容を書く羽目になってしまいました。
しかも簡単に書いて欲しいと言われたで
只今非常にこまっています(笑)

複雑系というのは
予測できない複雑な事象を扱う学問です。
ここでいう予測できないというのは
ランダムに起きるという意味ではありません。
私たちが使っている決定論的な物理学の法則に従いはするものの
積分による解が出せないものです。

語弊があるかもしれませんがわかりやすくいうと
中学生の数学で体験済みの方が多いと思いますが
「式の展開」は計算すれば必ずできますが、
実数の範囲内で「因数分解」はできない問題というのがあります。
たとえばx2乗+4=0のようなものです。
それと同じように、微分はできても
積分はいつでもできるとは限らず
積分ができない問題というのがあるのです。
むしろ積分が計算でき答えがでる問題の方が稀なくらいです。

このせいで
物理現象を何らかの微分方程式であらわしたものが
計算上解けない
ということは実はよくあることなのです。
そのときにどうするかというと、数値解析という方法で近似的な解を求めます。
コンピュータで計算するんです。

ところが…です。
複雑系では初期値に鋭敏に反応するという特徴があるのです。
地震よりもっと単純な
枯れ葉を落としてどこに落ちるか
という問題を考えてみると
最初に加わる力や風向き、空気抵抗などがほんの少しだけ違うだけで
落ちる場所というのは大きく変わってしまうのです。
これが初期値に鋭敏に反応するということです。

そうすると地震予知で考えてみますと
積分で微分方程式が解けない問題というのは
地震を起こす全ての無限の要因を
無限の精度を誇るコンピュータで計算しなければ正確な予想はだせないのです。
ほんの少し誤差がでるだけで
結果がそれに鋭敏に反応し、大きく変わってしまうのです。
おそらく多くの人が誤解されているのは
誤差が少しならば結果にも少ししか影響しないのではないか
と考えてしまう点にあると思います。
複雑系では全てをパーフェクトにできなければ
少しの誤差も大きな誤差も結果が予想できないという点においては
全く同じになってしまうのです。

無限に計算できるコンピュータの開発も
地震を起こす無限のパラーメータを調べることも
原理的に不可能です。
ですからそこには必ず誤差が生じ
誤差が生じる限り
結果はその誤差で大きく変わってしまうので
原理的に予測不能なのです。
ちょうど秋です。
枯れ葉を手にとって投げてみてください。
それですらどこに落ちるか正確に予想できないのです。
地震や天気予報の正確な予想などできるわけがないのです。

しかも、この話には続きがあって
興味のある方は勉強して頂ければわかるのですが
物理学自体の問題があって
更に予測不可能が重なります。
地震を予知することは無理の二乗以上、無理なのです。

このような研究に年間100億くらいお金をだすのなら
全国の耐震工事をするなり
地震が起きたときの対策を立てるために
お金を使った方がずっとずっと現実的で効果があり
多くの人の命が救われます。

不思議なことに科学にあまり興味がない方の方が
科学を過信する傾向にあります。
無理なものは無理なんです。
それを出来そうなふりをする科学者は
予算が欲しいからそうするわけですが
これは一種の詐欺です。
科学を勉強していけば
科学は何もできないという現実ばかりを叩きつけられます。
人間の知は無限に進んでも
自然の数%も理解できないのだと私は思います。

自然は偉大です。

(オマケ)
地震のハザードマップなどほとんど当たりません。
(全くと書きたいくらいです。スパコンで計算するだけ予算の無駄です。)
興味のある方は一体どれほどのパラメータをいれて計算しているのかを
問い合わせて頂ければと思います。本当に科学と呼ぶにはお粗末なものです。
~年以内に何%の確率で起きるという予想も当たりません。
予想をした人は外れても起きなくて良かったね
程度で何の責任もとらなくていいので、気軽に予想しています。
職を賭して予想して頂ければまだましですが
それができるほどの科学的根拠がないことはおそらく研究されている
ご本人も分かっていると思います。
現実に阪神淡路大震災も、東日本大震災でも
発生確率0~10%未満のところでおきているのです。
なぜかこのような結果検証はされません。
これは科学ではないということは日本にいる賢明な科学者であれば
大半の方はわかっていると思います。

ただ、勘違いして頂きたくないのは
ハザードマップや予想が当たらない
だから安全安心だということではありません。
日本は地震大国なので日本に住む限り
どこでも地震に対しての備えは必要なのです。

地震予知など無理 [科学ネタ]

私は東日本大震災以前から
このブログで地震の予知は原理的に不可能であることは
1+1=2と同じくらいに明らかだ、
それを仕事にご飯を食べている学者がいて
予算をとるために、おかしな研究が行われていると書いてきましたが
先日
日本地震学会でも
地震予知が不可能であることが
「異例」?の認識の一致でまとまりました。
新聞記事に異例と書いてあるのでそのまま書きましたが
地震の予知が不可能であることは世界の常識
こんなことに予算を落としているのは日本だけで
星占い研究に予算を落としているのと同じくらいばかげた話なのです。
今回の発表も
残念ながら日本人の研究者からあがったものではなく
東京大学のロバート・ゲラー教授というアメリカの地震学者のものです。
natureにも掲載された世界で認められた論文です。
その概略とニュースをまとめて載せておきますと

東京大学のロバート・ゲラー教授は14日、
現代の科学技術では地震の予知は不可能であるとし、
日本政府は国民に対し予測不可能な事態に備えるよう呼び掛けるべきだと強調した。
 ゲラー教授は、地震学者が現在使用している予知器などは、
差し迫った地震を予知するには不十分だと指摘。「理論的には一両日中に地震が起きると予知しようとしているが、私の考えではこのシステムは科学的に完全ではなく、中止されるべきだ」とし、
「(地震の予知は)無益な努力だ。不可能なことを可能であると見せかける必要はない」と切り捨てた。
 同教授は論文で、東海地域で今後想定される地震に対する日本政府の防災計画についても触れ、3月11日に発生した東日本大地震が予測できなかったように、東海地震も予測できないとした。。
 同教授は「予知できる地震はない。これは鉛筆を曲げ続ければいつかは折れるのと同じことだ。それがいつ起きるのか分からない」と指摘。地震は予知不可能であることを率直に国民に告げる時期が来たとし、日本全土が地震の危険にさらされており、地震科学では特定地域でのリスクの度合いを測ることはできないと述べた。「われわれは(地震を予知するのではなく)想定外の事態に備えるよう国民と政府に伝え、知っていることと知らないことを明らかにすべきだ」と提言した。

…ということなので
地震の予知は不可能なので
おかしな予知情報には振り回されない方がいいです。

東海沖地震、南海トラフ地震、首都直下型地震が
いついつまでに起こる可能性が~%というのは全くのでたらめです。
日本は地震大国なのでいつでも、どこでも注意が必要なのです。

世紀の大発見ヒッグス粒子 [科学ネタ]

ついにヒッグス粒子が見つかったことがほぼ確定しそうです。
一般の方はだからどうした
と思われるかも知れませんが
私の理論物理の世界では世紀の大発見と言えるものです。
私も自分自身の理論を裏づける一歩として
非常にうれしい発見です[ぴかぴか(新しい)]

ヒッグス粒子と素粒子については
時間のあるときにわかりやすく書きたいと思いますが
まずは私自身改めて
色々と確認したいことがあります。
それに結構な時間がかかると思いますが
少しずつ進めていきたいと思います。
大変ではなくて楽しい作業なわけですが。

理論物理学というのは数学的には正しいが
下手をしたら単なる妄想に終わる
つまり現実をしっかり記述していない
という可能性もあります。
その理論の正しさを確かめるためには
実験屋さんの力が必要で
しかも私が考えているレベルの実験が本当にできるのか
できても数百年先になるかもしれないのです。
勿論
私自身は自分の結果に自信がありますが
それは実験で確認されるまで単なる妄想に過ぎません。
ほぼ確実に私が生きている間に
この真偽が確かめられることはありません。
実験で支持される可能性はなくとも私は趣味として
自分の理論を更に突き進めていきたいと思います。
とりあえずはヒッグス粒子の存在が認められたことは
非常にうれしいことです[わーい(嬉しい顔)]
確実にノーベル賞級の発見です。

蛋白質の含有量 [科学ネタ]

昨日小学生の生徒から
家庭科の授業で食品中に蛋白質の含有量について
教えてもらったのですが
食べ物の中の蛋白質なんてどうやってはかるのですか?
切り刻んで分けるのですか?
という質問を受けました。
算数の授業で話が大きくそれてしまうので
「真っ当な大人になればわかる」と大人の対応をしてしまいました。
そんな真っ当な大人のための
蛋白質の含有量の測定方法について書いてみたいと思います。

蛋白質はアミノ酸からできていますのでNH2というアミノ基を含んでいます。
このアミノ基を測るために窒素の量を定量すれば良いのです。
単純蛋白質の中にはその種類によらず15~19%くらいの(平均で16%)
窒素が含まれていることが知られています。
そこで大学受験界では有名な「ケルダール窒素定量法」という方法で窒素の量を定量します。
具体的にはアミノ酸に強塩基を加えて加熱すると窒素はアンモニアという形で出てきます。
このアンモニアはこれまた大学受験必須の逆滴定という方法で定量できます。
それを窒素量に換算し先ほどの比を使って100/16をかければ
食品中の蛋白質の定量ができます。

さすがにこれは小学生には説明しづらいです[ふらふら]

補足として先ほど単純蛋白質と書きましたが
単純蛋白質というのは酸や酵素で加水分解したときに
αアミノ酸だけを生じるもので
(アルブミンやグロブリン、ケラチン、コラーゲンなどなど)
他の物質、たとえば脂質や糖、リン酸、色素、核酸なども生じるものは
複合蛋白質と言います。
有名なところでは牛乳に入っているカゼイン、血液中のヘモグロビンなどです。
この単純、複合以外にも
繊維状か球状かで分類する方法もあります。
球状は平たく言うと水に溶けるものが多いです。
(正確には親水コロイドになっているので水和しているわけではありません。)

私は生徒を受験で合格させるのが第一義としてありますので
大人の対応をしてしまいましたが
家庭科をきっかけに科学の勉強をしてみるのも面白いかもしれませんね。

アルカリイオン水とは [科学ネタ]

先日生徒から
「うちの浄水器はアルカリイオン水を作るんですが」
(す、すごい)
「アルカリイオン水とは一体何なんですか?
アルカリ性なんて飲んで体にいいんですか?
胃酸が酸性なので中和されるのですか?」
という質問を受け、英語の授業ですが
アルカリイオン水について10分くらい話してしまいました[たらーっ(汗)]
ブログで書けば良かったのかもしれません。
ただ英語の趣旨とは離れるとはいえ
科学に興味を持ってもらえるのはうれしいので
お話しちゃいました。
その昔医学部英語を教えていたとき
あまりにも雑談で科学ネタを話過ぎて教務に怒られたことがありますが[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
生徒のアンケートでは非常に評価が高く、科学に興味を持ってもらえて
非常に嬉しかったのですが
それと同じ感覚をまた味わい、ついお話してしまいました。

アルカリイオン水を作る浄水器というのは
浄水器の中で水の電気分解をしています。
水を電気分解すると
+極では酸素がでて、水から酸素が取れるのでその近辺は水素イオンが多く酸性になり
-極では水素がでて、水から水素が取れるのでその近辺は水酸化物イオンが多く
アルカリ性になります。
この-極近辺の水を集めたものをアルカリイオン水といいます。
アルカリイオン水はアルカリ性であることが重要なわけではなく
水素が発生しほんの少し溶けていることが重要です。
普通の水よりほんの少し多く水素が溶けているので
その水素によって還元作用があり
平たくいえば老化等にまつわる活性酸素を除去する働きがあります。
ただ気をつけていただきたいのはこの効果はほんのわずかなもので
過信はしないでください。あくまでも普通の水にくらべて抗酸化作用があるということです。
ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化作用に比べるとずっと少ないです。
ただ毎日飲む水ですので、その量を考えたら効果もそれなりにあると思います。
(この辺りは科学的に諸説あり確定していません。)

効果の大きさについての議論はさておき
あの3~7万円くらいする浄水器の中では
中学のころに習った水の電気分解が行われているんです。
習ったことが現実の生活に応用されることを知ると
勉強も楽しくなると思います[ぴかぴか(新しい)]

超大陸の場所についての新説 [科学ネタ]

昨日スマトラ沖でM8.6の地震が起こりました。
地球は改めて生きてるなあと実感します。

そこで今日は地球が生きている証
「超大陸」についてちょっと前
(確か受験前だったので二月くらいです)
にでた新説について説明したいと思います。

まず超大陸とは何か
ということですが
これは結構皆さん小学生のころに
国語の教科書か何かで読まれたことが
あると思いますがヴェーゲナーによる
(英語読みさせるとウェゲナーになります。)
大陸移動説に端を発したものです。
大陸移動説の中身は
現在の地球のバラバラになった大陸は
実はパンゲアという一つの
大陸だったのではないか
というものです。
この一つの大陸を超大陸
と言います。

実はもう
大陸が一つになったり
分かれたりを繰り返してきたことは
常識となっています。
次に大陸が一つになるのは5000万年~2億年後で
その一つになった大陸を「アメイジア」と呼びます。
人類が生きている可能性は低いと思いますが
「アメイジア」では本当の世界一周旅行が可能です(笑)

このアメイジアの位置について新説が発表されました。
因みにパンゲアは今の西アフリカ付近を中心に一つの大陸でした。
(日本も随分旅をしてきましたね。)
今までアメイジアの位置はパンゲアの位置だという説と
太平洋側に出来る説と二つの説があり
これらの考え方は単純な理論によるものですが
それでは説明できないことがいくつもあります。
それをこの新しい新説「orthoversion model」は解決してくれます。
細かい話は省きますが
最初に南北アメリカがくっつき北上して北極でアジア大陸とヨーロッパ
に衝突し、オーストラリアはインドにくっつきます。
そして最終的に
アメイジアはパンゲアから90度離れた北極地方にできるそうです。
日本も結構緯度があがり寒いです。
地球がそのとき温暖でなければ住むには大変かも知れません。
少なくとも寒いのが嫌いな私には無理です(笑)

あまり知られていないようなのですが
地球はパンゲアの前にも何度も超大陸になったり
バラバラになったりを繰り返しています。
この超大陸も新説が正しいことを示すかのように90度ずれた
位置で形成されました。
今のところ分かっている超大陸は
ヌーナ→ロディニア→パンゲアそしてアメイジアとなります。

5000万年~2億年後
どのような種が進化して
どのように暮らしているのか
想像するだけでもワクワクします。
地球は生きています
地震は怖いですが
その地球の息吹が地震であったり
火山活動であったりするわけです。
生きている地球に生かされている我々は
これらとうまく付き合っていくしかないと
改めて思います。

原子核について [科学ネタ]

化学の授業や科学の本などで
色々な数値がでてきますが
それをしっかりと具体化しているでしょうか。

昨日授業をやっていて
案外そういう基本的なことが
抜けているのではないかと思いました。

例えば
昨日は原子の内部構造について
授業をしていました。

原子はかなりスカスカです。
ちょうど野球が始まるシーズンですので
野球で例えると
東京ドームの真ん中にパチンコ玉を置きます。
これが原子核です。
電子はどの辺にいるかと言えば
東京ドームの外周をノミよりちょっと小さいくらいの大きさで
回っています。
本当にスカスカです。
私達の身体はこうした原子、分子が集まってできています。
…とすると
私たちの身体もスカスカなはずです。
でも
道を歩いていて
スカスカで向こうが透けて見えるような人に出会ったことは
おそらくないと思います。
これは何故でしょうか?

スカスカである証明は
ニュートリノが証明してくれます。
私たちの身体には約1秒間に1兆個のニュートリノが通り抜けています。
これは私たちの身体がスカスカであるからです。
スカスカなのに物体として見えるというのは
一つには私たちの目の分解能の問題です。
これはわかりやすいと思います。
細かすぎて隙間が見えないので
スカスカな人に出会ったことがないのです(笑)
ただ実はこれは正確な説明にはなっていません。
もし仮に私たちの目の分解能が原子レベルになっても
その隙間は実際にはほとんど見えません。
これは量子論の問題を含んでいて
なかなか一般の方に分かるように説明しづらいのですが
正確さを犠牲にして分かりやすく言うと
電子が非常に速く動いているためにその残像で
スカスカには見えません。
もう少し正確にいうと
スカスカに見えるということは位置が決まることで
位置を決めにかかると
今度は電子の運動量が決まらなくなってしまうのです。

教科書に書いてあることを鵜呑みにするのではなく
疑問を持って具体化して
色々考えてみると本当に面白いと思いますし
科学の力もつくとおもいます。

無事送り出しました [科学ネタ]

先ほど帰宅しました。
ここ最近は終電で帰る日が続き
しかも午前中から授業があるという
恐ろしい日々でした…
自分でもよく乗り越えられたと思います。

ここ二、三週間タイムスリップしたような
修行にでもいってたかのような
受験以外考えられない日々でした。
それも今日でひと段落です。

あとは明日復習をして土日の本番
そして運命の3月10日
合格発表です。
ここで終わればベストですが
落ちた場合にはまだ後期もありますし
第一志望に合格した生徒も
私大の後期だけ受験するかも知れません。
この辺は今のところ流動的でなんとも言えません。

まだ忙しい日々が続くかもしれませんが
私としてはやるだけのことはやったので悔いはありません。
本番でどんな結果がでてもそれを真摯に受け止めて
生きていくしかありません。

私は授業で勉強を教えていますが
毎年それ以上のことを生徒から教えてもらっている
気がします。
私もまだまだだな

つくづく思います。

今年の生徒は
合格ラインから遠いスタートだったので
本当にギリギリ間に合った感じです。
本当によく頑張ったと思います。
この頑張り自体に私は合格より重い価値があると思います。
人の頑張っている姿ほど美しいものは
この世にないと思います。

本番は一回きり
うまくいくことも
そうでないこともあります。
それで人の評価が変わるわけではありません。
ノートが真っ黒になるまで書いて書いて勉強した
その全てを土日にぶつけてきて欲しいです!!

地震の確率 [科学ネタ]

最近東大地震研究所から
首都圏でマグニチュード7規模の直下型地震が
4年以内に70%の確率で起こるということが
発表されました。
私も様々な方からこのことについて質問されました。
そこでまず思ったのが
皆さんが地震の確率ということを誤解されているということです。

地震の確率というのはかなりいい加減なものです。
普通、降水確率などは過去のデータで同じような気圧配置だと
どれくらい雨が降るかを計算したもので
それに確率という表現は適当だと思いますが
地震の場合は確率と呼ぶにはどうかと思えるものです。

今回の東大地震研究所が算出したものもそうですが
地震の予知は
マグニチュードが1上がると地震発生頻度が10分の1になるという
「経験則?」から成っています。
しかもこれはひどい経験則です。
世界の年平均で
マグニチュード
8以上1回(1900年以降)
7~7.9は17回(1990年以降)
6~6.9は134回(1990年以降)
5~5.9は1319回(1990年以降)
で4以下は多過ぎて正確なデータ無し。
これを根拠に
マグニチュードが1上がると地震発生頻度が10分の1になると言っているわけですが
こんなものが正しいと言えるでしょうか。
マグニチュード8以上だけ1900年以降になっていますし、
狭い範囲でしか成り立っていない経験則です。
地震を科学的に予知することは不可能ですので
本当かどうかわからない
上の法則で全て計算されています。

今回の発表を見ると
東日本大震災後と震災前ではマグニチュード3~6の地震が
起こった頻度が五倍に増えているので
じゃあ
マグニチュード7なら
計算すると4年以内に70%の確率になるということです。
私は科学的根拠はないと思いますが
仮に先程の経験則があっているとしても
それはマグニチュード5~7.9の範囲内限定です。
それを3~6に援用していいのでしょうか?
さらに
そもそもマグニチュード7が起こる根拠はなにもなく
マグニチュード8で計算すると約7%
マグニチュード9で計算すると0.7%と机上の計算でなるだけです。
おそらく7%や0.7%はインパクトがないので
マグニチュード7を発表したものと考えられます。

一般の方は
マグニチュード7が70%で起こると聞けば
マグニチュード7が実際に起こると思われていますが
地震の予知はそんなことはできません。
最近の地震でマグニチュード3や4の頻度を調べ
マグニチュードが1上がると地震発生頻度が10分の1になるという
根拠のない数式に当て嵌めて発表するというお粗末なものです。
日本ではマグニチュード3以上の地震(海洋を含め)が
年平均5000回起きますので誰でも
予想をすれば地震の予想は当たります。
残念ながら地震研究の現状
というのはその程度のレベルです。
地球の半径は6400㌔もありますが
人類が一番深く地面を掘れた記録は
ロシアのコラ半島の12㌔までです。
これで断層等の分布がとても正確にわかるはずもなく、
しかも仮に全部わかったとしても原理的に予知は不可能です。
(これは数学と物理から原理的に不可能なのです)

私たちは宇宙よりも
地球の内部についての方がよくわかっていません。
地震の予知情報は正確なわけはなく
ただ日本は沢山地震がありますので
沢山予想をすればどれかあたるだろうくらいのザル予想なのです。
残念ながら
日本人はいつでも地震に関する
備えをしておかなければならない
くらいのことしか
科学的には言えないのが本当だと思います。

(オマケ)
科学的に言えることは
東日本大震災が起こったために
地震のタイムテーブルが先に進んだことです。
また確実な予知は不可能でも
起こる前兆を
地層の滑りや電離層の増加など
でとらえようと研究が進められています。
地震については
発生メカニズムさえ完璧にわかってはおらず
これから人類が様々な経験
(人類と言っても地震が起こる地域は
限られており、そこでしか研究はされていませんが)
をして帰納的に少しずつわかっていくものだと思います。

ハイゼルベルクの不確定性原理から小澤の不等式へ [科学ネタ]

先日ネイチャーの電子版で軽く読んだのですが
ハイゼンベルクの不確定性原理が常に成り立たない
という実験結果を
ウィーン工科大と名古屋大の研究チームがまとめました。
受験があってあまり趣味に割く時間がないため
まだ細かく論文を読んでいませんが
日本人の小澤正直が主張されていた
ハイゼルベルクの不等式に補正を加えたものの方が
より正確にあっているようです。

勿論不等式ですので
実験の精度アップによって精密な実験ができるように
なるとともに
さらなる不等式が成立する可能性があります。

ハイゼルベルクの不確定性原理というのは
ある大きさ以下になると
原理的に位置と速度は同時に測れないというものです。
位置を正確に知ろうとすると
速度の誤差が増し
速度を正確に知ろうとすると
位置の誤差が増す
というなんとも我々にとっては悩ましい不等式なのです。
ですからある大きさ以下のものに関しては
基本的我々はコントロールできなくなるわけですが
小澤の不等式では
正確に測れる範囲が少し広がっていて
今回そちらの方が正しいことが示されましたので
私たち人類の自由度が増えたわけです。

これによって不可能だと思われていた
もう少し小さな世界で
いろいろな技術開発の可能性がでてきました。

量子コンピュータに向けて大きな一歩かも知れません。