SSブログ

地震の確率 [科学ネタ]

最近東大地震研究所から
首都圏でマグニチュード7規模の直下型地震が
4年以内に70%の確率で起こるということが
発表されました。
私も様々な方からこのことについて質問されました。
そこでまず思ったのが
皆さんが地震の確率ということを誤解されているということです。

地震の確率というのはかなりいい加減なものです。
普通、降水確率などは過去のデータで同じような気圧配置だと
どれくらい雨が降るかを計算したもので
それに確率という表現は適当だと思いますが
地震の場合は確率と呼ぶにはどうかと思えるものです。

今回の東大地震研究所が算出したものもそうですが
地震の予知は
マグニチュードが1上がると地震発生頻度が10分の1になるという
「経験則?」から成っています。
しかもこれはひどい経験則です。
世界の年平均で
マグニチュード
8以上1回(1900年以降)
7~7.9は17回(1990年以降)
6~6.9は134回(1990年以降)
5~5.9は1319回(1990年以降)
で4以下は多過ぎて正確なデータ無し。
これを根拠に
マグニチュードが1上がると地震発生頻度が10分の1になると言っているわけですが
こんなものが正しいと言えるでしょうか。
マグニチュード8以上だけ1900年以降になっていますし、
狭い範囲でしか成り立っていない経験則です。
地震を科学的に予知することは不可能ですので
本当かどうかわからない
上の法則で全て計算されています。

今回の発表を見ると
東日本大震災後と震災前ではマグニチュード3~6の地震が
起こった頻度が五倍に増えているので
じゃあ
マグニチュード7なら
計算すると4年以内に70%の確率になるということです。
私は科学的根拠はないと思いますが
仮に先程の経験則があっているとしても
それはマグニチュード5~7.9の範囲内限定です。
それを3~6に援用していいのでしょうか?
さらに
そもそもマグニチュード7が起こる根拠はなにもなく
マグニチュード8で計算すると約7%
マグニチュード9で計算すると0.7%と机上の計算でなるだけです。
おそらく7%や0.7%はインパクトがないので
マグニチュード7を発表したものと考えられます。

一般の方は
マグニチュード7が70%で起こると聞けば
マグニチュード7が実際に起こると思われていますが
地震の予知はそんなことはできません。
最近の地震でマグニチュード3や4の頻度を調べ
マグニチュードが1上がると地震発生頻度が10分の1になるという
根拠のない数式に当て嵌めて発表するというお粗末なものです。
日本ではマグニチュード3以上の地震(海洋を含め)が
年平均5000回起きますので誰でも
予想をすれば地震の予想は当たります。
残念ながら地震研究の現状
というのはその程度のレベルです。
地球の半径は6400㌔もありますが
人類が一番深く地面を掘れた記録は
ロシアのコラ半島の12㌔までです。
これで断層等の分布がとても正確にわかるはずもなく、
しかも仮に全部わかったとしても原理的に予知は不可能です。
(これは数学と物理から原理的に不可能なのです)

私たちは宇宙よりも
地球の内部についての方がよくわかっていません。
地震の予知情報は正確なわけはなく
ただ日本は沢山地震がありますので
沢山予想をすればどれかあたるだろうくらいのザル予想なのです。
残念ながら
日本人はいつでも地震に関する
備えをしておかなければならない
くらいのことしか
科学的には言えないのが本当だと思います。

(オマケ)
科学的に言えることは
東日本大震災が起こったために
地震のタイムテーブルが先に進んだことです。
また確実な予知は不可能でも
起こる前兆を
地層の滑りや電離層の増加など
でとらえようと研究が進められています。
地震については
発生メカニズムさえ完璧にわかってはおらず
これから人類が様々な経験
(人類と言っても地震が起こる地域は
限られており、そこでしか研究はされていませんが)
をして帰納的に少しずつわかっていくものだと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0