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因果関係と向き合う [科学ネタ]

科学というのはある時期から因果関係との戦いで
それは今も続いています。
ある時期というのは
ニュートンが運動方程式という因果則を見つけだし
その大成功によって、全ての科学は因果関係を見つけだす
学問となってからです。
因果関係を示すこと自体が科学である。
逆に言うと因果関係を示せなければ科学ではない
という考え方が
近代科学の恩恵に浴した我々の隅々にまで浸透しているという
事実を日々痛いほど目の当たりにします。

その中で沢山の誤解や間違えが生まれていっています。
一番単純なものでいうと相関関係を調べて因果関係を読むという誤謬です。
これは統計学上絶対にやってはいけない
数学でいうとゼロでわるようなものなのですが
まあ至る所で相関関係から因果関係を読むということが行われています。
簡単な例で言うと
残酷なゲームをやっていた人と凶悪犯の相関関係を調べ
正の相関(ゲームを沢山やった人ほど、凶悪犯が増えている)があっただけで
残酷なゲームは禁止すべきだ、なぜならばゲームを沢山やると凶悪犯になる可能性が
増えるからだと勝手に因果関係を読んでしまう場合です。
そんなことはありません。そもそも凶悪犯になる素養を持った人が、残酷ゲームを好んでやる
傾向がある可能性もあるからです。
相関関係から因果関係を読もうとすることすら本来はやってはいけません。

ただ、人類も因果関係について
勿論、まったくわからないままにしているわけでは
ありません。
それから様々なアプローチが試みられてきました。
それはまたいつか書くことにします。

経済評論家にしろ、歴史学者にしろ
なんでもかんでもそれらしい因果関係で現象を結ぼうとします。
デフレが起きた原因は何何だから
だとか
税収が減った原因は何々だから
とか
もっともらしいことを吹いていますが
そんなに世の中の減少は一つのことが引き金、原因になって
結果が起こるわけではありません。
これは完全にニュートン力学のままの思想です。
歴史学もそうです。
なぜ本能寺の変が起きたのか
というときに皆もっともらしい原因を一生懸命探して
因果関係で結んでお話をつくるのが歴史学ですが
本当はぱっとそのときに思いついたのかもしれませんし
その時うつ病だったのかもしれませんし
被害妄想が膨らんだだけなのかもしれません。
現代の事件ですら、なぜ起きたのか因果関係で語ることは
難しすぎます。日々起こる事件についてさえも裁判等をやっても
本当の因果関係というのはつかみきれません。
それを何も残っていない時代のことについて古文書を紐解いてやるなど
ということは元々無理なことなのです。
残っている資料をすべて信用して歴史は作られていますが
中にはふざけて嘘を書いている人がいるかも
しれませんし、今風に言うとゴーストライターがいるようなことがあっても
何ら不思議はないのです。

カオスについて以前に書きましたが
ニュートン力学的因果則が蔓延している世界では
科学者というのは一般の人からすぐに因果関係を求められます。
なぜ東日本大震災は起こったのですか
阪神淡路大震災は起こったのですか
なぜガンになったのですか等々困る質問について
一応相手が納得するように因果関係をつけて話せば
世の中丸く収まるというだけです。
本当はわからないものはわからないんです。
断層があるから地震が起きるわけではありません。
日本中どこでも地震がおきる可能性があります。
東日本大震災も阪神淡路大震災も、大きな地震が起こる可能性
10%未満の地域で起きました。
他に高い確率のところは沢山あるのになぜ起きてしまったのか?
それは正直に言えば誰もわかりません。
それでも理由を求められるのでいい加減な科学者は屁理屈を並べて
因果関係に持ち込みます。
ガンにしたってそうです。私が今ガンになったとして何が原因でなったか
それは誰にもわかりません。ついてないというだけです。
それでも、私がどうしてガンになったのか
医者に問いただせば適当に因果関係を考えて
答えてくれます。私を一時的になっとくさせるための嘘の理由ですが。

今の時代
わからないことをわからないと、いいづらい時代になってきました。
これがニュートンの偉大な功績です。
低線量被爆の影響はどうだと言われても、他の影響の方が大きすぎて
わからないとしかいいようがないのです。
でもそうすると、科学者は何をしてるんだ
わからないわからないなんて科学は役に立たないんじゃないか!と
怒られるわけです。
税金をそんなものにつかうなと言われてしまうわけです。

数学以外のすべての科学はこれから
因果関係とどう付き合っていくか真剣に見直さなければならない時代に
なってきていると思います。
それと共に一般の人々の科学mindもそろそろ20世紀以降版に
up dateする時がきているのだと思います。
科学教育の改革が必要なんです。
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