SSブログ

学べば学ぶほど分からなくなり、難しくなります [科学ネタ]

私にとって一番難しいものは物理で
一番分からないものも物理なんです。

飛行機は何故飛ぶか?
そんなことは物理を始める前子供の頃は
単純に考えていました。
ベルヌーイの定理によって翼の形の
上と下の空気の流れに差ができ
その差によって揚力ができて浮き上がる。
そしてその理由は翼の後方で等時間で空気が出会うから。
今、考えれば馬鹿みたいな説明を鵜呑みにしていました。

上と下の空気の流れに差ができ
その差によって揚力ができるというのは
「概ね」あっています。
しかしその理由が問題なんです。

あれは確か小学校の時
映像でアクロバット飛行をしている飛行機を見て
はっと気がついたんです[exclamation×2][がく~(落胆した顔)]
自分は飛行機に実際に乗って飛んでもいないのに
とんでもない考えを思いついてしまいました。
それはあの本の説明だとアクロバット飛行なんて
あり得ないということです。

あの本の説明だと
逆さ向きになった飛行機は
同時に空気が翼の後方に着くのならば
羽根の形が逆の為、揚力は働かず
墜落するはずなんです。
更に考えてみると…
適当に作った紙飛行機が空を飛ぶのは何故だろう。
昔あった、ゴムをくるくる丸めて飛ばす飛行機が飛ぶのは
何故だろう、
と疑問に思う訳です。
勿論、そんな疑問を解決することなど当時の私にはできませんでした。
しかし
その疑問をずっと頭の片隅に残しておくということが大切です。
疑問は疑問のままでいいんです。
なんでもすぐに答えを聞いてしまっては思考力はつきません。
これは入試においても同じなんです。

そんな疑問を抱えたまま
五、六年経つと一通り色々な微分方程式等が
解けるようになり、物理学者が作った
「クッタ・ジェコフスキーの定理」などを学んで
飛行機の翼の後ろの縁がとがってさえいれば
クッタ条件を満たし、翼のまわりに渦が生じ
空気の流れに差ができ、揚力を生じ空を飛べる。
ということを数学的にある程度納得することができました。

ここまできて
やっと飛行機が飛ぶ理由がわかった!
と思いました。

飛行機の羽の後ろ側が丸まっている飛行機は
実際に飛べませんし
空気のシミュレーション、実際の実験でも
クッタ条件を満たした渦ができることが確認されています。

はい、これで終わり。

世の中の本等も大抵このような説明で終わっていると
思います。
私が最初に書いた初歩的間違えを流布している本も
沢山ありますし、その他ニュートン力学で説明するものまで
ありますが…
とにかくこれで一応の説明はつきました。
めでたしめでたし[手(パー)]

…と
ここで分かった気になれればどんなに楽か…

…更に物理の勉強を進めていくと
まず自分たちが信じている
流体力学の定理自体の数学的な問題に気づいてしまいます。
ベルヌーイの定理やクッタ条件の問題点といいましょうか、
諸々の条件が
少々おかしなところがあることに気がつくわけです。
大体こんな感じ
で誤魔化している部分があるんです。

そうなると…本当に
「飛行機が飛ぶ理由がわかった」とは言えないわけです。
まあ、大まかに分かってはいるし、実際に毎日鬼のように沢山
飛行機は飛んでいるんだから、気にするなと言われればそれまでなのですが
勉強すればするほど、ものごとの難しさに気づくんです。

これは普通のことです。

少年野球の頃は本当の野球の難しさなんてわかりません。
スランプもありません。
練習すれば練習するほど
試合をすればするほど
野球の怖さや難しさがわかってくるんです。
気軽にテレビ観戦して
選手の悪口を言っていた少年時代の頃が懐かしくなります。
実際に野球をやるとプロ野球は恐ろしくレベルの高い世界だと
いうことに気がつきます。
甲子園にででもプロで活躍できる選手なんて本当に数%しかいません。
その甲子園にすら私は出られませんでした。

あまり深く考えないこと、あまり深くやったことがないと
本当の難しさというものに気がつくことはないんです。

私は宇宙の始まりについて研究していますが
これも考えれば考えるほど問題の方が難しくなっていくんです。
いつも「信じてしまえ」という誘惑に負けてしまいそうになります。
ニュートンが万有引力の公式を発表したときに
それでは、何故万有引力が働くのか?
と問われたときに
働くものは働く、この方程式に「何故は」ないと言いましたが
最終的には
・あるんだからしかたないだろう
・神様がやったからだ
・聖書に書いてあるからそう信じなさい………
などの
思考をやめた結論にたどり着きたくなるものです。

でも私たちは
常に考えなければならないと私は思います。
私は
死んだときに疑問を感じなくなるわけではなく
疑問を感じなくなったら死にます。
何故生きているのか、わからないから生きています。

学べば学ぶほど難しい
これは普遍的真実のように思われます。
しかし、それ自体も疑って考えることも大切なんです。
考えることが多過ぎて人生が足りません。
でも、だから人生は楽しいんです[ぴかぴか(新しい)]


このブログの読者で受験勉強を
始めた方や勉強を始めた方もいると思います。
勉強は始めると難しくなります。
傍で見るより実際にやる方がもっと難しいですし
やればやるほど難しくなります。
大切なのはそこで諦めないことです。
そうすると少しできるようになります。
少しできると楽しくなります。
しかし、そうなると更に難しさに気がつくんです。
あとはずっとこの繰り返しです。
勉強ができない人は
勉強ができる人は苦労していないだろうとか
そんなに悩みはないだろうとか
思うかもしれませんが
出来れば出来るようになるほど悩みは深く
問題は難しくなってくるんです。

人は
わかった、極めた、終わったと思った瞬間
そこで成長はとまりますし
それは何かを悟ったのではなく
考えることを諦めただけなんです。
悟りを開いた人=考えるのを諦めた人だと私は思います。

nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 8

家庭教師市橋

は~ん
そうなんだ。
批判も載せるんだよね?
今から言いたいことは言わせてもらうよ、プロとして。
物理屋さんは未完成な授業をやってお金をとるんだ。そりゃあ
みてもらう人はたまったもんじゃないわな。
ご愁傷様。
私は経営面でも指導面でも完璧。だから家庭教師をやってる。
わからないことだらけでプロを名乗るってどうよ?
プロならもう極めたって思うときがあるっしょ。
それがなきゃ駄目だよ。
自分は早稲田慶應ダブル合格した時に受験を極めたと思ったよ。
極めてこそプロでしょ
極めてないならプロは名乗っちゃ駄目よ、ダメダメ
by 家庭教師市橋 (2014-11-03 01:21) 

家庭教師市橋さんへ

ソクラテスの無知の知を一度学習された方が良いかと思われます(笑)
by 家庭教師市橋さんへ (2014-11-03 08:58) 

みんなプロ

どなたかの前回の”草野球”コメントは、少しなるほどと思ったのですが。。。
「これはイチローが草野球が好きだからって草野球でプレイしてるようなものなの。イチローがいたら皆草野球なんてつまらないからやめるでしょう。あなたがやっていることはそういうこと。あなたが家庭教師なんてやってブログを書いていたらみんなやる気がなくなりまーす。」
今回は”プロ”の立ち位置からのコメントですね。いずれにしても、物理屋hνさんがイチローという例えは、”探求者・極めようとする人”という点で当たっているかと感じます。が、プロ野球選手やメジャーリーガーは、そんなイチローにイチャモンはつけないかと。。。
(まあイチローはそんなの全く気にしていないでしょうが)
物理屋hνさん、これからもブログ楽しみにしています。
by みんなプロ (2014-11-03 17:35) 

弱者の立場を

私は市橋さんの意見はごもっともだと思います。
書き方や言葉遣いは改めた方がいいとは思いますが…。物理屋さんが言っておられるのは空理空論に近いと思います。皆、毎日やることが多くて忙しいですし、何でも何故かどうしてか考えている暇なんてありません。毎日働いて生活で一杯一杯なんです。また仮に暇があっても考えられる能力がありません。
物理屋さんは頭がいいから考えられるでしょうけど…。普通は無理です。何でも何故か考えていたら、毎日生きていけません。
物理屋さんは「考えられない人=駄目な人」と考えられているのではないですか?根本的に。
ですから市橋さんや無駄は貴方さん、田中さんなどが言っておられることが理解できないのではないですか?世の中には能力がなくても必死で毎日を生きている人がいます。そういう人をさげずみ、自分は特別だから特別な方法で業界とは差別化した仕事をしているとは思っていませんか?
物理屋さんが善意だと思われてやられることが
実は多くの人に被害を与えていることに気づかれないのですか?
by 弱者の立場を (2014-11-03 18:53) 

大学教員

弱者の立場さん
それは論点をすり替えていると思われます。
そもそも物理屋さんは
あなたのおっしゃるような考えられない、考えない人間=駄目な人間などと一言も言ってないと思います。またそれは今までのブログを読み返してみてもそんなことをおっしゃる方だとは到底思えないはずです。むしろこれは逆の話で
非常に考えさせられるいい話です。もう一度しっかりと読まれた方がいいかと思います。
by 大学教員 (2014-11-03 19:07) 

774

少々コメント載せすぎですね。言い争いになっていますよ。

恐らく普通の読者は物理屋さんの同業者の批判コメントは見たくないんだと思います。ですが、物理屋さんとしては物理屋さん向かう意見ならば載せたい、と思っていらっしゃる。

ただまたそのコメントに対するコメントも投稿される。

これでは今後もコメントは増えていくでしょう。

私はよくわからないコメントを読むのも楽しいですが、ブログの秩序のため、しばらく批判的なコメントは掲載しないようにするのはいかがでしょうか。

あと草野球の例え話ですが、まだまだ甘いでしょう。

つまり、能力がありすぎる人間は同じ土俵に立つ人間のやる気を失わせる、ということをいいたいのでしょうが、これは人によるでしょう。

例え負け試合だとしてもイチローがまじめに勝負してくれることほど光栄なことはないと思う人も当然いるわけです。野球を一生懸命やっていればやっている人ほどそう思うのではないですかね。素人の僕でも、僕が投げたボールを本気でイチローが打ってくれたら感動すると思いますけどね。世界が認めるイチローが、本気で勝負する相手だと認めてくれたわけですから。

むしろ勝ち負けにこだわる低レベルな野球人(意識の低い家庭教師、塾講師、その他関係者など)はやる気を無くすでしょう。勝てないんじゃおもしろくありませんからね。

つまり「お前はイチローだが人のやる気を下げさせる悪いやつだ」といったつもりが「お前はイチローだが、俺はイチローに勝てないことでやる気を無くすレベルの低いやつだ」と言ってしまうことになるんです。

イチローと草野球したらすべての人間がやる気を無くすと思っている思考からの発言でしょう。少し視野が狭かったかなと思います。面白い例えではありましたが。
by 774 (2014-11-03 20:38) 

科学者H

物理屋hνさんの持つ概念が書かれていて、なかなか面白いです。コメントでも、皆様の考え方の一部が表現されていて面白いです。ありがとうございます。応用物理学が専門の者です。

物理を一番深く考えてるので最も難しく感じるということでしょうか。考えれば考える程、極めようとすればする程、物事の深さに気付かされることが頻繁にありますよね。そのような意味では自分にとっても物理が一番難しい分野だと言えます。
「悟りを開いた人=考えるのを諦めた人」というのは少し言いすぎかなと思います。「悟りを開く」って、「極める」もそうですが、逆説的な意味を含んでますよね。どこか一定のレベルに到達して気付きを得るということかなと思います。「悟りを開いた」という状態になって初めて、次のステップや自分の未熟さが見えること分かることがあると思います。その場合、悟りを開いたということにはなりません。自分は悟りを開くまたは極めるということは、さらに考えるまたは極めるためのスタートと捉えてます。諦めたとう状態では無いかなと思います。それぞれの物事に対する人の捉え方次第ですが。

家庭教師市橋さんは「プロ」と「極めた人」を混同されていると思います。プロは職業であるという意味でしか無いからです。極めた時、完璧では無くなります。世界が限定されるからです。(概念的でわかりにくくすいません。)プロも極めるも程度の問題なのですけどね。

弱者の立場さんの前半部分の意見はもっともだと思います。残りは勝手な憶測と疑問の文章で何とも言えません。

774さん、コメント読むの楽しいですよね。ただ、私は混沌とした世界を望みます(笑)自然な気がします。
by 科学者H (2014-11-05 13:06) 

夢は物理屋さん

物理屋さんは数学オリンピックでも好成績を残すほど数学ができますが、理論物理をやるのに数学力は必須でしょうか?僕は模試ならば数学で二桁以内には入れるのですが、以前物理屋さんが薦められていた本はさっぱり理解できません…。どうやったら高校でそんなに勉強が進むんでしょうか?僕みたいに才能がない人間が選ぶ道ではないのでしょうか??
by 夢は物理屋さん (2014-11-06 00:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0