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物理プレステ5:局所実在論からJSベルへ [科学ネタ]

昨日高校物理の
プレステ4のお話を
書きましたが
あれだけ書くと
高校物理、つまりゲームが
物理学のように思われてしまうので
ちょっとだけ
プレステ5の話を書きたいと思います。

アインシュタインのお話です。

量子論では(あくまでもミクロ
での話ですが)
例えば電子がどこにいるのか?
というのは
「確率的に」決まっていて
その電子を観測したときに
初めてその場所が確定する

という
普通の人には受け入れ難い
理論があります。

観測してようが
していなかろうが
実在するものは実在するん
じゃ~
って普通思いますよね
アインシュタインも
無論そう思ったのです。

そこでアインシュタインは
局所実在論というのを
唱えました。

局所というのは
情報は瞬時に伝わらない
つまり
アインシュタインは光速より
速い物質は存在しないと
考えているので
情報がそれを超えて
伝わるはずはないだろうという
話です。

先ほどの量子論は
観測しました→
はい、位置が
ここに確定しました

というのは
一体どういうスピードで
情報が伝わるのか?
と思うわけです。
光より速くない?
それはないよね、って
アインシュタイン思うのです。

そして
実在性のほうですが
測定前からどこに何があるか
なんて場所なんて
決まってるし
存在自体が
観測するかしないかに
影響をうけるってどういうこと?
とアインシュタイン思うのです。

実在するものは
観測しようが
しまいが
実在するんじゃ~というのが
アインシュタインの
神はサイコロを振らないという
考えです。

これって
どっちだろう?
皆さんはどちらだと思いますか?
勿論ミクロでの話です。

後ろを振り向いたら
髪の長い女の人が白装束で
立っている。
これって
振り向いて観測したら
初めて存在するのか?
それとも振り向かなきゃ
存在しないのか?
これが物理学的
「怪談」の恐怖です(笑)

普通に考えて
私が寝てても
観測しなくても
それは空に太陽はある
と思いますよ。
(笑)
まあ注意点として
あくまでも
ミクロの話で
お化けや太陽に適用するのは
間違えですが。
分かりやすくするために
言っております。

ただ……
これって20世紀初めの頃に
始まった議論なのですが
哲学の問題になったり……
してきました。
マクロへの哲学的援用です。
要は
「世界」は「この世は」
自分が生きていなかったら
存在するのかしないのか?とか
という問題です。
物理学や現代科学は
多くの分野で
哲学即ち人間の思考自体も
引っ張ってきたのですが……

哲学って物理学を
後追いする感じで
発展してきています。
物理学で新しい概念が生まれると
哲学も乗ってくる。
それでずっと進んでるように
私には見えます。

話が逸れました。

皆さんにどちらか?
と聞いたところで
そんなの分かる訳ない!
って答えが返ってくると
思いますが
みんな
そういう風に思っていて
一つの解釈なんだと
いう風にも考えられてきたのです。

ただ20世紀半ば
それを確かめる方法を
思いついた
おじさんが現れたのです。
それがJ.S.ベルです。
この理論をブログで細かく
説明はできないのですが

あるものを
2カ所で観測して、それぞれ
観測結果に+1、-1を割り当てる
そうすると
A地点の観測二通り、プラス1かマイナス1か
B地点の観測二通り、プラス1かマイナス1か
この積の組み合わせを考えて
細かくは書けませんが(^0^;)
相関みたいな
積の和を4通り考えるんです。
その三つを足したもの、一つをマイナスにして
足したものをCとすると
もし局所実在論があってるならば 観測結果の相関みたいなCは 2≧C≧-2になる筈である。

(この導出は実はそんなに
難しくないです。
ただブログだと長すぎて
うまく書けないだけです(^0^;))
↑積分が得意な高校生には
割と簡単に説明出来ます。

というのがベルさんが
述べた結論です。
ちょっと
後の人が数式に
工夫を加えましたが
言ってることは同じです。

このアインシュタインのような
局所実在論は
私達が確率的に
考えてしまうのは
私達が無知なだけで
ほんとうは決まっていて
それを科学が進めば分かるように
なるのではないか?という
お話です。
それに対して
量子論は無理だよ、確率なんだよ
というお話です。

この実験どうなったと思いますか?
な、なーんと
絶対値2を超える値が
できたのです[ひらめき]

……ということは
局所性か実在性
どちらかが
間違えてるということなのです。

ただ局所性は
光速は絶対速度であるとか
諸々不都合がでまくるので
間違えてはいないだろうと……

ということは
実在性が間違えている[ふらふら]
つまり確率的に存在するものが
ある
ということなのです。
測定をする前から
存在が決まってるものは
ないということです。
つまり
量子論に軍配が上がったのです。

興味のある方は
大学で物理を学んで下さい
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量子論的には
先ほどの
Cの絶対値は2ルート2という
チレルソン限界という最大値が
求まっていて
その理論にあった
つまりCは今は
2と2ルート2の間でしか
実験的に見つかっていません。

ただ間違えないで欲しいのは
すべてが確率で存在するわけではなく この世には局所実在論では 表せない、記述できないものが 存在するというだけです。

そして
先ほどの実験
つまりCがベルの不等式を超えている
実験を行った3人に
最近私が
軽く文句を言った
2022年ノーベル物理学賞が与えられたのです
(笑)
それでその受賞者の頭文字等をとって
先ほどのベルの不等式
CHSH不等式と呼ばれるようになりました。
ベル本人は1990年に
亡くなっているのでもらえませn
でした。

(オマケ)
生徒から質問を受けるので
2023年のノーベル物理学賞の話をして
おくと
今まで確か1999年くらいですが
フェムト秒、つまり10の-15乗秒を
みることができるパルス波が
生成され
これはノーベル化学賞をもらってます。
このくらいの光を扱えると
分子の動きが捉えられるのです。
2001年だかそのくらいに
今度は10の-18乗秒(アト秒)のパルス光を
生成する方法が見つかって
それが今回のノーベル物理学賞です。
アト秒になると電子の運動がわかるよう
になるということです。
これは
私が20歳くらいの時から
稀ガスに赤外線を
ガツンと当てると
波長が短い紫外線の光が出てくる
もので
これを応用していったんです。

こんなかんじで
プレステ5終わりです。

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コメント 3

鉄子

ミクロの世界では色々なことが
起こってるんですねえ
へえー
全く想像できないです
ミクロを足したらマクロなのに〜
by 鉄子 (2023-10-06 20:29) 

お名前(必須)

ツナ缶を足しても
マグロにならないのと同じ!
by お名前(必須) (2023-10-06 20:29) 

無趣味

面白いですね
このブログの古のカテゴリ「相対性理論講義」を思い出しました
あの頃は手書きの画像使ってたのに笑
by 無趣味 (2023-10-06 23:00) 

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