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合格のその後が大切です。 [受験]

日本の教育システムにおいて
一般の方々も私たち受験業界に身を置くものも
ともすれば合格したらそれでOKと考えがちです。
本当はそれではいけません。
有名な進学校に入ればそれで大丈夫
有名な塾に入ればそれで大丈夫
そう安心したい気持ちもわかりますが
当たり前ですがそんな単純な話ではありません。

今年の東大合格率ランキング
(合格者数で考えると一学年の人数がかなり学校によって違う
ので比較できません。)
を見てみると
1位「筑波大学附属駒場中・高等学校」50.6%
2位「灘高等学校」34.5%
3位「栄光学園中学校・高等学校」26.4%
4位「開成高等学校」26.1%
5位「駒場東邦中学校・高等学校」25.5%
6位「桜蔭中学校・高等学校」23.9%
7位「聖光学院中学校・高等学校」23.8%
8位「麻布中学校・高等学校」16.9%
9位「久留米大学附設高等学校」11.3%
10位「北嶺中・高等学校」10.4%
となっています。

これを見れば分かる通り
例えば全国合格者数ではトップの開成高校でさえ
現役生、浪人生合せて四人に一人くらいしか東大には受かりません。
現役生だけで言うと五人に一人くらいです。
つまり40人のクラスで8名程度しか東大には受からないのです。

それなのに親御さんや生徒の中には開成に合格出来れば
東大に合格したような気になってしまう方がいます。
開成でも80%は東大に現役では行けません!
この事実をあまり見ようとしないのか何なのか
よくわかりませんが、
開成にいようが何しようが全く安心はできないのです。
これで安心できるようでしたら
統計感覚に問題があります。

ですから難関校に受かっても安心は一切ありませんし
むしろその後にしっかり勉強をバリバリ頑張った人が
開成のような有名進学校でも20%の現役東大を勝ちとれるわけです。

しかし…です。
矛盾したようなことを書くようですが
私の生徒でも高校三年間しっかりと、適切な方法で勉強すれば
東大というのはそんなに入るのが大変な大学ではありません。
50%の得点率で合格できますし、問題が難しいわけでもないのです。
はっきり言って開成中学、高校に合格できる能力、努力できる才能が
あれば本来100%近い合格率でもおかしくはないのです。
それなのになぜ実際は二割しか合格できないか、というと
それは開成という難関校の合格がゴールだと思って
勉強してきた人が多いからです。

私も今まで難関校に入って落ちこぼれてしまった人は沢山みてきました。
それを立て直すのは本当に大変なんです。
生徒に変なプライドがあって、本当は高一の基礎からやり直すくらいの
実力でもそこからやり直してくれないからです。
これを説得するのに最低でも一か月はかかるんです。
自分の現状をしっかりと認識し、それに見合った努力をすれば
もっとも効率がいいのですが、プライドが邪魔してそれができないんです。

そもそも何故落ちこぼれてしまうかといえば
単純な話で勉強をしないからです。
厄介なことに難関校に入ってしまうと親も安心して
遊んでばかりいても注意はしません。
子供の方も何か言われても「開成に受かったんだからいいだろう」
ともっともらしいですが、訳のわからない反論ができ
それで親もそれ以上言わないのです。
そんな生活を一年、二年と繰り返すうちに
どんどん成績は落ち、劣等感に苛まれ、さらに勉強しなくなるんです。
その結果、志望大学に入れないという結果になってしまうんです。

これは何でもそうなんです。
例えば医学部にやっとの思いで合格した。
でもそれで医者になれるわけではありません。
その後の六年間、更に勉強を積まなければならないのです。
受験はその為の勉強に慣れる準備のようなものなのです。
その準備が目的化してしまったら大変な失敗を招きます。
これは私たち受験業界に身を置くものが肝に銘じなければならないことです。
必ずその後のその生徒の人生を考えて
授業の中で受験以外の布石を打っておかなければなりません。

何が一番大切か
といえば
それは生徒が主体性を持って勉強するということなのです。
塾や私や親が強制的に勉強せざるを得ない環境を作ったところで
その受験自体はうまくいくかもしれませんが
その後のfreeな状態で、その生徒は絶対に勉強していくようにはなりません。
難関校に入るだけでは意味がないのです。
その後にその生徒が主体性をもって勉強していけるか
その後を考えた教育というのを
少々遠回りになっても指導していかなければならないのです。
それが教育を生業にする私達の使命だと私は思います。
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YUI

涙がでました。
正に先生のおっしゃる通りです。
私の息子のことを書かれているように錯覚したくらいです。
小学校の頃からサピックスに任せきりで、サピックスや私に言われるがまま息子は勉強し第一志望の開成に合格しました。中学に入ってからは鉄緑会に入り、毎日毎日、塾で頑張って勉強しているように私には見えました。家族も特に気にせず、学校の成績が落ちても、本人は学校の成績と塾や模試は違う、鉄緑会に入っていて開成なら普通に東大に受かると申しておりました。私も義母の介護等に追われすっかり息子の言うことを信じきってしまっていました。受験で全てがわかりました。現役時は全滅。本人が絶対に落ちるわけがないと言っていた早慶にも落ちました。そして浪人。先輩の薦めもあり駿台に通っておりました。恥ずかしながらその時でさえ駿台に通わせてさえいれば大丈夫、息子を信じていれば大丈夫だと思っておりました。やはりそれは大きな間違えで、一浪しても合格したのは滑りどめの東京理科大だけでした。私はもう一浪して東大を目指すように諭したのですが、息子にもう勉強はしたくないんだと怒鳴られました。どうしてでしょう。情けなくて情けなくて涙が止まりません。先生のおっしゃる受験のあとの主体的に勉強する姿勢が欠けていた、親がそういうことに気付いてあげられなかったことを息子に対しても申し訳なく思います。今は少し落ち着きましたが何とか大学院受験だけでもしてほしいと思っています。これもおしつけでしょうか?先生のような家庭教師の方にお会いできていればと涙がとまりません。
by YUI (2014-07-07 00:45) 

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