超伝導共振器に任意の量子状態を合成する [科学ネタ]
先週カリフォルニア大学が発表した論文で興味深いものを
紹介します。
一時期もてはやされたので
ご存じの方も多いと思いますが
量子コンピュータというものがあります。
量子コンピュータは
次世代コンピュータとして期待されていますが、
なかなか乗り越えなくてはならない壁が大きく
あまり大きな開発の進展は見られていません。
その最も基本的で大きな壁は
量子系が「同時に二つの場所に存在する」
ことができる点にあるのです。
(これは長所でもあるのですが)
この重ね合わせの状態を調整して用いることが
量子計算や量子シュミレーションの基礎となるわけですが
これが極めて難しい話なのです。
トラップされたイオンの運動状態、マイクロ波共振器、光共振器の
ような調和系に複雑な重ね合わせを生成するのは
古典的な制御シグナルでは不可能なのです。
今回のカルフォルニア大学の論文では、この問題点を突破する
一つのヒントになるであろう方法が発表されています。
電磁共振器に任意の量子状態、すなわち
様々な光子数の状態の重ね合わせを完全に制御された決定論的な
やり方で調整し、測定できることを実証したのです。
その方法とは、すでに実証された方法を一般化した
アルゴリズムを使って、超伝導位相キュービットで
共振器中に位相コヒーレントに光子をポンプすることにより
光子数(フォック)状態を発生させる方法です。
論文では共振器の量子状態を
ウィグナートモグラフィーを使って評価しており、
これは共振器の全密度行列を測定することと等価です。
なかなか量子的な振る舞いをコントロールするのは難しいですが、
この分野についてまた新しい進展がありましたら報告したいと思います。
(オマケ)
このカルフォルニア大学のグループは普段からレゴブロックを使って
光子を閉じ込めるイメージを掴んでいるそうです。
科学的発見の新たな発想の源というのは
なかなか面白くて、それだけで本になっています。
紹介します。
一時期もてはやされたので
ご存じの方も多いと思いますが
量子コンピュータというものがあります。
量子コンピュータは
次世代コンピュータとして期待されていますが、
なかなか乗り越えなくてはならない壁が大きく
あまり大きな開発の進展は見られていません。
その最も基本的で大きな壁は
量子系が「同時に二つの場所に存在する」
ことができる点にあるのです。
(これは長所でもあるのですが)
この重ね合わせの状態を調整して用いることが
量子計算や量子シュミレーションの基礎となるわけですが
これが極めて難しい話なのです。
トラップされたイオンの運動状態、マイクロ波共振器、光共振器の
ような調和系に複雑な重ね合わせを生成するのは
古典的な制御シグナルでは不可能なのです。
今回のカルフォルニア大学の論文では、この問題点を突破する
一つのヒントになるであろう方法が発表されています。
電磁共振器に任意の量子状態、すなわち
様々な光子数の状態の重ね合わせを完全に制御された決定論的な
やり方で調整し、測定できることを実証したのです。
その方法とは、すでに実証された方法を一般化した
アルゴリズムを使って、超伝導位相キュービットで
共振器中に位相コヒーレントに光子をポンプすることにより
光子数(フォック)状態を発生させる方法です。
論文では共振器の量子状態を
ウィグナートモグラフィーを使って評価しており、
これは共振器の全密度行列を測定することと等価です。
なかなか量子的な振る舞いをコントロールするのは難しいですが、
この分野についてまた新しい進展がありましたら報告したいと思います。
(オマケ)
このカルフォルニア大学のグループは普段からレゴブロックを使って
光子を閉じ込めるイメージを掴んでいるそうです。
科学的発見の新たな発想の源というのは
なかなか面白くて、それだけで本になっています。
2009-06-09 08:17
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コメント(2)
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とても興味深いですね~。
どこの研究グループか教えていただけますか?
by ねん (2009-06-17 10:21)
カルフォルニア大学サンタバーバラ校、Max Hoftheinzの物理学研究室
です。科学のアイデアというものは私達の生活の中に沢山潜んでいます。
ですから専門的な分野だけを勉強するのではなく、普段から様々な分野を勉強することが新しいアイデアの源になると私は思っています。それによって全く違った観点から、革新的なアイデアが生まれることが多いことも歴史が証明しています。
by 物理屋hν (2009-06-18 12:31)