第5講 ローレンツ不変性 [相対性理論講義]
久々に相対性理論講義です。
忘れてしまった方は前4回を復習してから読んで頂くと分かりやすいです。
数式が分からない方にも、結論やまとめは分かりやすく
書いてありますので、その部分だけでもしっかり読んで頂ければ
相対性理論の心はご理解頂けると思います。
前回はローレンツ変換を導き、
時間が空間と同等であることを示しました。
私たちは空間3次元、時間1次元を合わせた
少なくとも時空四次元にいるのだということが分かりました。
少なくともと言うのは、実は次元は更に多い可能性があり、
私もそのように考えています。
しかも相対性理論は4次元だと限定した訳ではなく、
時間も次元なので最低我々は4次元の世界住んでいるというわけです。
相対性理論は特別な次元を要求していないので、何次元であっても成り立つのです。
この普遍性と、一般相対性理論の見事な対称性(美しさ)が相対性理論の醍醐味なのです。
今回から徐々に難しくなります。
細かく分けて丁寧に講義していきますので何とかついてきてください。
その努力に見合った美しさを相対性理論は見せてくれます。
私たちは空間と時間を別々に考えることに馴れてしまっています。
光速度不変性もなかなか馴染みがありません。
私たちの世界がローレンツ不変性
(ローレンンツ変換をほどこしても物理法則は成立する。)を持っている
ことによって常識的な感覚では考えられない事実を知らされるのです。
①天下無敵のダイエット:楽して痩せられます
ローレンツ収縮という現象について説明します。
数式が分かりにくい方に結論を先に書いておくと、
等速度で動いている人と静止している人とがいる場合
お互いの長さ(この場合、体の横幅)が縮んで見えます。
つまり、お互いがスリムに見えるのです。
自転車で走って相手の前を通過する
これが天下無敵のダイエットです。
最も光速に近い速度でないと効果はあまり現れませんが
まず、長さと位置について説明します。
一般に我々が使っている座標は(x,y)のように
位置を表します。
ですから、長さを座標で表す為には二点の座標の差で表すしかありません。
そこで、下の囲みのように⊿(デルタ)を導入します。
左の図は図自体がローレンツ収縮して縮んでいます。(洒落で縦長にしてみました。見にくくてすみません。)走っている人から見ても、止まっている人から見ても(これが相対性の意味)お互いに縮んで見えてしまうのです。これを式で説明すると左図のようになります。前回から強調しているように、静止した座標系Sとそれに対して速度Vで等速度運動している座標系S'で時間が異なるのがポイントです。
長さに関しても座標と同様にローレンツ変換の式が成立し(*)のようになります。ここで一番難しいのが⊿t=0です。これは、静止している人が長さを測るときに時間変化がないということです。長さを測るのに時間をかけないものだと単純に考えてくださって結構です。例えば身長180cmという時に、それを測り始めた時間と測り終えた時間を考えても意味がないのと同じです。特に同じ座標系にいれば時間に依存して長さは変わりません。これが分かれば左のように長さが縮むのも明らかです。相対性が成り立つのは次の写真の上段に説明してあります。
②寿命が延びるんです
相対性理論によると見かけの寿命が延びます。
私はいつも電車に乗ることが多いので、普通の同じ年
の人より若いんです
な~んていうのは冗談です。これも光速に近くないと
実際はほとんどその効果は見られません。
左の図の中段にあるように、ローレンツ変換の②式から見かけの寿命が延びることが証明されます。逆変換の方が分かりやすいので、逆変換で説明してあります。つまり等速度で動いている人の気持ちになって考えてください。そうすると先程と同じように時間と長さは今は関係ないので⊿x'=0で寿命の延びが証明できます。最後に相対性理論で相対速度を正確に定義し直しておきます。それが下段の「相対速度」です。証明は微積分が分からない人にはきついと思いますが、基本的に速度は単位時間当たりの距離(長さ)の変化なのでこのようになります。ガリレオの相対性原理のまま(v1+v2)では、光速cに何を加えても、光速を超えてしまい矛盾するのです。
最後に光速が絶対速度であることについて説明しておきます。
よく本には私が最後に導いた相対性理論による相対速度を
使って光速より速いものがないことを説明していますが、
冷静に考えればおかしな話です。
そもそも光速が絶対速度であることを仮定して、ローレンツ変換を
導いたのですから、その式で光速度を超えないことを証明しても
意味がありません。
ですから私はその証明は講義ではしませんでした。
最初の写真の三つ目のγ(ガンマ)の式でVがcを超えるとルートの中身が負になります。
それ自体で矛盾するのでわざわざ式変形で示すまでもないのです。
因みにこの光速を超える(虚数解になりますが)仮想粒子をタキオン粒子と
呼んでいます。勿論、このような粒子は見つかっていません。
ではなぜ光速が絶対速度なのでしょうか?
実は光速が絶対速度と言うより、秒速299792458mが絶対速度なのです
これを超えられないことも相対性理論で証明できます。
またいつか講義で書くと思いますが、光速に近付くと質量はどんどん増えます。
ですから質量を持つ物体は実際には秒速299792458mまで加速できません。
質量が大きすぎて加速できなくなるのです。
では秒速299792458mまで加速できる物質とはどんな物質でしょうか?
それは質量0の物質です。
質量が0ならば、加速しても質量は増えません。
これは光が質量が0である証明でもあります。
光に限らず質量0のものは秒速299792458mまで加速できるのです。
そこで考えてみてください。
光速を超える為には質量がどのようにならなければならないか?
これはすぐにわかると思いますが
光速を超える為には質量が0より少なくなければなりません
そんな物質はこの世にあるでしょうか?
そんな物質はあるわけありません。(あっても感知できないので、「ない」というのです)
ですから、光速は絶対速度なのです。
質量の最低が0という限界を持っているので
速度にも限界があるのです。
その速度が秒速299792458mなのです。
以上の説明より
光速が絶対速度であればローレンツ不変性が成立し
ローレンツ不変性が成立すれば相対性理論が成立するのです。
(オマケ)
相対性理論を利用した論文は現在までに4万を超えるという話ですが、
その中で相対性理論に当てはまらない結論は一つも見つかっていません。
相対性理論は我々の身近なところにも(GPSなど)使われています。
このような我々の世界観として重要な相対性理論を
難しい面もありますが、是非理解して頂きたいです。
それではまた
忘れてしまった方は前4回を復習してから読んで頂くと分かりやすいです。
数式が分からない方にも、結論やまとめは分かりやすく
書いてありますので、その部分だけでもしっかり読んで頂ければ
相対性理論の心はご理解頂けると思います。
前回はローレンツ変換を導き、
時間が空間と同等であることを示しました。
私たちは空間3次元、時間1次元を合わせた
少なくとも時空四次元にいるのだということが分かりました。
少なくともと言うのは、実は次元は更に多い可能性があり、
私もそのように考えています。
しかも相対性理論は4次元だと限定した訳ではなく、
時間も次元なので最低我々は4次元の世界住んでいるというわけです。
相対性理論は特別な次元を要求していないので、何次元であっても成り立つのです。
この普遍性と、一般相対性理論の見事な対称性(美しさ)が相対性理論の醍醐味なのです。
今回から徐々に難しくなります。
細かく分けて丁寧に講義していきますので何とかついてきてください。
その努力に見合った美しさを相対性理論は見せてくれます。
私たちは空間と時間を別々に考えることに馴れてしまっています。
光速度不変性もなかなか馴染みがありません。
私たちの世界がローレンツ不変性
(ローレンンツ変換をほどこしても物理法則は成立する。)を持っている
ことによって常識的な感覚では考えられない事実を知らされるのです。
①天下無敵のダイエット:楽して痩せられます
ローレンツ収縮という現象について説明します。
数式が分かりにくい方に結論を先に書いておくと、
等速度で動いている人と静止している人とがいる場合
お互いの長さ(この場合、体の横幅)が縮んで見えます。
つまり、お互いがスリムに見えるのです。
自転車で走って相手の前を通過する
これが天下無敵のダイエットです。
最も光速に近い速度でないと効果はあまり現れませんが
まず、長さと位置について説明します。
一般に我々が使っている座標は(x,y)のように
位置を表します。
ですから、長さを座標で表す為には二点の座標の差で表すしかありません。
そこで、下の囲みのように⊿(デルタ)を導入します。
左の図は図自体がローレンツ収縮して縮んでいます。(洒落で縦長にしてみました。見にくくてすみません。)走っている人から見ても、止まっている人から見ても(これが相対性の意味)お互いに縮んで見えてしまうのです。これを式で説明すると左図のようになります。前回から強調しているように、静止した座標系Sとそれに対して速度Vで等速度運動している座標系S'で時間が異なるのがポイントです。
長さに関しても座標と同様にローレンツ変換の式が成立し(*)のようになります。ここで一番難しいのが⊿t=0です。これは、静止している人が長さを測るときに時間変化がないということです。長さを測るのに時間をかけないものだと単純に考えてくださって結構です。例えば身長180cmという時に、それを測り始めた時間と測り終えた時間を考えても意味がないのと同じです。特に同じ座標系にいれば時間に依存して長さは変わりません。これが分かれば左のように長さが縮むのも明らかです。相対性が成り立つのは次の写真の上段に説明してあります。
②寿命が延びるんです
相対性理論によると見かけの寿命が延びます。
私はいつも電車に乗ることが多いので、普通の同じ年
の人より若いんです
な~んていうのは冗談です。これも光速に近くないと
実際はほとんどその効果は見られません。
左の図の中段にあるように、ローレンツ変換の②式から見かけの寿命が延びることが証明されます。逆変換の方が分かりやすいので、逆変換で説明してあります。つまり等速度で動いている人の気持ちになって考えてください。そうすると先程と同じように時間と長さは今は関係ないので⊿x'=0で寿命の延びが証明できます。最後に相対性理論で相対速度を正確に定義し直しておきます。それが下段の「相対速度」です。証明は微積分が分からない人にはきついと思いますが、基本的に速度は単位時間当たりの距離(長さ)の変化なのでこのようになります。ガリレオの相対性原理のまま(v1+v2)では、光速cに何を加えても、光速を超えてしまい矛盾するのです。
最後に光速が絶対速度であることについて説明しておきます。
よく本には私が最後に導いた相対性理論による相対速度を
使って光速より速いものがないことを説明していますが、
冷静に考えればおかしな話です。
そもそも光速が絶対速度であることを仮定して、ローレンツ変換を
導いたのですから、その式で光速度を超えないことを証明しても
意味がありません。
ですから私はその証明は講義ではしませんでした。
最初の写真の三つ目のγ(ガンマ)の式でVがcを超えるとルートの中身が負になります。
それ自体で矛盾するのでわざわざ式変形で示すまでもないのです。
因みにこの光速を超える(虚数解になりますが)仮想粒子をタキオン粒子と
呼んでいます。勿論、このような粒子は見つかっていません。
ではなぜ光速が絶対速度なのでしょうか?
実は光速が絶対速度と言うより、秒速299792458mが絶対速度なのです
これを超えられないことも相対性理論で証明できます。
またいつか講義で書くと思いますが、光速に近付くと質量はどんどん増えます。
ですから質量を持つ物体は実際には秒速299792458mまで加速できません。
質量が大きすぎて加速できなくなるのです。
では秒速299792458mまで加速できる物質とはどんな物質でしょうか?
それは質量0の物質です。
質量が0ならば、加速しても質量は増えません。
これは光が質量が0である証明でもあります。
光に限らず質量0のものは秒速299792458mまで加速できるのです。
そこで考えてみてください。
光速を超える為には質量がどのようにならなければならないか?
これはすぐにわかると思いますが
光速を超える為には質量が0より少なくなければなりません
そんな物質はこの世にあるでしょうか?
そんな物質はあるわけありません。(あっても感知できないので、「ない」というのです)
ですから、光速は絶対速度なのです。
質量の最低が0という限界を持っているので
速度にも限界があるのです。
その速度が秒速299792458mなのです。
以上の説明より
光速が絶対速度であればローレンツ不変性が成立し
ローレンツ不変性が成立すれば相対性理論が成立するのです。
(オマケ)
相対性理論を利用した論文は現在までに4万を超えるという話ですが、
その中で相対性理論に当てはまらない結論は一つも見つかっていません。
相対性理論は我々の身近なところにも(GPSなど)使われています。
このような我々の世界観として重要な相対性理論を
難しい面もありますが、是非理解して頂きたいです。
それではまた
2009-04-09 00:00
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