SSブログ

世界天文年 [科学ネタ]

1609年ガリレオ・ガリレイが手製の望遠鏡で
月を見上げました。
それから400年である今年は世界天文年です。
これから様々な望遠鏡が開発される予定ですが、
その中で有力な望遠鏡を紹介したいと思います。
以下の4基について順に説明します。

①ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)
②大型シノプティックサーベイ望遠鏡(LSST)
③欧州超大型望遠鏡(E-ELT)
④スクエアキロメートルアレイ電波望遠鏡(SKA)


①ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)
開口面積:33平方メートル
観測開始予定:2013年

ハッブル宇宙望遠鏡の後継者とも言われる宇宙望遠鏡で
ハッブル宇宙望遠鏡が主に可視光線や紫外線領域を観測してたのに対し
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は赤外線領域の測定に最適化されています。
それによって、ハッブル宇宙望遠鏡が塵で見えなかった天体を観測したり、
ビッグバン直後の赤方偏移が大きい時代を覗き込んで
宇宙最初の星など、可視光波長では観測できなかった天体を観測することが
可能になります。
そのほか、大きな銀河のほとんどが中心にブラックホールを持つ理由や
銀河とブラックホールはどちらが先にできたかなどが
分かることが期待されています。
ただし稼働年数は5年です。一応10年分の燃料はつめるので
節約していかに稼働年数を延ばせるかも鍵になります。

②大型シノプティックサーベイ望遠鏡(LSST)
開口面積:35平方メートル
観測開始予定:2015年

望遠鏡で宇宙を観測していると、天体が二重に見えることが
ありますが、これは望遠鏡の収差ではなく、宇宙の性質によるものです。
これを「重力レンズ効果」といいます。一部の銀河は地球と銀河の間に
存在する質量により光が屈曲します。それが二重に見える原因です。
この重力レンズ効果は地球から見上げる空に1平方度あたり、約1万個もあります。
大型シノプティックサーベイ望遠鏡(LSST)は観測画像をいくつも重ね、個々の画像には
表れていないものを測定しようとしています。これによって、ダークマタ―の分布
とダークエネルギーの効果が解明されるかもしれません。
また、このLSSTの最も大きな特長は
リアルタイムで全天を観測できる点にあります。
つまりバーチャル「宇宙パトロール」を実施できるのです。
天文学者はすでに、地球に衝突すれば生物種の大規模絶滅を
引き起こす可能性のある小惑星の位置はほとんど把握しています。
LSSTはそれより小さな小惑星(衝突すれば都市が破壊されるくらいの)を
観測できるのです。

③欧州超大型望遠鏡(E-ELT)
開口面積:1385平方メートル
観測開始予定:2010年代

宇宙望遠鏡は観測面で言うと地上では観測できない波長で観測できますし、
空気もないので澄み切った天を観測できるのですが、
大きさと言う点では地上望遠鏡に比べて圧倒的に不利です。
開口面積を広くすれば多くの光子を捉えることができます。
欧州超大型望遠鏡(E-ELT)は直径42メートルの(当初は100メートルが目標でしたが)
主鏡を備え、太陽系外惑星のように弱い光しか発しない天体も検出できる
ように設計されています。欧州超大型望遠鏡(E-ELT)の最大の目標は
地球に似た太陽系外惑星を探すことにあります。
とにかくこの望遠鏡の空間分解能は優れていますので、今まで見えなかった銀河の
星一つ一つがはっきり見えるようになります。

④スクエアキロメートルアレイ電波望遠鏡(SKA)
開口面積:最大100万平方メートル
観測開始予定:2020年代

現在、世界最大の単体の電波望遠鏡であるプエルトリコのアレシボ
天文台の開口面積でさえ7万3000平方メートルであるのに、
SKAはなんと100万平方メートルを目指しています。
SKAは電波望遠鏡ではあらゆる点で既存の望遠鏡を上回り
SKAなら一酸化炭素ガスの広がりの地図を作り、銀河形成前天体
の星間物質中にある一酸化炭素分子を測定ができると言われています。


(まとめ)
やはり天文学には国家規模の莫大な費用がかかります。
そのため、これらの計画は途中で頓挫することも
十分に考えられます。望遠鏡を作る側からすると、如何に
国民の理解を得て、国から予算を得られるかが
大きな問題です。そのために、地球外の生命体観測など
多くの人が興味を持つことをリップサービスとして発表することはよくあります。
そのような雑音に振り回されず、どのような望遠鏡が本当に必要なのかを
見直す必要があると思います。

今年は世界天文年で、天文学に関する様々な事柄が
フィーチャーされると思うので注目して頂ければと思います。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0