SSブログ

今こそ磨く、リスク管理能力 その3 [科学ネタ]

今日は昨日のダイオキシンにつづいて
狂牛病騒ぎについて書いてみたいと思います。

狂牛病というのも大変問題になり
風評被害によって吉野家が豚丼に切り替えたり、
牛肉の輸入を控えたりもしました。

これもまたリスク管理としておかしな話です。

狂牛病は原因がはっきりしていますし、危険部位も明らかです。
それでいて牛肉を食べない、
もしくは輸入をしないというのは私にはよく理解できません。

狂牛病にかかった牛の牛肉を食べて
狂牛病を発症した人は一人もいないからです。

おかしな話ですが、狂牛病にかかるためには
その牛の脳、目、脊髄、稀に小腸の一部を食べなければなりません。
しかも食べたら確実に発症するわけではなく、
イギリスでは少なく見積もっても推定1000万人を超える人が
危険部位を食べても、それで狂牛病に感染されたかたは137人でした。
確率でいうと0.01%です。

狂牛病は簡単に言うと共食いで起こります。
これははっきりしていますので、
各牧場で牛骨粉をやらないようにすれば済む話です。
この件で日本はアメリカに全頭検査をしろと迫りました。
ところがそれはアメリカからすると非常に滑稽なリスク管理です。
ある牧場牛骨粉が与えられているか調べるのに
全頭検査など必要ないからです。
ある牧場である牛には牛骨粉、
ある牛には普通の餌などという
非合理的な方法をするはずがないからです。
それは余計にコストがかかり
牛骨粉を使うメリットが何もなくなるからです。

今回の福島原発の事故で
私たち個人個人のリスク管理を見直さなければならない
と私は思いました。
あまりにもおかしな風評被害が広く蔓延しているからです。
これが文明国家かと疑われてもおかしくないほどです。
(世界に流れているデマはもっとひどいものですが)
私たちは一般に身近にあるもの昔からあるものへの
リスク評価が甘くなり、
馴染みのないものに対する
リスク評価は恐怖によって過大評価になります。

以前に書きましたが
車を運転する人も歩行者も
毎年100万人を超える交通事故があり、
毎年1万人も亡くなります。
これは狂牛病の牛の危険部位を食べたときの
狂牛病発症率0.01%と同じです。

それなのに車を世の中からなくそうという人はいません。
自分が注意していても相手の不注意や飲酒運転で
事故が起こるにも関わらず、
車の排斥運動など聞いたことがありません。

実際に狂牛病の方が原因ははっきりしていますし、
そもそも狂牛病の牛は流通はしませんし、
仮に食べるとしても危険部位を食べなければいいだけです。
それでリスクは遥かに小さくできます。
それに対して
交通事故のリスクはそう簡単に落とせないことは明らかです。
交通事故は、放射線と違って
健康被害などではなく0.01%の人が確実に亡くなっているのです。

このリスク管理に関するアンバランスは科学的にはとても理解できません。

昨日今日とダイオキシンは人には無害で
狂牛病は危険部位を食べる以外は何も気にする
必要はないと書いてきました。
ただ誤解して頂きたくないのは
私は何でも安全だといっているわけではありません。
本当に危険な時は危険だと言いますし
その場合は逃げるなりなんなりすべきです。
どのくらいの危険があるのかを推定し
報道されている内容等は果たして科学的に
信頼するに値するものかを考え
しっかりとしたリスク管理が個々でできないと
本当の危険とは何かが分からなくなってしまうことを
案じているんです。
そのような力を国民一人一人つけるために
教育はあるのだと思います。
(明日へと続く)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0