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第2講 相対性理論前夜(ガリレオの相対性原理) [相対性理論講義]

今回はガリレオの相対性原理について
書きたいと思います。
これは、比較的理解しやすいと思います。

その前にざっと今後の展開等について
書いておきます。

相対性理論についてしっかりとした本が読みたいという
方には
「特殊及び一般相対性理論について」 アインシュタイン著、金子務訳 白楊社
「相対性理論入門」 内山龍雄著、岩波新書
がおススメです。
特に後者は著者がこの本で相対性理論がわからなければ
一生わからない、と豪語している本です。
しかし、このブログでは更にわかりやすく説明していきたいと思います。

相対性理論の一つの山が
「ローレンツ変換」です。
これを理解できれば、相対性理論はかなり掴めます。
そのローレンツ変換はアインシュタインが考案した簡単な導出法
や、先ほどの文献でのわかりやすい導出法
がありますが、このブログでは更にわかりやすい
ローレンツ変換の導出方法を示したいと思います。

アインシュタインの相対性理論には
特殊相対性理論と一般相対性理論がありますが、
この講義では特殊相対性理論から説明します。
この特殊相対性理論さえ分かれば
今までの自分の世界観はそれだけで一変すると思います。
その後に一般相対性理論について講義をしますが、
これは、一般の方には数学的に難解だと思われます。
ですから、一般相対性理論はマニア向けだと考えてください。
一般相対性理論の方は私が書く解釈だけでも、理解して
頂けたら嬉しいです。

それでは講義を始めます。

(1905年奇蹟の年)
アインシュタインは大学を卒業後、助手の職がなく、
1902年に特許局の職員の仕事につきました。
この仕事の合間に(かなり暇な仕事だったそうですが)
三つの論文を書きあげ、1905年に発表します。
しかも、この三本の論文はどれも一級の論文です。
後に1905年は奇跡の年と言われます。
時系列で追うと
3月17日 光量子に関する論文(光電効果)
5月11日 ブラウン運動に関する論文
6月30日 特殊相対性理論の論文
と、なっています。

後にアインシュタインは光電効果でノーベル物理学賞を貰います。
意外なことに彼を有名たらしめた相対性理論での
受賞ではありませんでした。
これはノーベル賞が理論物理には厳しいからです。
理論はしっかりと実験で確認され万人に正しいと
認められるまで ノーベル賞はくれません。
昨年のノーベル物理学賞をもらった三人が30年以上前の
理論でもらったのと同じです。
ですから、理論物理でノーベル賞をもらおうとしたら
長生きしないともらえません(笑)

光電効果とブラウン運動に関するアインシュタインの業績については
何かの機会に触れたいと思っています。

(赤信号で止まれますか?)
物理学は私たちの常識的な感覚が
いかに狂っているかを
教えてくれます。

赤信号で止まる、ということを
考えてみましょう。
止まるというのは何に対して止まるのでしょうか?

そもそも私たちは西から東へ
地球の自転のせいで時速1600㌔というスピードで
動いています。
その地球は太陽の回りを動き
太陽も銀河の中を動き……
絶対的な静止というのはあり得ないのです。

赤信号で静止するというのは
赤信号との相対速度が0になるということです。
相対速度=(自分の速度)-(相手の速度)で与えられます。
まず、このことをしっかり頭に入れておいてください。

電車が二台並走している
時に、止まっている錯覚に陥ったことが
ある人もいると思います。
それは一時的に同じ速度に
なった為に相対速度が0になり
静止しているように感じられるのです。

実は今まで話してきたことがガリレオの相対性原理です。
我々は相対的な運動はわかるが絶対的な運動はわからないということです。

式で説明すると
相対速度=(自分の速度)-(相手の速度)でした。
今、一定速度Vで動いている自転車の上から速度vの電車をみたとします。
そうすると相対速度v’=vーVで見えるわけです。
地面から見た座標系をS、自転車からみた座標系をS'とします。
そうすると、それぞれの速度は違いますが、
加速度(速度の増加の仕方)は変わらないというのがガリレオの相対性原理です。

地面から見て時速10km増えると
自転車から見ても時速10km増えます。
至極当然のように感じるかも知れませんが
これが大きいのです。加速度が座標系によらないとすると、
ニュートンの運動方程式F(力)=m(質量)×a(加速度)も座標の取り方に
よらずに成立します。

そうすると第1講で書いたニュートン力学が
あらゆる慣性座標系(等速度で動く座標系)で成立するのです。
つまり、物理法則はあらゆる慣性座標系で同じに書ける
というのがガリレオの相対性原理です。
等速度で動いている乗り物でも、地面からでも、物理法則は同じなんだ
という大切な原理です。

ここで光についての基礎知識を書いておきます。
(光についての基礎知識)
光は秒速299792458kmの「定義量」です。
実は1mは現在では光の速度から定義されています。
これも相対性理論の功績の一つです。
それまでは赤道から北極までの距離の一万分の一を
1mとしていました。フランスにそのメートル原器があり、
日本にもレプリカがあります。
我々は光(可視光線)でものを見ています。
つまり、ある物体が発する(もしくは反射する)光を
網膜に映して物を見ています。
従って
遠くを見ること=昔をみること
になるわけです。

例えば太陽の光が地球に届くまで
約8分20秒かかります。
ですから、我々はいつも8分20秒前の太陽を
見ていることになります。
もし、今太陽が爆発しても8分40秒間は気付かないわけです。
(最も太陽が爆発したら我々は消滅していますが)
同じように一光年先の星を見ることは
その星の一年前の姿を見ていることになるのです。

従って、宇宙の始まりに近い状態をみたければ
遠くをみればいいわけです。
実際に世界中で「遠くをみる」研究がなされています。

(物語の始まり:16才の少年の疑問)
アインシュタインは16才の頃
次のような問題を考えました。

光を光の速度で追いかけたらどうなるのか?

先ほどの相対速度の考えを使うと
相対速度=(自分の速度)-(相手の速度)
ですから、(光速)ー(光速)=0で光は止まって見えるのでしょうか?
しかし、我々は光で物を見ているはずです。
止まった光は自分の目まで届きませんから
何も見えないのでしょうか?

この疑問にアインシュタインは驚くべき発想で
答えることとなるのです。
これについては次回のお楽しみです。

次回は時間について、ローレンツ変換とともに
講義したいと思います[わーい(嬉しい顔)][手(パー)]
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