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物理の解釈問題 [科学ネタ]

物理や数学を研究していると
抽象化はもはや職業病のようなものです。
抽象の仕方によって
その構築される世界はガラリと変わってしまいます。

物理を勉強していくと
ある時から
受け身ではなく主体的に世界を作っていかなければ
ならなくなります。
物理の問題を与えられそれを演習することは
いい表現トレーニングにはなりますが
それだけでは意味がありません。

物理はいつまでたっても
ある意味で仮説です。
物理の理論というのはやがて書き換えられる運命にあります。
それは、新しい発見によることもありますし
解釈が変わることによるものもあります。
(パラダイムシフトによるものです。)

解釈によって世界が変わる
ということは
私が家庭教師として生徒に伝えている
非常に大切なことの一つです。

この解釈の問題について具体的な例をあげておきたい
と思います。

今、私の目の前にグラス[バー]があります。
私はこのグラスは静止していると思います。
でも実際にはグラスも私も西から東へと
地球の自転に合わせてすさまじいスピードで動いています。
その地球も太陽の周りをまわり、太陽も…
というように静止しているものなど厳密には存在しません。
そこで同じ速度で動いているものどうしは相対的に静止していますから
これを「静止」している状態と解釈するようにするわけです。
ところが、このような解釈もおかしなことになることがすぐに分かります。
電車に乗っていて、同じ速度で並走する電車は静止したように見えます。
これは勿論、相対速度が0なので静止していることになるわけですが
静止しているのにどこかの駅には必ず着きます。
これを静止しているというのはちょっと無理があります。
電車は電車に対して静止していますが、駅に対して動いているからです。

それではこのように一つずつ対象物体に対して静止しているという
ことを考えなければならないのでしょうか?

私と誰か一人がいて、私は椅子に座ったままグラスを見て
もう一人は歩きながら机の上のグラスをみます。
私にとってグラスは静止していますが
歩きながら見る人にとってグラスは自分の歩く方向と逆に動いています。
それでも日常的には、私ももう一人もグラスは静止していると
解釈するのではないでしょうか。

そうすると、どうやら物理学者ではない一般の方々の
「静止」というのは地面つまり地球に対して静止していることの
ように思います。
この解釈で丸くおさまるかというと、そうもいきません。
地球には見かけの力が働くからです。

「静止」ということを考えるだけでも様々な解釈が問題になってきます。
これは「静止」の本質を捉えていないのではないのかもしれません。
静止の本質を捉えた解釈というものは
どのようなものなのか?
このような議論は宇宙の始まりの問題
重力の問題等々
物理の様々な問題と置き換えられるものです。
物理ではこのような解釈の問題が非常に難しいです。

そしてこの解釈の難しさというのは
物理に限ったことでもありません。
以前ブログで書いた
「~は存在するか」という話題にもそのまま当て嵌まります。
この命題に対しては
そもそも「存在する」とはどういうことかを
考えてからでないと議論になりません。
勿論、日常生活で議論する場合には
そんなに細かい点から考え出すと
議論すべき話題を議論できなくなってしまいます。
ですから、その場で「存在する」とはどういうことか
お互いの同意を得て決めてしまいます。
便宜的にでも決めなければ先に進めません。
議論が何も始まらないのです。
逆に、このような定義をお互いに決めておかないと
全く議論がかみ合わなくなってしまいます。

実は物理の世界でも同じようなことが行われています。
当面この前提はこの解釈にしておいて…
と決めてしまいます。
決めないと何の研究もスタートしません。

ところが困ったことに(笑)
この前提を大きく崩してしまうような
解釈を発見する天才が数十年か数百年に一度現れます。
そこで前提が変わればまた様々なものが変わります。

物理学は自然の真理を目指して探究していますが
私は物理学が絶対的な真理に到達することはないと思っています。
真理を探究し続けること自体が物理の本質であり
探究が終わればそれはもはや物理学ではないからです。

自分の人生を生きるということも
同じようなものではないか、と思います。

生徒の質問から~科学的とは?~ [科学ネタ]

先日の東海沖地震のブログの内容を読んだ生徒から
早速質問を受けました。
「先生は地震予知は科学的ではないということですが
天気予報は科学的ですか?
科学的であるかないかの境界線はどこですか?」
う~ん非常にいい質問です。
ただこの内容を授業でお話しすると二時間この話で終わってしまいます。
そこで、その生徒にはブログに書くのでそれを読んでくれるよう
お願いしました。
今日は少し長くなりそうですが、生徒の質問に答えながら
自然科学者(以下科学と略させてください。)としての在り方についても
書いてみたいと思います。

確かに先日のブログで「科学的な態度としてどうか」と書きましたが
科学的であるかないか
科学とは何か、
という哲学的な問題は非常に難しい問題です。
話は少々哲学的にならざるをえませんが
カール・ポッパーによれば、
科学であるものとそうでないものは「反証可能性」によって区別します。
つまり、ある理論が科学的か否かは
反証によって虚偽であることが証明される可能性がないといけないということです。
反証がでても科学者はそれを即座に捨てることはせず、
より精緻な仮説に解釈を変更して新たな発見が生まれることもありますので、
ポッパーの定義は十分とは言えませんが
科学の一つの定義として強力なアイデアであることに変わりありません。

このポッパーの定義を地震予知の
「30年以内に東海沖地震が80%以上の確率で起きる」
という考えに当て嵌めてみてください。
これは反証される可能性は非常に低いです。
30年は365×30で約10950日あるわけです。
これを
2010年7月22日東海沖地震が起こる(勿論そんな説はありません)
という仮説と比べてみましょう。
後者のほうが前者よりも一万倍「反証の可能性が高い」
つまり簡単に言いますと一万倍科学的だということです。

私が地震予知が科学ではないという大きな根拠は
この反証可能性の大きさにあります。
60才の人にあなたは30年以内に80%の確率で死ぬと告げるのが科学でしょうか?

当然のことながら
実際の科学はもっともっと細かい仮説をたてるわけです。

科学全盛の時代にいきる私達にとって、科学とはなんであるか?
哲学的に色々と考えることは非常に大切だと思います。
少なくとも将来科学者を目指す人にとっては必須だと思います。
また
私達は科学をやるにしろ、何をやるにしろ
科学者である前に一人の人間です。
一人の人間としての様々な教養なくして、
科学者にはなりえないと私は思っています。
様々な本を読み、人としてどう生きるべきか、
これからの社会がどうあるべきか、
様々な思考を繰り返し、人として成長した上で
科学なら科学をやる意味があると私は思っています。

それは科学の大きな欠点と関わりがあります。
基本的に科学が結果として私達にもたらすものは何か?
その多くは、大袈裟に言えば
生活の利便性を含めた肉体的な快楽に繋がるものがほとんどです。
(勿論、理論的な分野は違いますが、私達多くに直接影響を与えるものを今は考えています。)
簡単な例で言うと電化製品や車等々を考えてみれば分かりやすいです。
私たちの肉体的な苦痛が少ない方少ない方へと
すさまじい勢いで科学は進んでいます。
どこまで進めば私たちの肉体的な苦痛と折り合いがつくのでしょうか?
この利便性を上げ続ける結果、将来的に私たち人類に待ち受けるものは
何なのでしょうか?
このような考察もなく、ノープランで
ただ売れるから、便利だからという理由で
科学はどんどん進んでいっています。
テレビは3Dでないと駄目なのでしょうか?
それくらい頭で想像することはできないのでしょうか?

これから生まれてくる人々は
物質的に急速な変化の中に生まれます。
その変化についていくのだけで精一杯だと思います。
果たして十分に精神的に成長する時間があるのでしょうか?
内面が未成熟なまま、様々な強力で便利な道具を使ったら
どのようになるのか
ちょっと考えただけでもぞっとします。
私たち人類には、先人が残してくれた
かけがえのない知
というものが沢山あります。
その偉大な財産に触れる機会が今のままの教育では
非常に少ないのが残念です。

トマトジュースと大福の法則 [科学ネタ]

あ!
思わずカテゴリーを決めるときに「科学ネタ」を
選んでしまいましたが
実際に世の中に「トマトジュースと大福の法則」という
法則があるわけではありません(笑)

これは自分の好きなものをよりおいしく食べる
というお話です。
私はトマトジュースが大好きです。
しかもある程度塩分の効いたトマトジュースが。
市販のカゴメトマトジュースをよく買って飲みますが
正直言って塩分がもうちょっと効いていてもいいかなあと思います。
でも、健康のことを考えると
あまり塩分を取りすぎてもいけませんし……

そこで[ひらめき]
いい方法があるんです。

もうひとつ私の好きなものに大福があります。
大福も、ものによって甘さは様々ですが
もう少し甘くてもいいのにな~と
思うときがあります。
でも健康のことを考えると
あまり糖分を取りすぎるのもどうかと思います。

そこで私は大福とトマトジュースを交互に食べます。
そうすると…
甘いものはより甘く
しょっぱいものはよりしょっぱく感じられ
大福とトマトジュースを別々に食べるよりおいしい思いができます。
少ない塩分をよりしょっぱく、少ない糖分がより甘く感じられて
健康的ではないでしょうか
な~んて
そもそも毎回二品同時に食べるのは
それ自体が健康的とはいえないのですが(笑)

でも食べ物を食べる順番って結構大切ですよね。
この食べる順番の大切さを訴えているのが
今日のブログのタイトル「トマトジュースと大福の法則」
なんです(笑)

例えばオレンジジュースとチョコレート
これは先にチョコレートを食べてからオレンジジュースを飲むと
オレンジジュースが苦くなってしまいます。
せっかく同じカロリー、同じ糖分をとるなら
おいしく感じた方がお得ではないでしょうか。

塩分糖分だけではなくて
他にも
脂肪分には辛み成分を包み込んでしまう働きがあります。
ですから同じワサビの量でもマグロよりトロの方が
ワサビが効いていない感じがします。
辛み成分が脂肪に包まれてしまうため舌に辛さが伝わりにくいんです。
サンドイッチにバターとマスタードを塗るときも
このことが関わってきます。
マスタードを先に塗ったり、バターと混ぜてマスタードを塗ると
せっかくの辛みが半減してしまいます。
辛くするためにはより沢山のマスタードが必要になってしまうんです。
ですからこの場合は必ずバターをうすく塗ってから
マスタードを塗った方がいいです。

味は主観的なものです。
ですから、同じ量の栄養分でも
どのような順番や組み合わせで食べれば一番おいしくなるか
というを考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
私の「トマトジュースと大福」のようなゴールデンコンビを
見つけると幸せ度がアップ[グッド(上向き矢印)]すると思います[わーい(嬉しい顔)]

東海沖地震 [科学ネタ]

前にブログで地震予知というものが原理的に不可能であること
は書きました。
今、流行りの仕分けの考え方によると
地震予知の研究にかけるお金というのはほとんどが無駄です。
ただ、その無駄の中から様々な発見あったのも事実です。
そもそも科学において無駄かどうかなどアプリオリに分かることはありません。
偶然見つかった発見が現代の需要にあったものか
どうかなどその時点では分かりません。

東海沖地震が予測され
マスメディアを通して予測が発表されたのは
私が中学校の頃です。
あと10年以内に東海沖地震が起こる可能性は80%以上だと
公に言われていました。
あれから20年が経ちましたが地震は起きていません。

私がその後調べたこの1980年代の地震予測というのは
本当に科学と呼んでいいのか、というレベルのものでした。
確かにコンピュータの性能が今よりかなり落ちるので
しかたない面もあります。
しかし、地震の予測というのは人を不安にさせるものです。
それなりの根拠と自信がなければ軽軽に発表すべきものではないと私は思います。

東海沖地震の予知の根拠は次のようなものです。
江戸時代中期から約70年周期で関東に大地震が起きている。
従って、1980年後半に起きる筈だ

このような科学的態度のかけらもない発表が公でされてきました。
しかもその予測をになってきたのは日本を代表する大学です。
この予測以後、
いつか起きるいつか起きると言われて
もう20年以上が経ちました。
今でも東海沖地震は起きていません。
これは、よく調べればわかりますが
約1億年近くのうちでこの70年周期で大地震が起きたのは
たったの四回です。
それ以前は数万年も大きな地震は起きていません。
その四回があったからと言って五回目が70年周期で起こるなんていうのは、
私は科学者の態度として到底信じられません。
しかもそれで人々の不安を煽る。
根拠のないうわさが広まり地震グッズが売れる
ということが何度もありました。

繰り返しになりますが
地震は絶対原理的に予知できません。
起きてからしかわかりません。
(大地震の場合はP波を捉えて数十秒前に地震がくることが
分かりますが、決して予知できるわけではありません。)
阪神淡路大震災も新潟沖地震も全く予想されていない
ところで起きました。

ただ、知っておいて頂きたいのは
日本は100以上の火山があり、プレートの狭間に
ある島です。地震が起きない方が奇跡ぐらいの
場所に住んでいます。本来は人が住むには極めて不適切な
場所です。ですから、いつでもどこでも地震にあう可能性はあります。
地震に備えて何かをしておくというのは
地震大国日本に住むからには必須といえます。
かなりの確率で大きな地震はどこかで10年以内におきます。
これはほとんど予測言えるようなものではなく
子供でも当たるような確率です。
ただいつどこで起こるかは誰にもわかりません。

「脳トレ」で知的能力は向上しない [科学ネタ]

この論文は一か月ちょっと前にnatureに載った論文です。
日本では、ついこの間まで空前の「脳トレ」ブームでした。
なんと、その脳トレによって知的能力は向上しないということが
大規模な実験でわかりました。

これはイギリスのケンブリッジ大学とBBCの協力で
行われたのですが
18~60歳11430人に6週間協力してもらうという大規模
なものでした。

実験の方法は以下の通りです。
まず三つのグループに分けます。
Aグループ…一般知能に相関する論理的思考能力、計算能力、問題解決能力
        に関する課題を行う
Bグループ…市販の脳トレソフトで知的機能訓練を行う
Cグループ…このグループは対照実験として、難解な質問をインターネットで調べる

実験の結果は、勿論課題をこなしていくうちに
慣れてきますので各グループとも
その課題の成績は上がりました。
ところが、どのグループも一般的な知能力(記憶、論理的思考、
学習)を測定すると
成績は上がりませんでした
すなわち
訓練を行った個別課題から一般的な認知機能検査への転移効果は 見られませんでした

つまり脳トレをしても頭が良くなるわけではありません。

勿論この実験結果に対して
脳トレ支持派の学者やソフト開発会社からは様々な反論がでています。
どのような反論かといいますと(青字は私のつぶやきです。)
①そもそも脳トレソフトは思考力、記憶力の衰退を恐れる60歳以上向けに作られている
そんなコマーシャルはあまり見たことがありませんが…
②健常者での超人的な能力を求めなければ、徐々に効果は現れてくる。
  もっと長い検査期間が必要
そんなに脳トレを何年もやり続けるような人はいるのでしょうか
③被験者層や実験の方法に関する反論

もちろんこれらの反論に対して実験した側も
脳トレソフト開発者側に
「脳トレが効果ある、という根拠は何か?」
という疑問を投げかけていますが
そちらの根拠はほとんどありません。
一部の研究で適度な結果がでているだけです。

両者ともにさらなる大規模な検証が必要なことを認めていますが。

私の個人的な見解ですが
基本的に脳トレのような簡単なパズル課題で知能はそんなに向上するはずが
ないと思います。脳トレに多くの時間を費やしてスキルがアップしたとしても
それはそのゲーム自体に脳が順応しただけだと思います。
私も知能が上がる教育を目指していますが
それは単純なパズルゲームで身につくようなものではないと
思いますし、知能を高めるためには
大きな努力と
苦痛を必要とするものだと思います。
お手軽にパズルやゲームをやっていて知能が上がるのならば
誰も苦労はしないと思います。
脳トレゲームは別に知能を上げようとなどおもわずにゲームとして楽しめば
いいものだと思います。

後進の成長に対するメンターシップの役割 [科学ネタ]

今回は教育に関してnatureに掲載された論文について
書いてみたいと思います。
いつも大体物理の論文について
書いていますが
今日は珍しく教育についての論文です。

大学などで指導者(mentor)が後進の将来の成功に影響を
与えることは当然なのですが
後進の将来の指導者としての力量や職業選択に対して
指導者が影響を与えるかは明らかになっていません。

若干ずれますが
私の例でいいますと、
私が教えている生徒が大学に入り
プロ家庭教師にまではならないまでも
家庭教師等のアルバイトをしたりするように
影響を与えるかということですね。

これを今回の論文ではいろいろと相関関係等を調べています。
私が驚いたのは、この論文に使われたデータの質と量です。
後進の成長に対するメンターシップの役割を調べるために
なんと[exclamation×2]
1637年以降の数学者114666人の経歴を 追跡して調べたデータを使っています
日本でいうと江戸時代の初期から現在までの追跡調査をされた
データを使うんです。
今回はもともと「数学者の系譜プロジェクト」
という記録からデータを使っているわけですが
私がもしデータを集めなければならないとしたら
気が遠くなります[がく~(落胆した顔)]

今回の論文の結論を簡単に三つにまとめますと次のようになります。
①メンターシップ生産力の低いメンターが指導した後進は
 予測を37%も上回るメンターシップ生産力を持つようになる。
②生産力の高いメンターがそのキャリアの三分の一で指導した後進は
  予測を29%上回る生産力を持つようになる。
③生産力の高いメンターがそのキャリアの最後の三分の一で指導した後進は
 予測を31%下回る生産力を持つようになる。

この結論を分かりやすく私の例であてはめて考えてみます[わーい(嬉しい顔)]
①は反面教師的なものでしょうか。
私も家庭教師なので後進の生産力は非常に低いです。
毎年受験生は三人前後ですし。
その生徒が生産力の高い予備校や塾の先生になる可能性が
高いということです(笑)
②と③は若いうちの方が情熱があって生徒をinspireできるということでしょうか。
なるべくいつまでも、そういう情熱は生徒に伝えていきたいです。

本当はこのように安易に統計データを解析するのは非常に難しい
問題を引き起こします。
統計データは加工によって様々な解釈ができます。
地球温暖化についてもデータのねつ造が発覚しましたし
実際のところ自然に地球が温暖化している中で
どれほど人間が排出している温室効果ガスの影響があるのか
というのは誰も正確にはわかりません。
地球のシステム全体としてこれから温暖化が進むことは
海洋データを見ても、過去の間氷期などからみても明らかです。
ただ
実際にまだ過去の間氷期よりも平均気温は4度近く低いです。
この上昇が比例的に起こるという保証は何もないわけで
ある時期に、急激な温度上昇があることだって考えられますし
むしろ比例的にすべてが変化していくほうが私は違和感を覚えます。
もし地球の基本的な温暖化が比例的に起きていないとしたら
今のほぼすべての温暖化の仮定が崩れることになります。
科学には様々な利害関係も生まれてなかなか難しい面があります。
データの扱いも非常に難しいです。
でもその中で、何事も一度は疑ってみて
ゆっくり冷静に考えてみることが大切だと思います。

物理クイズ解答編 [科学ネタ]

前回のクイズの答えを簡単に書いてみたいと思います。
どちらのクイズも回転に関する問題です。

まず問題1から解説します
問題1)単2電池と外径10cmのセロハンテープをそれぞれの円周面が
    斜面につくように転がすとき、どちらが早く落ちるでしょうか?

正解は電池の方が早く落ちます。
これはエネルギー保存則を考えれば簡単です。
両方とも位置エネルギーが運動エネルギーに変化するわけですが
運動エネルギーは並進エネルギーと回転エネルギーの和です。
電池の方が半径が小さいために回転エネルギーが小さく
相対的に並進エネルギーが大きくなります。
ですから電池の方が早く落ちます。
セロハンテープは質量が半径の大きい部分に集中しているために
確かに回転はしづらいのですが、一旦回転をし始めると回転エネルギー
がぐっと大きくなります。

問題2)地球はおよそ46億歳です。地球が始まってから現在まで
    一体何日あるでしょう?(うるう年は考えないものとする)

この問題の答えをいくらなんでも365×46億=1兆6790億日とするのは
どうかと思います。
このような難しい問題を小学生の問題集に
気軽に載せないでほしいです。
地球は創成期から慣性の法則によって
角運動量や回転エネルギーを一定に保ちながら回転しています。
地球は多数の隕石の墜落によって質量を増しながら回転してきたのです。
ですから回転速度も少しずつ遅くなっています。
46億年前ですと大体1日は5時間くらいでした。
ですからこのころの1年は365×4.8=1752日でした。
それからだんだん減りながら現在の365日になるわけですから
本当の答えは365×46億=1兆6790億日よりも大きくなります。
地球の回転がだんだん遅くなっているのであれば
例えば戦国時代の1日は今より短かったのではないか、とか
そのうち地球が静止するのではないかと
思う方がいるかも知れませんが
そんな心配は一切不要です。
大体12万年前から1日の長さは1秒しか遅くなっていません。
地球が止まるまで人類は存在することはありませんし
地球が止まるずっと前に太陽の膨張により地球はなくなります。
ですから事実上地球がとまるということはあり得ません。
この算数の問題に正確に答えるためには
絶対にコンピュータが必要です。
しかも地球にいつどれくらいの隕石がぶつかったかなど
正確にはわかりませんから、大体の値しか結局でません。
ただ1兆6790億日よりははるかに長くなります。
小学三年生が何も使わずに解けるような問題ではありません。

この問題を通して「時間」というのは人間が考えて
「決めた」概念だということを理解して頂けたら嬉しいです[るんるん]
小学校の問題の細かい間違いに文句を言ってそれで終わりなら
私もこの問題をわざわざ取り上げることはありません。
また何か気になる問題があったら取り上げてみたいと思います[わーい(嬉しい顔)][手(パー)]

久しぶりに物理クイズでも [科学ネタ]

今日は久しぶりに物理クイズでも出してみたいと
思います。
物理についてよく分かっているかどうか
生徒に聞くために
授業でも今日やるような短いクイズをだすことがあります。

勿論答えをだすよりもその考え方の方がずっと大切なのですが

問題1)単2電池と外径10cmのセロハンテープをそれぞれの円周面が
    斜面につくように転がすとき、どちらが早く落ちるでしょうか?

この問題は実際に実験してみればすぐに分かってしまいますが
理論物理学者としては思考実験というのが大切です。
是非頭の中でシュミレートして考えてみてください。

次に先日小学三年生の授業をしていたら
次のような物理をやるものとしては看過できない
算数の問題が載っていました。

問題2)地球はおよそ46億歳です。地球が始まってから現在まで
    一体何日あるでしょう?(うるう年は考えないものとする)
思わずこの難しい問題を見て、う~んと考えてしまいました。
答えには365×46億=1兆6790億日
と書いてありましたがこの答えは大間違いです。
それはなぜでしょうか?

答えは近日中にアップしたいと思いますので考えてみてください。

海洋堆積物中の電流の共役 [科学ネタ]

今日は先週のnatureの論文の中から興味深いものを
出来るだけ簡単に説明してみたいと思います。

この論文はデンマークのオルフス大学のものです。
本当の論文の題名はすごく長くて
わかりにくく
おそらく多くの方がこの記事を読んでくださらなくなるので
敢えて書きませんでした。
参考までに書いておくと
Electric currents couple spatially separated biogeochemical
processes in marine sediment
訳しますと
「海洋堆積物中で空間的に隔たっている生物
地球化学的過程を電流が共役させている」です。

本当は科学論文としてはこのくらいの長さの題名は当たり前です。
中身はたった4ページの論文(これも科学ではよくある長さなの
ですが)ですが興味をひかれたので内容を簡単に書いてみたいと
思います。

微生物には細胞外電子伝達を行う能力をもったものがいます。
つまり細胞と直接接していない電子受容体と電子供与体を
使うことができるものがいます。
更に簡単に言ってしまうと
外部と電子のキャッチボールが出来る微生物がいるんです。

しかし、マイクロメートル(0.000001mです)よりも距離が大きくなって
自然環境下で空間的に隔たっている生物地球化学的過程が電流によって
共役できる確実な証拠はこれまでありませんでした。

その一つの証拠をこの論文は海洋の堆積物から見つけ出しました[ひらめき]
正確に書くと、底生動物を除去した
(底生動物(Bentos)とは本来は生態的な分け方であり、
湖底などの水底や泥中で生活する水生生物を指します。
調査における底生動物とは、
一般にはプランクトンを除いた
無脊椎の水生生物全般を指す場合が多いようです。)
堆積物中を流れる電流が
堆積物表面での酸素消費と
堆積物下層における硫化水素および有機態炭素の酸化と
共役させている証拠を提示しました。

つまり堆積物表面と下層の間で電子のキャッチボールが
されているということです。
その距離は12mm以上も離れています[exclamation×2]
え~~~~~12mmしか離れていないの~
とおっしゃる方もいるとは思いますが
マイクロメートルに比べれば1万倍です[ひらめき]
たとえばキャッチボール[野球]で今まで50メートルしか投げられ
なかった人が、500000メートルつまり500㌔メートルも投げられる
ようになったら凄いですよね[exclamation&question]

論文では拡散による可能性をまず否定しています。
これは時間による制限を加えてやれば簡単に示せます。
例えば1時間で調べれば、そんなに早く拡散は起こらないので
拡散の可能性を否定できます。
次に物質収支から、堆積物中の全酸素の40%以上は
還元層からの移動してきた電子であることが示してあります。
あとは細かくなりますので省略いたしますが
微生物間のキャッチボール以外の可能性を順に論文では潰して
いってしまいます。
これが正しければ生物地球化学と微生物生態学に関する新たな
見方を提示することになります。

これが正しければ

敢えて私が書いたのは若干論文として
議論の方法に問題がある部分もあり
この説を否定しうる発見があることも
容易に想像されるからです。
ただ、非常に興味深いので今回はみなさんに
紹介することにしました。
それではまた明日[手(パー)]

大きな誤解 [科学ネタ]

数日前授業中に
お話をしていて気付いたのですが
「湿った空気と乾燥した空気はどちらが
重いのか?」
という質問に対して
湿った空気の方が重いと思っている生徒が
多いです[がく~(落胆した顔)]

もしかしたら
これは一般的にそう考えられているのかも…
と思い今回はブログに書いてみたいと思います。

生徒の話を聞いて分かったのですが
湿った空気の方が乾いた空気よりも重いと誤解するのは
「乾いた空気に水蒸気の分子が足されている」
と勘違いするからです。

でもこの間違いはすぐに分かります。
もし足されているのだとすると
湿った空気の方が気圧が高くなってしまいます[がく~(落胆した顔)]
もし一時的に気圧が高くても
気圧が高い方から低い方に空気が移動し圧力は均一になります。
ですから
水蒸気の分が「足されている」のではなく
空気の分子と水蒸気の分子が「置き換わっている」
というのが正しい解釈です。

そうすると空気の平均分子量は乾いた空気なら29くらいで
水の分子量は18くらいなので
空気を水に換えた「湿った空気」の方が
「乾いた空気」よりも軽いのです[ひらめき]

なぜ湿った空気の方が重いと
誤解してしまうのでしょうか?

これには様々な理由が考えられますが
おそらく
水蒸気が液体になると水になって落ちてきているのを
見ているからではないでしょうか?
もしくは
暖かい空気は冷たい空気より上に行くという常識が
暖かい空気=乾燥している?という
間違ったイメージを作り上げているのかも知れません。

(オマケ)
それにしても
最近
本当に寒いです。
私は寒いのが大の苦手なので
大変です。
お布団から出たくないので
ブログも今、お布団の中で書いています。

ココアを飲んでいたら…(物理クイズ解答編) [科学ネタ]

今日から中学入試です。
難関校は発表が二日後とか次の日ですので
まだ結果が分かるのは先です。

二月になってこれですこし普通の暮らしに戻ります。
中学入試が終われば
あとは大学入試です。
大学入試の方が、高校生以上が受験するので
不確定要素は少ないです。

ところで……
今朝久しぶりに自分のブログをパソコンを開いて確認しましたが…
なんと[exclamation×2]
私は物理クイズの解答を書くのを忘れてしまっています[がく~(落胆した顔)]
本当に申し訳ありません。

…ということで物理クイズの解答を書きたいと思います。
ココアをスプーンで混ぜて
マグカップの底をコツコツ叩き続ると
叩くごとに音程が上がるのは何故か?
という問題でした。

物理の基礎知識をおさらいしながら解説しましょう。
波動ではv=fλという関係があります。
日本語に直すと
(速度)=(振動数)×(波長)です。
私が書いている相対性理論でもおなじみの式です。
(さ、最近書いていませんが…[たらーっ(汗)]

振動数というのが音の高さに対応します。
振動数が大きいほど音が高いです。
単位はHz(ヘルツ)です。

波長はマグカップにココアを入れた時点で
その量を変えなければ一定です。
ですから
(速度)=(振動数)×一定値
となり
音速と振動数が比例するのが分かります。

ここで一般的に音速は
空気中の音速<水中の音速
という関係があります。

ココアを入れて混ぜた直後には
ココアの中に気泡(空気の粒)が沢山入っています。
これが時間と共につぶれてなくなっていくのから
音が高くなっていくのです。

音速で比較すると先ほどの
空気中の音速<水中の音速
から推測できるように
(空気を多く含んだココア)<(空気が少ないココア)
という音速の大小関係になります。
そうすると振動数も当然
(空気を多く含んだココア)<(空気が少ないココア)となり
ますから
叩いていると音が高くなるのです。

ココアを飲んでいたら…(物理クイズ問題編) [科学ネタ]

先日
ココアを飲んでいたら面白いことに
気がつきました。
まずは皆さんも実際に実験してみてください。

実験の方法は
粉末ココアをマグカップにいれ
ホットミルクで溶かしてよくかき混ぜます
(な~んてもっともらしく書いていますが
要はココアをいれるだけなんですが[がく~(落胆した顔)]

ココアがよく混ざったら
かき混ぜたスプーンを立てて入れて
マグカップの底をコツコツ叩き続けてください。
そうすると不思議なことに
叩くごとに音程が上がります[exclamation&question]
これは何故か?
を考えるのが今日の問題です。

ヒントとしては
ずっと叩いていると音程が一定になります。

石焼き芋焼きたて [科学ネタ]

最近本当に寒いですね。
昨日なんか日陰で強風にあおられていたら
本当に凍るかと思いました[たらーっ(汗)]

そんな凍りそうな私の横を
い~し
や~きいも~
や~きたて~という
声が聞こえてきました。

思わず買っちゃいそうになりましたが
移動の途中ですし
昼ごはんを食べたばかりだったので
やめました。

その変わりといってはなんですが
今日は少し石焼き芋についてかいて
見たいと思います。
 
電子レンジでつくったふかし芋は甘さがイマイチです。
これは甘さの原因であるグルコースや
フルクトースがどのようにできるかを考えればよくわかります。
グルコースやフルクトースは
デンプンが酵素や熱の作用で
ゆっくりと分解されてできたものです。
この分解反応は非常にゆっくり進むので、
電子レンジで急激に熱くしても
サツマイモは甘くなりません。
じわじわデンプンが分解されて甘くなるのです。
勿論温度は高い方が有効です。
ですから、高温で長い時間かけてやく石焼き芋や
、落ち葉を集めてやる焼き芋はおいしいんです。
オーブンでも熱効率が良すぎる為に、
高温になるまでの時間が短くなりすぎ、
十分には甘くなりません。
同じサツマイモでも焼きかたでかなり味は変わってしまいます。
甘いサツマイモが好きな方はじわじわ加熱してください。
そうすると時間はかかりますが
必ず甘くなります。[わーい(嬉しい顔)]

(おまけ)
昨日、今日と
パソコンが重すぎるのか非常に動くのが遅く
変換が出てくるまでに
数秒かかったりします[がく~(落胆した顔)]
早く解決しないと
ブログ存続の危機です!
…といっても
今はパソコンに構っている時間もないくらいに
忙しいです。
1月もやっと半分くらいでしょうか…
長い戦いですが全力で頑張っていきたいと
思っています[パンチ]

昨日の解答(斜面を転がる缶) [科学ネタ]

今日は昨日の物理クイズの解答を書いてみたいと思います。
一応見やすいように
もう一度問題を書いておきたいと思います。

(問題)
見かけは全く同じ缶詰があります。
その缶詰の片方には魚(固体)
もう片方にはジュース(液体)が入っています。
今この缶詰を同じ斜面からコロコロ転がします。
どちらが速く落ちるでしょうか?
①魚が速い
②ジュースが速い
③両方同時
空気抵抗は考えず。缶詰の形状、重さ等は全て同じとします。

(解答)
この問題は非常に単純な問題ですが
物理的なアプローチで大切なポイントが沢山含まれています。
勿論、この二つの缶の中身の状態
つまり液体か固体かが問題のポイントです。

先に正解を書いておきますが
正解は②です。(実は重さは関係ありません)
液体と固体の違いは何か?ということです。
これは前に「卵がゆで卵か生卵かを卵を割らずに確認する方法」
(2009年6月22日の私の記事を参考にしてください。)
で述べたのとほぼ同じように考えればOKです。
液体は慣性で缶と一緒には回りません。
一緒に回らないどころか
液体の入った缶はしばらく斜面を滑ります。
しばらく滑ってからゆっくりと回転し始めます。
固体の方は最初からくるくる回転します。

同じ高さから転がすので
最初に持っている位置エネルギーはどちらも同じです。
そのエネルギーは運動エネルギーに変換されて缶のスピードが
増していくわけですが
回転をするということは
回転にエネルギーを使うということです[ぴかぴか(新しい)]
単純化すると
位置エネルギー=運動エネルギー+回転エネルギー
で運動エネルギーが大きい方が速く落ちます。
元の位置エネルギーは同じなので回転エネルギーが小さい方が
運動エネルギーが大きくなります。
ですから回転する固体の入った缶より
滑り落ちる液体の缶の方が速く落ちるのです。

この問題には他にも摩擦のかかり方だとか
本当は細かいことを沢山考慮しなければなりませんが
回転の影響が最も大きく出ますの
他の細かいことは結果には関係なく
液体の方が速く斜面を落ちていきます。

今日はクリスマスですね。
たまにはこういった思考実験をしてみても楽しいと思います[わーい(嬉しい顔)]

クリスマスプレゼント [科学ネタ]

今日はクリスマスイヴ[クリスマス]です。
…ということで
物理屋サンタクロースから問題のプレゼント[プレゼント]です。
答えは明日書きます。
二択なので答えだけなら山勘でもあたりますので理由
をしっかり考えてみてください。

(問題)
見かけは全く同じ缶詰があります。
その缶詰の片方には魚(固体)
もう片方にはジュース(液体)が入っています。
今この缶詰を同じ斜面からコロコロ転がします。
どちらが速く落ちるでしょうか?
①魚が速い
②ジュースが速い
③両方同時
空気抵抗は考えず。缶詰の形状、重さ等は全て同じとします。

明日までに考えてみてください[わーい(嬉しい顔)]

深海魚について~いきなり黄金伝説をみて~ [科学ネタ]

私は仕事で、夜の時間のテレビはほとんど見られませんので
少しでも気になる番組は
どんどん録画しておいて
夜中にみたり、時間のある時にみたりします。
番組自体が面白くない場合はすぐに消去できますし
面白くない部分や
コマーシャルも早送りで飛ばせますので便利です[ぴかぴか(新しい)]

先日、録画していた番組を次々に見ていたら
「いきなり黄金伝説」で宮川大輔さんが
深海魚を漁師の人と一緒に釣り上げるコーナーをやっていました。
そこでブログのネタになりそうなことが
あったので書いてみたいと思います。

深海魚は水深数百メートル以上のところに棲息しています。
水深が10メートル深くなると大体1気圧増えます。
ですから1000メートルで100気圧!にもなります。
水深8000メートルのマリアナ海溝でナマコが見つかりましたが
そのナマコには親指の先くらいの面積に800㌔もの重さが
かかっています。

深海魚はこの高い圧力に適応できるように体を変化させていますから
釣り上げると、圧力が急激に下がり
内臓が膨張して口から飛び出たり
目玉が飛び出たりします。
その様子は番組でも見られました。
「いきなり黄金伝説」では駿河湾で、主に水深500メートル前後程度で
釣りをやっていましたが、それでも不思議な形の魚が
沢山出てきました。
私たちはいつも1気圧の中で生活していますから
そこで見ている生物の常識ではとても考えられない形の魚が
深海には沢山いるんですね。

この水圧のことを考えながら
テレビを見ていて、
魚をさばくシーンでなるほど[ひらめき]
と思ったのですが
深海魚には浮き袋がありませんね
それもそうですよね
空気が入っていたら圧力でつぶれてしまいます。
身体に少しでも空洞があったら
すぐにつぶれてしまいます。
ですから、奇妙な形をしているのも頷けます。
空洞が無ければ体の内側と外側の圧力が釣り合えば
いいだけの話なので大丈夫ですね。

番組で「バラムツ」という魚を頻繁に釣り上げていました。
バラムツは食用にはならない深海魚で
漁師が捕まえても、リリースしなければならない魚です。
その魚をリリースすると
どんどん沈んでいきます。
まるで深海に帰るように。
宮川大輔さんはこの場面をみて
「深海魚はやっぱり自分で深海に帰るんやな~」
とおっしゃっていましたが、
これは浮き袋がないので沈んでいっているだけです(笑)
全然泳いではいません。

この番組を見たあとに深海魚について
少し調べてみましたが
やはり浮き袋のある魚は少ないようで
あっても油が中にびっしり入っているそうです。


なるほど[ひらめき]
水より比重が軽ければ
なにも空気でなくても浮き袋の代りはOKなんですね。
また、番組で深海魚を食べる時に
油っぽい油っぽいという理由も分かりました。

何気なく見ていたバラエティ番組でも
結構勉強になりますね[わーい(嬉しい顔)]

(オマケ)
深海魚は光の少ない所に生息しているので
目が変わっていたり
体全体が自然発光したり
不思議な体の仕組みが沢山ありますね。

静電気がビリっときます [科学ネタ]

冬の訪れと共に静電気の季節が
やってきました。
つい先ほど寒いのでセーターを着て
ブログを書くために移動しようとドアノブに
手をかけたら、ビリっと静電気が走りました。
そこで今回は静電気について書くことにしました。
ちょうど今日はネタがなかったので助かりました(笑)

静電気は乾燥した場所で素材の違うものどうしが
擦れあうことによって起こります。
2つのものが擦れ合うと一方が+、一方が-に帯電します。
すると+と-が引きあって、放電が起きてビリっとくるのです。

よくあるケースを書いておきましょう。
ポリウレタンでできた椅子に
ウールでできたセーターをきて座って
擦ります。

そうするとセーターが+に椅子が-に帯電します。
この状態でドアノブなど自由電子(マイナスです。)
の豊富な金属部分に
触れると放電してビリっとします。

ここまでは有名な話で面白くないので
時間もありますし、
静電気防止スプレーの話も書いてみます。

静電気発生のメカニズムはおわかり頂けたと
思いますが、それでは服などに吹きかける
静電気防止スプレーは
どのように静電気を防止するのでしょうか?

静電気防止スプレーの中には界面活性剤が入っています。
界面活性剤とは簡単に言うと水と油の結びつきを強くする
ものです。洗剤等によく使われていますね。
洗剤の簡単な仕組みは、食器にこびりついた油を水につけても
水と油ははじき合いますので、油は水の方に流れず
食器の方にくっつきたがります。
それを界面活性剤を使って油を水に溶かしやすくします。
「油さん、食器にくっついているより水の方が居心地がいいよ」
と水と油の関係をとりもってくれるのが界面活性剤です。

静電気防止スプレーは界面活性剤の水にくっつきやすい性質を
使います。
静電気防止スプレーを衣類に吹きかけると界面活性剤が空気中の
水分を引きよせて、服の表面に水の膜のようなものを作ります。
そうすると水は電気を通しやすいので、服の表面が電気が流れやすい
状態になり静電気がたまりにくい状態になります。
これが基本的な静電気防止スプレーの仕組みです。

静電気が不快で、静電気防止スプレーをつけるのが面倒だという人は
金属部分に触れる前に壁(もちろん金属の壁では駄目です)
などに手を触れて放電すれば
静電気は起きません。(運悪く起きても軽くて済みます。)

意外と低かった始生代の海洋温度 [科学ネタ]

先週のnatureでおもしろい論文があったので
紹介したいと思います。エール大学の研究です。

このnatureのコーナーをの回はよく分からないから
見ずに飛ばすと中学生の生徒に言われてしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]
た、確かに…
中学生には難しいかも知れません。
でもなるべくわかりやすく書いていきますので読んでみてください。
私の力が足りず基礎知識がないと確かによくわからないかも知れませんが…

今回の論文で示唆されたことは非常に
私の中では驚いたことです。

それは始生代(約35億年前、地球誕生から10億年頃)
の海水温が実は高くても40度以下だということです[ひらめき]
つまりお風呂よりもぬるい海水でした[exclamation×2]

私が勉強した始生代の知識では
始生代は非常に温暖で、海洋の気候はおそらく55~80度
くらいというのが常識でした。
この55~80度というのには勿論根拠がありました。
それは
先カンブリア時代のチャートの酸素安定同位体比によって
分かっていました。
始生代の気候だけに限らず地球の初期気候史は
ほとんどこの手法で調べられてきました。

ところが…原始海洋の酸素同位体には不確実な面がある
ので、今までもこの結論には異論が多かったのです。
それは、原始海洋の組成が現在の海洋の組成と
異なることに起因します。
しかし、だからと言って他の方法もなかったので
一応この方法で調べた結果を尊重してきました。

しかし、今回エール大学のHrenの研究グループ
によって、この方法に変わる新たな画期的な
手法が生みだされました[ぴかぴか(新しい)]

それは、酸素安定同位体比を単独で使うのではなく
水素同位体比も組み合わせて使う分析方法です。
この方法が従来の方法より確実に形成温度を絞り込み
得ることが示されています。(条件を厳しく絞りこめるのです。)

この論文では
まず南アフリカのバック・リーフ・チャート岩から採取した
酸素安定同位体比と水素同位体比が様々な低温の水から
の形成と一致することが示されています。
酸素同位体(O18)が最も豊富なバック・リーフ・チャート岩は
最も低い続成作用温度を記録しており約40度以下の水と平衡となる
状態で形成されていました。
一方バック・リーフ・チャート岩は浅海から深海の条件で形成されたことが
示唆されていますので
古始生代の海洋が現在の海洋と比べて同位体が枯渇していたことが分かります。

このことから始生代の海水温が
従来考えられていた温度よりもずっと低温で40度以下であったことが
証明されました。

これは非常に大きなことです
始生代の海水温が80度くらいだとしたら
当時の生物全般が現在海底熱水や温泉地帯などに棲む生物のように
熱に強くなければならなりませんでした。
ところが40度以下でしたら熱水環境では生存できない生物も生存できた
可能性があるのです。
この辺りの今後の研究成果についても個人的に追いかけてみたいと思っています[わーい(嬉しい顔)]

電卓の表示可能桁数以外を計算する方法 [科学ネタ]

最近授業をしていて驚いたことがあります。
電卓が9桁しかない場合、そこまでしか計算できないと
思い込んでいる生徒がいます。

最近は電卓の普及は目覚ましく
学校の試験でも電卓や関数電卓を使ってもよいという科目が
あります。
そのうち電子計算機つまりパソコンを持ち込み可
という時代も来るのでしょうか?
どんなに機械が進化しても
ある程度その仕組みについては知っておかないと
訳の分からないことになると思います。

今日は電卓表示可能桁数以外を計算する一例を
書いてみたいと思います。
私が小学校の時に電卓をいじっていて気がついた方法を書きますが
他にも方法は沢山あります。

たとえば1÷29=0.03448275862068965517241379310344827…
となりますが
普通の電卓では9桁~12桁までしか答えはでません。
それ以降をだす方法を書きます。
ここで分かりにくいので言葉を定義させてください。
9がいくつか続いたあとの数字に
ある数を足して全て100…00になるとき
そのある数を「C数」と名付けます。
名前は皆さんのご自由にどうぞ。

例えば
999967のC数は33です。
3659993のC数は7です。
このC数を使って割り算をします。

ここでは5桁ずつ計算することにしましょう。
まず電卓で1÷29をやってください。
その最初の小数点以下5桁をメモします。
ここでは03448です。
次にこれに29を掛けます
03448×29=99992
そしてここでC数8を取ります。
そして今度はC数を29で割ります。
8÷29=0.2758620
となりこの最初の5桁をまた記録します。

この作業を繰り返せばいくらでも計算できます。
少し続けると
27586×29=799994
このC数は6
6÷29=0.2068965
この最初の5桁を記録します……となります。

プリミティブな電卓でも工夫次第でいろいろと使えます。
そういう工夫する力こそ
必要なものだと私は思います。
家庭教師のしごとでも
知識を与えるだけではなく
常にそういった考え方を教えています。

(オマケ)
基本的には割り算は循環する
ところまで答え見つければ
あとは推測できますので
今回の方法が実際に必要な場面はそんなに
多くはないと思いますが…
他にも電卓一つで様々な計算が工夫できるので
その仕組みを考えてみてください。


スピードガンについて [科学ネタ]

今年も野球の日本シリーズが始まりました。
私は仕事でほとんど見れませんが…

今回は野球を見ていると
よく球速がでてくると思いますが
球速を測るスピードガンについて書いてみたいと
思います。
結論を先に書きますとこのスピードガンは本当にあてになりません。

球速を測る仕組みから書いてみたいと思います。
仕組みは非常に簡単です。
測定する物体(ボール)に向けて電磁波を照射し、
物体による反射波を測定します。
物体が電磁波の進行方向に向かって運動している時は、
ドップラー効果によって反射波の周波数が変化します。
これと発射波の周波数を比較することにより、
物体の速さを算出することができるのですが…

これには大きな問題があります。
電磁波のドップラー効果は角度によって変化するため、
物体の運動方向から角度のずれをもつ点で測定した場合、
本来の速度と異なる値になってしまうことです。

日本のプロ野球の場合
測定用の電磁波と測定はバックネット方向から行います。
よく野球の試合を見ていると主審の後ろのパラボラアンテナが
うつっていることがありますが、それで球速を測っています。
ただ、真後ろからの測定では審判や捕手に隠れて測定できません。
ですから、やや斜めから測定を行っているのです。
そのため真の球速は測れていません。
まれに角度があって正確に測れることもあるのですが…
定点固定カメラのようなもので固定して測りますので
右投手と左投手で球速が速くでたり遅くでたりします。

基本的にスピードガンは野球を盛り上げる演出のようなものです。
スピードガンの球速が速いから打ちにくくていいピッチャーだと
いうことは絶対にありません。

野球をやったことがある方は分かると思いますが
スピードガンで140㌔の球よりも
120㌔の球の方が速く感じられ打ちにくいなんてことはざらにあります。
私も公式戦等でスピードガンのスピードガン表示を見てきましたが
体感速度とは全然違います。
その原因の一つはスピードガンは投げ出した初速測っているころにあります。

投手のストレートを投げるときにかけるバックスピンによって
終速はかなり変わります。
それによってバッターの感じ方は全然異なるのです。
バッターは終速しか関係ありません。
ピッチャーが投げた時に時速何㌔だったかなんて
何の意味がありません。
その意味のない初速を掲示し、皆で何㌔だと
面白がっているのが現在の野球の現状です。
確かに分かりやすいことはいいことですが、
実際のバッターが感じるものとは全然違います。

一般的にスピンの良くかかったボールほど
速く見え、打ちにくいです。
ところがこれが両刃の剣で、スピンがよくかかっているボールは
当たるとよく飛びます。いわゆる軽い球です。
ですからメジャーリーグではわざとスピンを減らして投げる投手が主流です。
投手は見えにくい球とバットに当たっても飛びにくい球
どちらかを選んで投げています。
もともとスピンをかけるのが苦手で仕方なく、回転を減らす投手もいますが…

その他にもボールの出どころの分かりにくいピッチャーは
球速が速く感じられます。
様々な要素、技術によって体感速度は大きく変わるのです。
何も工夫をしていない140㌔の球は普通に打ちやすいです。
イチロー選手や新庄選手が投げる球が速いので
投手としてマウンドに立ったことがありましたが
彼らが成功しなかったのは「野手の投げる」打ちやすい
速いボールだったからです。

私が今回最も言いたいのは
スピードガンで速い球速がでたピッチャーが
勝てる、いいピッチャーだということは絶対にないということです。
マスコミはスピードガンででた球速に騒いだりしますが
あれは本当にあてになりません。
いい投手というのは絶対条件としてコントロールのいいこと。
そして決め球を持ちその決め球を生かせる
投手としてのトータルな技術が備わっている投手です。
スピードガンでスピードが出るだけでは
投手としては何の意味もありません。
野球は初速選手権ではありませんから
マウンドからホームベースまで18.44m通過した
ボールだけが意味を持つんです。

(オマケ)
25年くらいまでは終速で測っていた時代も
初速と終速の両方を表示していた時代もありました。
でもやはり速い方が盛り上がるということで
近年は初速しか表示されません。



味噌汁を温めていたら~べナール対流~ [科学ネタ]

昨日お味噌汁を温めていたら
六角形が並んだような(蜂の巣型の)
きれいな模様がでてきました。

これはブログのネタになるぞ[わーい(嬉しい顔)]

しばし観察していました。

良く見ると一つ一つの六角形が細胞のように
分かれていて
六角形の中心付近が上昇して
端の方が下降する流れになって対流が起きていました。
これは「べナール対流」ですね。
空に浮かぶ雲もこの対流の雲が現れることがあります。

六角形が並ぶのはかなり綺麗ですね[ぴかぴか(新しい)]
何故六角形になるかといえば
対流が激しいほど対流の柱が沢山出来ますが
一つ一つの柱は細くならずに
ある一定の太さを保ったままです。
限られた面積に円形状のものをできるだけ
多く、隙間なく並べようとすると
その並び目は升目ではなくて蜂の巣状の六角形になります。
これはもっとも強度としても強いので
ハニーカム構造として様々な分野に応用されています。
蜂は非常に合理的に巣を作っている訳です。

……
としばらくべナール対流を眺めていたら
味噌汁がとんでもなく
濃い味になってしまいました[がく~(落胆した顔)]
しかも、ぼーっとべナール対流について
いろいろ考えていたので
その濃い味噌汁を飲んでしまいました[もうやだ~(悲しい顔)]
ギャー[ダッシュ(走り出すさま)]
となるほどの味でした。

そんな私の二の舞にならないように(笑)
簡単にその蜂の巣構造を見れるサイトを
紹介しておきます。
興味がある方は見てみてください。
勿論実験も楽しいですよ[わーい(嬉しい顔)]
間違えて飲まなければ(笑)

http://www.rada.or.jp/database/home3/normal/ht-docs/member/synopsis/190013.html

タイムマシンはできるか? [科学ネタ]

タイムマシンができるかについて今回は話をしてみます。
昔からSF小説やマンガなどでタイムマシンが出てきて
もし科学が進んでタイムマシンができたらいいなあと
思った人は沢山いると思います。(私もその一人なのですが)
その夢を砕くつもりはありませんが、実はタイムマシンはできません。

それは時間に対する昔の人の概念の錯誤です。
時間というものがどういうものなのか、
私の相対性理論講義を読んでくださっていれば徐々におわかりの方も
いるかと思いますが、なぜタイムマシンができないのかについて
説明しながら、時間概念について多くの方が現在でも持っている
誤解を解きたいと思います。

正確にこの問題を議論するには様々な数学を用いなければなりませんが、
そのような素養がなくてもわかるように説明してみたいと思います。
先に結論を言えば、これは人間が道具を使わずに空を飛べるか?とう質問と同じことです。
人間はそもそも空を自由に飛べない仕組みにできています。
逆にもし飛べる人がいればそれはもはや人間ではないわけです。
ですから人間は自力では空を飛べません。

多くの人が未だに時間は矢のように
一方方向に「流れていくもの」だと思っていると思います。
それがそもそも大きな誤解であって、そのような考えから生まれた
装置がタイムマシンですので、
時間の概念が間違っていれば、自動的にタイムマシンはできなくなるのです。
(ただ、タイムマシンらしきものは、非常に小さな可能性ですができる可能性は
ありますが、できても実用上ほとんど意味を持たないものです。)

私たちが時間と考えているものは
エントロピー増大の様を時間が流れるように解釈しているだけです。
エントロピーについて丁寧に書き出しますと
このブログはかなり長くなってしまいますので
(非常に重要な概念なのですが)
多少正確さを犠牲にして、わかりやすい例で説明します。
不可逆過程においてエントロピーが増大するというのは
簡単に言うと乱雑さが増す確率の方が、減る確率よりも
圧倒的に(天文学的数字以上に)高いということです。

コーヒーにクリープをいれて
数日間そのまま放置しておけば
勝手にまざりカフェオレになります。
ところがその逆は起きません。
カフェオレを作っておいて
放置してたら勝手にクリープとコーヒーに分かれることはありません。
これがエントロピーの増大です。
これを私たちは時間が流れたと解釈します。
クリープとコーヒーに勝手に分かれていくさまを
目の当たりにしたら、ビデオの逆回しのように感じる筈です。
エントロピーが小さくなる様子は
私たちの感覚から言うと時間の逆回しになるわけです。

簡単な例で説明しますと、(分かりやすく説明するために
細かい部分の考慮は若干省きます。)
次のように四つの玉(動きまわる原子
だと思ってください。)
が仕切りで分けられて
二つの部屋に分かれているとします。
  〇〇|●●
いま仕切りを外すと二つの玉は移動します。
そのときに白黒元の位置に入る確率を考えてみてください。
勿論確率ですので、白と白、黒と黒を区別して考えます。
そうするとまず白玉一つ目が左にいる可能性は1/2
もう一個の白玉が左にいる可能性は1/2
一つ目の黒玉が右にいる可能性は1/2
もう一つの黒玉右にいる可能性が1/2となります。
従って1/16でもとの状態にもどります。
ということは残りの15/16はバラバラになるわけです。
バラバラになる確率が圧倒的に高いです。

今4個の玉でやりましたが
これを10個でやると1/2を10回掛ければいいので、
もとに戻る可能性は1/1024になります。
1023/1024でバラバラですので
圧倒的にバラバラになるわけです。

さて1000分の1くらいなら
元にもどる可能性があると思われる方もいると思います。
ところが、分子の数というのは非常に多いのです。
例えば水素分子2gでも
約600000000000000000000000個の分子があります。
これが元に戻る可能性は1/2を
60000000000000000000000回かけてください。
たった水素分子2gが元に戻る確率でさえこんなに小さいのです。
ですから、圧倒的に、絶対的にバラバラになる方向に進むのです。
このバラバラになる様を私たちは日常見て
時間が経過していると解釈しています。

時間を戻すには、その分子を元のバラバラでない状態に戻さなければ
なりませんが
これが不可能であることは水素分子2グラムの例からもおわかりいただけると
思います。
私たちの有限な時間では水素分子2グラムさえ元の状態に戻せません。
ですから残念ながらタイムマシンはできないのです。

相対性理論のウラシマ効果を使ってほんの少し寿命を延ばすのを
タイムマシンだとおっしゃる方もいますが、
それは我々一般の人がイメージする過去に戻れるタイムマシンとは
程遠いものだと思います。

タイムマシンは時間について
私たちが長年にわたって間違えた解釈をしてきたために生まれた産物なのです。
(時間の解釈自体については細かい部分でまだ議論は残されていますが
どの結果でも、タイムマシンができるような結論にはなりません。)
我々は有限の時間をしっかりと生きるほかありません。

げげげげげげ、台風が [科学ネタ]

昨日天敵といった台風が本当に
木曜日から金曜日にかけて上陸しそうです[あせあせ(飛び散る汗)]
しかもかなり大きいです[がく~(落胆した顔)]

ここで台風の強さと大きさについて書いてみたいと思います。
強さは昔は中心気圧で分類していましたが
現在は最大風速 (m/s)で分類します。
国際的な分類と日本の分類と単位が違うので
日本の分類で書いてみます。

風速が17.2 (m/s)以下ですと Tropical Depression (TD) 弱い熱帯低気圧
17.2~24.5 (m/s)で Tropical Storm (TS) 弱い 台風
24.6~32.6 (m/s)でSevere Tropical Storm (STS) 並の強さ
32.7 ~43.7 (m/s)でTyphoon (T) 強い
43.7~ 54.0 (m/s)で非常に強い となり
54(m/s)を超えると「どう猛な」という動物みたいな[わーい(嬉しい顔)]表現になります。

一方台風の大きさは風速15m/s以上の強風域の大きさによって分類します。
(以前は1,000ミリバール等圧線の半径で判断していました。)
風速15m/s以上の半径 が
200 kmより小さいと… ごく小さい
200~300 km… 小型(小さい)
300 - 500 km …中型(並の大きさ)
500 - 800 km …大型(大きい)
800 km以上を超えると… 超大型(非常に大きい)

今回の台風は現時点で中心風速が50mもあります[がく~(落胆した顔)]
もう少しで獰猛な台風になってしまいます。
あまりひどい台風が直撃しますと
交通機関がマヒし仕事を休まなくてはいけなくなります。
授業の予定も狂いますし…

なんとか直撃しないでほしいです

スぺーザーを用いたナノレーザーの実証 [科学ネタ]

今回はnatureの論文に取り上げられたもので
一般の人のも分かりやすいもの
(と…言っても難しいかもしれません[たらーっ(汗)]
を書いてみたいと思います。
論文の内容自体とはあまり関係ないのですが
今、物理学でホットな話題を書いてみたいと思います。

物理の特にナノテクノロジーの分野で
今急速に成長しているものの一つに
ナノメートルスケールのプラズモン効果というのがあります。

プラズモン効果とは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって
全体として粒子のように振る舞うことを言います。
金属のナノ粒子ではプラズモンが表面に局在します。
これを局在(表面)プラズモンと言います。

特に金コロイドなどの金属ナノ粒子では、
可視~近赤外域の光電場とプラズモンがカップリングして
光吸収が起こり、鮮やかな色をだします。
この現象を局在(表面)プラズモン共鳴(SPR)と言います。

プラズモン共鳴においては局所的に著しく増強された電場も発生します。
光エネルギーが表面プラズモンに変換され、
金属ナノ粒子表面に光のエネルギーが蓄だけではなく、
光の回折限界より小さな領域での光制御が可能とするものです。

この技術はセンシングや、医学、画像化技術まで
様々な技術に応用されることが期待されています。

しかし問題があります。
このナノプラズモニクスを実用化する為には
コヒーレントなプラズモン場を発生すためのデバイスがありません。
(コヒーレンス(Coherence)とは、干渉のしやすさ(干渉縞の鮮明さ)を表すものです。
コヒーレントはその形容詞で簡単に言うと干渉性があるということです。)
現実には完全にコヒーレントな光は存在しません。
その中でもコヒーレントに一番近い光はレーザーです。
レーザー光は空間的にも時間的にも非常にコヒーレンスの高い光です。
逆に太陽光や電球、蛍光灯の光はコヒーレンスの低い、完全インコヒーレントに近い光です。
コヒーレントとインコヒーレントの中間の状態を、部分コヒーレントということもあります。

レーザーがコヒーレント光子の誘導放出を
起こすのと同じように
スぺーザーは利得媒質(光をどんどん増やす媒質です。)
付近の共鳴ナノ構造体における
表面プラズモン(簡単に言うと金属ナノ構造体における自由電子の振動です)
の誘導放出を起こしうると提案されています。
しかしこのスぺーザー実現の試みも
金属の吸収損失という難問に直面しています。

最近ではこの答えとして
局所的な伝播表面プラズモンでは光学利得で損失を
補償するという考えが最近実施され
開放経路での伝播表面プラズモンの増幅まで可能になりました。
しかし、依然として
金属ナノ粒子の存在下で色素分子の誘導放射増強は
スぺーザーに存在するフィードバック機構を欠いています。

それを今回アメリカのノーフォーク大学のグループが
金の原子核と色素をドープした
シリカシェルを持つ直径44nmのナノ粒子で
利得によって局所表面プラズモンの損失を完全に克服して
スぺーザーを実現することを示しました。
これによってナノプラズモニクスの基本的な理解が深まり
実際的な応用開発が進むものと考えられます。



行楽の秋~蜂に対する対処法~ [科学ネタ]

最近は本格的に秋らしくなってきました。
秋は行楽のシーズンです。
そこで今回は蜂について書いてみたいと思います。

ちょうどこの時期はスズメバチなどが活発に活動する時期です。
蜂に刺されると痛いですし
場合によっては命に関わります。

蜂に遭遇したらどのように対処したらいいのか?
基本的には静止するのが一番いいです。

蜂に限らず多くの昆虫や節足動物の視覚は
一定以上の角速度に反応します。
蜂に特に感情があって攻撃してくるわけではありません。
私たちがゴミが目に入りそうになると目を自然に閉じてしまうのと
同じように、反射的に角速度に反応してしまうのです。

この場合の角速度というのは簡単に言うと
蜂の正面に立った時の左右の動きです。
これが大きいほど蜂は追いかけてきます。
ですから蜂に対する前後の動きは角速度が0になるため
蜂を刺激しないで済みます。

また蜂は動きの遅いものや、静止しているものを
うまく判別することができません。
ですから蜂が身体に止まっても、じっとしていれば刺されることはありません。

しかし、蜂が興奮状態の時は話は別です。
巣の近くにいる時などがそうです。
蜂は集団で攻撃してきます。

スズメバチは巣に近づいてくる敵がいると
まず数匹でカチカチと音を鳴らして威嚇してきます。
この音に気づいたらそこから数十メートルダッシュして逃げた方がいいです。
スズメバチには縄張りがあります。
そこから離れれば襲ってきません。
この威嚇を無視すると…
次は数十匹で襲いかかってきます。

もし蜂に襲われたらどうするか?
その時は洋服や何かを大きく振って逃げるのがいいです。
蜂は人を識別して攻撃してくるわけではありません。
角速度に反応するだけなので、
その振られた洋服の方に攻撃をしてきます。
更にスズメバチは黒い色に反応する習性がありますので
髪の毛や黒い服は刺されやすいので要注意です。

蜂は別に趣味で攻撃してくるわけではないので
蜂に出会っても、静かにして
あまり動かないようにしていれば攻撃をされることはありません。

秋はスズメバチが興奮しやすい季節なので
行楽に行かれる方はお気を付け下さい。



昨日の解答 [科学ネタ]

昨日の問題です。
①そのまま三分冷ましてから、三分後にミルクをいれる。
②最初にミルクを入れてから三分待つ。
どちらが早く冷えるかという問題でした。

このような話題に関しては、ニュートンの冷却の法則というのがあります。
(正確には経験則なのですが、常温ではほぼ成り立ちます。)
これをこの問題に合わせた形で簡単にして書きますと
(コーヒーの温度)=(気温)+{(コーヒーの温度)ー(気温)}×exp(-at)
となります。何やら複雑な式に感じられる方もいるかと思いますが
この式の意味は非常に簡単です。
二つのものの温度差が大きいほど
速いスピードで冷えるのです。

ですから正解は①です。

②にすると最初にミルクを入れた時点でコーヒーが
冷えます。そうすると気温とコーヒー+ミルクの温度の差が少ないため
あまり温度が下がりません。

それよりもまずは熱いコーヒーと気温の差で冷まして
(温度差が大きいのでよく冷えます。)
最後にミルクを入れた方がよく冷めるのです。

この法則から考えれば当然夏よりも冬の方が
この実験は大きな効果が表れます。

全国の猫舌[猫]カフェオレ[喫茶店]ファンの方
寝坊して焦っている朝に是非試してみてください[わーい(嬉しい顔)]

(オマケ)
最近かなり涼しくなってきましたね。
昼はそうでもありませんが
朝晩は結構冷えます。
私もそろそろ衣替えをしようかと思っています。


ピ、ピンチ~!でもコーヒーが飲みたいんです!!(物理クイズ) [科学ネタ]

(物理クイズ)
最初に言っておきますと
私はコーヒーはブラックで飲みますので
この話は科学的に物事を考えるためのフィクションです。

ある朝寝坊して起きて
あと五分で仕事に行かなければならないとします。
ピ、ピンチです[がく~(落胆した顔)]

で、でも~
それでもコーヒー[喫茶店]が飲みたい~
という時のことです。

私は猫舌です[猫]
今、目の前にあるのはアツアツのコーヒーとミルク
これを混ぜて冷ましてから飲みたいと思います。
コーヒーを飲む時間もありますので
三分でコーヒーをできるだけ冷まして飲みたいと思います。

さて次のどちらがより冷えるでしょうか
①そのまま三分冷ましてから、三分後にミルクをいれる。
②最初にミルクを入れてから三分待つ。

いきなり答えを書くのもどうかと思いますので
答えは明日書くことにします。
答えと理由を考えてみてください。


ガウスについて(第二回) [科学ネタ]

昨日に引き続きガウスについて書いてみたいと思います。
最初にお断りしておきたいのは
これからガウスの発見したものを書いていきますが
これはほんの一部でしかありません。
高校生に雑談で話す内容のものですので
高校生に分かる範囲のものです。

ガウスは大学の学位論文では
代数学の基本定理を最初に証明しました。
後に彼はこの問題に対して4つの異なる証明を行い、
複素数の重要性を決定付けました。
代数学の基本定理とは
「次数が 1 以上の任意の複素係数一変数多項式には複素解が存在する」
という定理です。
ただ、実際よく知られているのは
この定理から導かれた
「複素数係数の任意のn 次多項式は
複素数の根を(重複度込みで考えれば)ちょうど n 個持つ」なので
このことを指して代数学の基本定理と呼ぶこともあります。
この問題の証明はそれまで完全なものはありませんでした。
ガウスの証明も最初は不完全なものでしたが
彼が証明した4つの方法の中に完全なものも含まれています。
大学の複素関数論の教科書には大抵証明が載っていますが
興味のある方は
綺麗な証明なので是非見てみてください。

専門の数論では合同式の導入や
素因数分解の一意性の証明など
非常に多くの重要な発見をしたのですが
時代が若すぎてあまり正当な評価は受けられませんでした。

解析学においても虚数を導入したのはガウスです。
ガウスは複素数を駆使して多くの美しい発見をしました。
楕円関数の最初の研究で、レムニスケート関数の発見をし、
1800年には一般楕円関数を発見し、その理論を展開しました。
ガウスはこのような発見を発表しませんでした。
楕円関数が世にしられるようになったのは
ガウスの発見から30年も後のアーベルの論文によるものです。
また 同じ1800年頃、ガウスはモジュラー関数を発見して
その理論を組み立てましたが、
それはデデキントが発見する50年も前のことでした。
関数論においても1825年のコーシーの虚数積分の論文が発表され、
その後30年を掛けて対象としての解析関数の認知にまで発展しましたが、
なんと!ガウスには1811年にはすでに
後に「コーシーの積分定理」として知られる事柄を日記の中で使いこなしていました。
それも素晴らしく美しい方法で。
他にも現在でも科学ではほぼすべての分野で
データを取る際に、誤差修正法として用いられている
最小二乗法もガウスが発見し
最小二乗法の正確さを正規分布に基づいて表現できることを証明しました。

ガウスはこのような成果が次々と彼の発見に遅れて発表されても
決して自分が先に発見したんだとは言いませんでした。
普通の人ならどんどん喜んで発表したくなるものですし
自分の名前を少しでも歴史に残したいとか思うものですが
本当の天才はそのようなことに頓着しません。
ガウスが発表した成果だけでも
勿論超一流の数学者なのですが
ガウスの死後、ガウスの多くの日記が見つかって
更にその凄さが認識されました。

……と書いてきたことでガウスの天才ぶりが
ご理解いただけたかと思いますが、
なんとこの多くの発見もガウスの発見の5分の1程度のことなのです。
ガウスは数学である程度自己満足すると
次は物理の分野で次々と新たな発見をしていきます。

ガウスは数学は自己満足のためにやるものだと考えていましたので
それほど数学が世間の役に立つとは考えていなかったようです。
ガウスも年をとってくると、社会貢献の心が芽生えてきて
社会の役に立つ天文学者にでもなるか、と思い立って物理を始めます。
ここでも多くの新しい発見をします。
測定用機材の開発(ガウス式レンズの設計)、
楕円関数の惑星の摂動運動への応用などです。
また測量と微分幾何学への興味から、曲面論を創始し、
ガウス曲率が等長写像に対する不変量であることを発見し発表しました。
この発見は、曲面が持つ内在的性質の研究の道を開き
リーマン幾何学へと発展したました。

また、なんと60才近くになってから電磁気をはじめ
ここでも多くの発見をします。
その功績から電磁気の分野にもガウスにちなんだ名前のものが沢山あります。
。ガウスの定理・ガウスの法則・ガウス(磁束密度の単位)・ガウス単位系などです。
ガウスは電気でのキルヒホッフの法則にあたるものを発見し
電信装置を作り上げ、1873年のヴィーン万国博覧会に展示されました。

最後にガウスの私生活について書いて終わりたいと
思います。
ガウスは当時としては非常に長生きで78才まで行きました。
最初の奥さんヨハンナ・オストフは28才という若さで亡くなり
オストフとの子供もそのすぐ後に亡くしています。
(他に二人の子供もいました。)
彼女の死はガウスの精神に大きなショックを与えました。
ガウスは保守的な人で信心深く、内気な性格でしたが、
奥さんを亡くしたことで更に人と付き合わなくなり
自分の殻に閉じこもるようになりました。
ヨハンナの死後、フリーデリカ・ヴィルヘルミーネ・ヴァルトエック
と2度目の結婚をしましたが
この結婚はあまり幸せではなかったようです。
ガウスは非常に長生きなので当然二人目の奥さんも先に
亡くなりました。
奥さんが亡き後は、娘のテレーズが自身が結婚後も
ガウスが亡くなるまで
身の回りの世話をしたそうです。
テレーズに見守られ
ガウスはゲッティンゲンで1855年に亡くなりました。

幼い頃から貧しい家庭で育ち
私生活は決して順風満帆ではありませんでしたが
非常に多くの業績を残し、この世界に計り知れないほど
大きな貢献をしました。
今後もガウスの名前が教科書からなくなる時は来ないと思います。
彼の母国ドイツでは1989年から2001年のユーロ紙幣になるまで
10マルク紙幣に彼の肖像が描かれていました。

書いているうちに長くなってしまいましたが
これでガウスについての雑談は終わりです[手(パー)]



ガウスについて(第一回) [科学ネタ]

今回から二回に渡って
「ガウス」について書いてみたいと思います。
これは生徒に授業でガウスというのはどんな人だったか
良く聞かれるからです。
雑談でこの内容を全部話すと
それで授業が終わってしまいます[がく~(落胆した顔)]
ですからかなり短縮してお話しています。
それを今回は少し長めに書いてみたいと思います。

高校までの学習にガウスの名前のついたものは
沢山出てきます。
だから生徒にも馴染み深く気になるおじさん?なんでしょう。
ガウス平面
ガウス記号
ガウスの法則
ガウス積分
ガウスの名前の付いたものは沢山習います。
また2002年にはガウス賞が創設され2006年には
京都大学名誉教授・数理解析研究所元所長 伊藤清博士が受賞されました。
伊藤先生は確率微分方程式の創り上げた方です。

ガウス(Johann Carl Friedrich Gauss )
はドイツのブラウンシュヴァイクで生まれました。
子供の頃から神童で文字を覚える前に計算ができたそうです。
多くの方が知っているであろう逸話として
次のようなものがあります。
ガウスは石屋の息子さんでしたが
そのお父さんの給与明細の計算の間違えを
三歳で指摘したそうです。
更にガウスが10才になるかならないかの頃
学校で、1から100までの数字すべてを足すように課題を出されました。
それを彼は、1 + 100 = 101、2 + 99 = 101、3 + 98 = 101…
となるので答えは 101×50 = 5050 だ、と即座に解答して教師を驚かせたそうです。
現在ではこのような手法は等差数列の和として有名で
小学生でも習いますので(受験生の場合)
その凄さはわかりにくいかも知れませんが、
18世紀では小学生がこのような発想ができること自体が奇蹟でした。
実際、学校の先生は彼の才能を見るにつけ、
このような天才に自分が教えられることは何もないと言ったそうです。
また15歳のころ、ガウスは一日15分ずつの予備の時間を当てて
1000個ずつの自然数にそれぞれ幾つの素数が現れるかを調べ、
その次第に減っていく様子から、約100年後に証明されることになる素数定理を予想しました。

ガウスの家は大変貧しかったため
自分の能力だけで奨学金をもらって大学に行き
驚くほどの様々な発見をしています。
ガウスは控えめな性格で数論を研究していたために
数論以外には多くの発表をしませんでしたが
ガウスの日記に書かれている解析学の多くの発見は
後の時代の数学者を大きく驚かせました。

そのような発見の一部をここで紹介しておきたいと思います。

ガウスは古代ギリシアの数学者達に起源を持つ
定規とコンパスによる作図の問題に正確な必要十分条件を与え、
正17角形が作図できることを発見しました。
作図できる正(素数)角形は古来から知られていた
正三角形と正五角形のみだと考えられていたので
この発見は当時の数学界に衝撃を与えました。
なぜなら、この問題は2000年もの間解決しなかった問題だったからです。
しかも、作図問題を数式に置き換えるという
極めて斬新かつ美しいアイデアでこの問題を解決したのです。

ガウスはこの結果を非常に喜び
この成果である正17角形を墓標に刻むように申し入れました。
これは宗教的な理由で却下されてしまいましたが、
ガウスの記念碑には正17角形が刻まれています。
この発見を喜んだガウスは日記をつけ始めます。
この日記から後に多くの発見がなされるのです。

この発見について第二回では書きたいと思います。

最後にちょっと雑談です。
墓標で思い出しましたが
エントロピーの概念を生み出した
悲運の物理学者ボルツマンの墓標には
エントロピーの式が刻まれています。
これは是非一度見に行きたいです。
ボルツマンが何故悲運かというと
ボルツマンは熱力学で非常に大きな発見をしたのですが
それが、当時の物理学者には理解できず
異端とされて、学会で激しいいじめにあうのです。
それで精神病になったボルツマンは
家族との旅行の際に自殺してしまいます。
ボルツマンは原子の存在を確認することなく
この世を去ってしまったのです。
ボルツマンについても機会があれば詳しく書きたいと思います。

それではまた明日[手(パー)]


サウナで火傷をしない理由 [科学ネタ]

サウナで汗をかくとすっきりします。
私もたまにサウナに入りますが
サウナで火傷をしない理由について
今回は書いてみたいと思います。

最近はサウナと一言でいっても沢山の種類があります。
その中で大まかに分けると
ドライサウナとウェットサウナがあります。
ウェットサウナは40~50°Cくらいなのでいいとしても
ドライサウナでは100°C前後あります[がく~(落胆した顔)]
これで何でやけどをしないのでしょうか?

この理由は大体二つ考えられます。
一つには
体全体に汗をかいて水分が皮膚を覆っています。
この水分が直接水蒸気が皮膚に触れるのを防いでくれるからです。
簡単に例をあげますと
ストーブのスチームや、やかんの蒸気に
乾いた手を当てるとやけどをしますが
濡れた手ならばあつさをあまり感じません。
これと同じ原理です。
(水でぬらしたから水の冷たさで大丈夫な訳ではありません。)

もう一つの理由は
体の表面から出る汗が蒸発するときに
気化熱が奪われるからです。
ドライサウナの中は名前の通り非常に乾燥していて
湿度が5%くらいしかありません。
(ウェットサウナは湿度が100%近くあり
湯船につかっているような状態になります。)
ですから、汗がどんどん蒸発して体が冷やされます。
ですから逆にいうと100°Cくらいにしておかないと
風邪をひいてしまうんです。
日本の夏の体感温度が非常に高い理由も湿度が高いからです。
湿度が高くて暑いというのは本当にきついです。
同じ35°Cでも湿度が高いのと低いのでは全然体感温度が違います。
アフリカの人でも日本の夏はかなり暑く感じるそうです。

最近やっと涼しくなってきました。
…とはいっても今年の夏は昨年ほどの
暑さはなかったような気がします。
腰痛ばかり痛かったので
そのせいであまり暑さを感じなかったのかも知れませんが