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生物による海洋混合が粘性によって増強される機構 [科学ネタ]

先週のnatureの論文から興味深いものを紹介したいと思います。

最近地球温暖化でも話題になっていますが
海洋混合という現象があります。
海洋混合は赤道と南北両極間で暖流、寒流を作り出すとともに、
深層部の冷たく栄養豊富な海水と表層部の太陽で温められた海水
をかき混ぜています。
海洋混合は海洋生物多様性、気候の維持
にとって非常に重要な役割を果たしています。

この海洋混合が何故起こるか?
ということについては
今までは単に風と潮の満ち引きだけだと考えられてきました。
ところが、今回の論文で言われていることは
この海洋の水の混合において大小の海洋生物が
密かに重要な役割を果たしているかもしれない
ということです。

そもそもこの生物が海洋混合に影響を与えるのではないかと
最初に考えたのは
かの有名な進化論などで知られるチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)
の孫で同名の科学者チャールズ・ダーウィンです。
(おじいさんと孫が同じ名前で混乱しやすいですが[たらーっ(汗)]

この考えは1950年代に提唱されたのですが
1960年代に行われた、海洋生物が作り出す海流と海全体の海流を比較する実験
によって否定されてしまいます。
実験では、微少なプランクトンや魚類が移動することで作り出す渦
がすぐに消えてしまうことが示されました。
→正確に言いますと、小型動物の乱流運動エネルギーの大部分が
Ozminov浮力長スケール以下なので、
ほとんどが流体粘性によって熱に変換されてしまいます。
ですから海洋混合には影響を及ぼさないとされているんです。

しかし、、今回カルテックのKakani Katijaらの研究グループは
第二の流体お混合機構が遊泳動物による混合の主要な機構であることを示しました。
彼らは太平洋に浮かぶ島国パラオの塩湖で実験を行いました。
クラゲの群れの周辺に染料をまき、クラゲと周辺の海水の動きを撮影すると、
上昇するクラゲとともに大量の冷たい海水が表層に移動することが示されたのです。
1960年代の実験は垂直方向の海水の入れ替えではなく、
海洋生物が作り出す波や渦に着目していのです。
その着眼点自体が間違っていたことを彼らは指摘しています。
かき混ぜられる海水量は、海洋生物の大きさや形のほか、
群れの大きさ、移動パターンなどによって決まるそうです。

この発表によって
ダーウィンの説が再注目を浴びるかもしれません。
(孫です[わーい(嬉しい顔)]

 

 
 
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