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季節の変わり目っていつですか? [科学ネタ]

(動的界面の次元普遍性)
今回もNatureに掲載された論文の中から
面白いものを紹介します。
ソウル大学によって発表された論文です。
最近は科学の分野で韓国もかなり力を付けてきた
ように思います。これも教育の成果かもしれません。

自然の多様性や複雑性にも関わらず
一見互いに似たところのない多様な系や過程の間には
臨界スケーリング則の形で普遍性が存在しています。
(例えば、株式市場、地震、肺膨張、超伝導の渦など)

この普遍性は微視的詳細とは関係がなく
系の対称性と次元にのみ依存します。
この普遍性が系の次元によって影響される仕組みは
現在でも重要な未解決問題です。

ソウル大学の論文ではこの問題を根本的に
解決したわけではありませんが、
強磁性ナノワイヤーでは、次元クロスオーバーが
起こっても普遍性が持続することを実験的に証明しました。

次元の境界を考えるのは、この次元依存性を考えるうえで
重要だと私も思います。
若干正確さを欠きますが分かりやすいように例えると
二次元の紙を刻んでいくことを考えてみてください。
細かく細かく刻んでいくとやがて線になります。
線になると一次元です。これは数学的には極限を考えるので
問題はないのですが、物理学的な性質を考えると
この二次元と一次元の次元の壁が重要になってきます。

この紙を細かく切ってい行くというのを
ナノスケール(0.000000001m)単位でワイヤーで実験したのが
今回の論文です。
ワイヤーの幅が狭くなるにつれて、磁壁の動力学は二次元における
弾性クリープから一次元における粒子のような確率的挙動に変化します。
ここに有限サイズスケーリングを適用することによって
一次元、二次元、及びそのクロスオーバー領域(中間領域)における
実験データが全て単一曲線にのることを見出しました。
これは、臨界遷移における普遍性を示している訳です。

因みに紙を切っていったときに二次元から一次元にいつ物理的性質が変わるか
というと、それは100nm単位で現れます。
これは、現代ナノデバイスの集積化のスケールと同じです。

(まとめ)
このように物理学的に相転移の変わり目を考えるのは
非常に難しいです。
私はこれに関連していつも季節の変わり目について考えてしまいます。
季節の変わり目っていつでしょうか
例えば春と夏の境を考えるのも難しいです。
いつが春と夏の変わり目でしょうか?
梅雨だとしても、北海道には梅雨はありませんし…
確実に春から夏に変わるのにその変わり目の日を特定するのは難しいです。
それと同様に次元の壁(変わり目)も物理学的に考えると難しいのです。
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