物理学的思考実験をあなたに（問題編）

理論物理学において思考実験というのは
非常に重要です。
なぜなら、すべての実験を実際に行うことは
技術的に、予算的に不可能だからです。

すぐれた物理学者ほど、すぐれた思考実験で
世間をあっと言わせて来ました。

有名なところでは
「シュレーディンガーの猫」などが
あります。ご存じない方もいると思いますので
このことについては
量子論について書いた時に必ず触れたいと思います。

まずは、「ちょっと気になる」という私のブログで出した
問題の解答を書きたいと思います。
鳥が飛んでいるとき、無重量状態か、という質問ですが
答えはＮｏです。
次のように考えるのが物理学的です。

私は、「ちょっと気になる」のブログで、
飛行機でエンジンを止めて、自由落下すれば
無重量状態になると書きました。
ですから、もし鳥も飛んでいる状態で鳥が無重量状態に
なるのであれば、飛行機も飛んでいるだけで
無重量状態になるはずです。
飛行機に乗って宇宙遊泳できましたか？
しかも、飛んでいて無重量状態なら、そもそもエンジンを止める必要なんか
ありませんよね（笑）

それでは物理学の思考実験を鍛える問題を出します。
解答編までに考えておいてください。

問）鳥が空に羽ばたくと、地球は軽くなるでしょうか？また、人工衛星が空に打ちあげられると
　　その分地球は軽くなるでしょうか？
オマケ）宇宙で皿を宙に浮かせたままにし、ハンマーで叩くと割れるでしょうか？

いずれの問題も結論より、どのように考えたかが大切です。
がんばってみてください

（オマケ）
今日再放送ですがNHKスペシャルでペレリマンについてやっていましたね。
ポアンカレ予想を解決して（正確にはサーストン幾何予想を証明しました。）
賞金とフィールズ賞を拒否して一躍有名になりました。
ポアンカレ予想とペレリマンの仕事については、いつかブログで書きたいと思います。
ワイルズがフェルマーの最終定理を解決してから10年、
ポアンカレ予想までが解かれるとは…
しかも、トポロジーのアプローチでかなり解決に近付いていたのを、
ペレリマンは物理学的手法、つまりリッチフロー方程式を使って解決するとは…
トポロジーの専門家にとっては衝撃だったと思います。
NHKの番組では特異点についての説明が乏しかったのが残念でした。
ペレリマンは物理が得意でしかも特異点の専門家だったので、
ポアンカレ予想が解けたのだと思います。
本当に素晴らしい仕事ですね。
この時代に生まれたことを嬉しく思います。

コメント 1

昨日のペレリマンの番組を見て先生のことを思い出しました。私は理化研で働いています。7年前に先生の授業を受けて東大の大学院に入りました。先生は東大の教授でもなかなか説明出来ない問題を驚くべき解法で私に説明してくださいました。その解法の鮮やかさは、やっと最近になってわかるようになりました。先生の雑談は先見性があり、最近の物理の予言のようでした。先生の授業ノートは一生の宝物です。先生が家庭教師でいるなんて本当に勿体ないです！研究に戻られた方がいいです！！
by 月のカケラ (2009-03-10 15:44)