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昨日の問題の答え [科学ネタ]

昨日の問題をもう一度載せておきます。
(問題)
お風呂の栓などで水を抜くと渦ができます。
そのときの渦はどちら回りにできるでしょうか?
①右回り(clockwise)
②左回り(counterclockwise)
③その時々で変わる

(解答)
この答えは②と言いたいところですが
実際は③です。
確かに台風などを見れば北半球では左回り
南半球では右回りで
これは地球が自転していることによって
コリオリの力が生じているからです。
ここまでは合っています。
今回取り上げた問題ですが
よく物理クイズなどの本に答えが②で載っていますが
果たしてそれを実際に実験してみた人はどれくらいいるでしょうか?
(私が今回実験してみたら
我が家の洗面所では五回中四回は右回りでした。)

…というのも
実はコリオリの力が運動の中で大きな影響力を示すのは
台風のように巨大で
空気中で比較的摩擦等の影響を受けにくい場合に限ります。
確かに洗面所の水やお風呂にもコリオリの力は働くのですが
それは本当に小さすぎる力で渦を右回りにしたり
左回りにしたりできるものではありません。
それよりも洗面所の形状や家の傾き
その時々の状態の方がはるかに影響が大きいです。
これらが仮にすべてフラットだとしても
洗面所の目に見えないくらいの凹凸の方が
コリオリの力よりもはるかに大きな影響を及ぼします。
ですから正解は③になります。

今回は意地悪な問題でしたが
この問題を通して私が伝えたかったことは
(特に学生に伝えたいことですが)
教科書や本に書いてあることを鵜呑みにしないで
欲しいということです。
物理の教科書にはおかしなことが沢山書いてあります。
フックの法則など実験してもほとんど成り立ちません。
他のものも真空だったり、様々な理想状態を仮定しています。
ですから、その教科書に書いてあることが現実に
そのまま起こることはまずなく
様々な影響を考えて
今回の現実の事象の場合
どのファクターが一番影響が大きいかを
吟味しなければ
とても物理学的とは言えません。
数学のような作り上げた理想の世界というのはありません。
勿論、これはその理論に意味がないということではなく
現実に理論を返すときは
どの程度当て嵌まるかというのを
評価しないと意味がないということなのです。

私は今回の原発事故で
様々な科学者が実は教科書上の話しか
できないことに愕然としました。
原発設計者の方がテレビで
最悪の想定としてチャイナシンドロームのようなことが
起こるとおっしゃっていましたが
それは正しく教科書上の話で
それが起こる可能性は誰も何もしない状態でも
天文学的な、普通の人は起きないといってもいいくらいの確率であり
しかも現実には水で冷やしたり、何かしらのことはするわけですから
それを最悪の想定とするのはどうか?
と私は思います。
勿論理論上確率がゼロではないのですが
それはかなりの理想状態においてです。
科学者でも、というか科学者にありがちなことですが
その辺の評価のバランスが崩れている方が多く
専門家になればなるほど教科書を信奉する傾向にあります。

私たちは現実の世界に生きているのであって
常に総合的な判断をしなければなりません。
それはリスク管理の記事で書いた通りです。



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