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チェルノブイリに学ぶ [科学ネタ]

私が今まで自宅退避外の離れた地域では
あまり放射線のことは過度に気にし過ぎない方が
いいと書いてきたのは
一つの根拠があります。
それはチェルノブイリ事故の教訓からです。

チェルノブイリ事故では半径30㌔以内でしか
放射線による健康被害は
報告されていません。
しかも全てヨウ素による
主に牛乳が原因と見られる
子供の甲状腺癌が増加しただけで他の
放射線による健康被害は報告されませんでした。
(この地域の1981年から85年までは甲状腺癌の症例は39例だったものが
事故後、10年間で565人の子供が甲状腺癌になりました。
手術の成功率は高かったものの死亡例もベラルーシでは見られました。)

ところがチェルノブイリ事故では放射線以外が原因の死亡者が多数出ました。
それはストレス起因性の疾病でうつ病、不安症、その他の精神的な障害です。
また、今日では放射線の被曝に起因するものではないとされている
慢性気管支炎、心臓病、糖尿病の発症が事故後日を追うごとに増加したことが
報告されています。
あとはソ連の治療体制や衛生面の不備による伝染病でなくなった方もいます。

私は放射線の生体内への影響は様々な要素があって
評価するのが難しいと今まで書いてきました。
ただ言えることはチェルノブイリの教訓からも放射性物質そのものの
被害よりも
被災者や原発付近に住まれている方の精神的ストレスが
非常に心配です。

家を離れて暮らすだけでも大変なのに
いつ帰れるかわからない
放射線の影響は目に見えないので恐ろしい
などの非常に大きなストレスを感じておられると思います。
それに加えて政府が基準値を越えているが
しばらくの間は大丈夫だ
というような
大丈夫か大丈夫じゃないのかが分からないような
無駄な発表
あまり起きそうもない最悪の事態をことさらに
強調する科学者
などなど
ストレスの元となるものが沢山ありすぎて
そちらの方が健康に悪影響を与えることは
チェルノブイリの結果から見ても明らかだと私は思います。

このての原発事故で放射線ヨウ素以外の放射性物質による健康被害は皆無ですので
線量さえ気をつけていれば
離れた場所では安全だという
安心を持つのがまず一番大切ではないでしょうか。
この説明やカウンセリングをもっと増やさないと
ストレスによる健康被害がチェルノブイリのように多数でることは間違いありません。
そのあたりの態勢が全く整っておらず、結局不安ばかりを増しているようにしか
私には思えません。
自宅退避とか政府は比較的気軽に発表しますが
その安全なのか安全ではないのかというグレイソーンが
さらに不安を煽り、挙句の果てには自主退避などということを
発表しだしています。
これは全くその地域で生活されている方の精神面をケアしてないので
はないでしょうか?
全く安全な東京にいても外国人がどんどん逃げ出していくと
不安になる人もいるのです。
福島の方は本当に大変だと思います。

半径30㌔以上離れた地域で、心配になって非難されるかた
海外に行かれる方など
それはそれでいいと私は思います。
なによりも個人の精神の安定が保てることが第一ですから
自分が安心だと思える場所まで避難して
気持ちが落ち着いたら戻るということで構わないと思っています。
これから長期戦になりますので
精神的なストレスのためにも
避難地域外の人はあまり過度に心配し過ぎない方がいいのではないかと思います。

私も、この家庭教師ブログで
原発のことについて書き過ぎて
もしかしたらそれで不安になった方もおられるかもしれません。
そういう意図は一切ありませんので
そう感じた方がおられたら誠に申し訳ありません。
これからはなるべく普通の記事を書いていくようにしたいです。
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コメント 3

村上吉文

こんにちは。ご主張に同感です。さて、ストレスによる被害の件、私もどこかで正式な報告書を読んだのですが、ソースを忘れてしまいました。もしご存じでしたらURLなどを教えていただけませんか。よろしくお願いいたします。
by 村上吉文 (2011-06-15 00:08) 

物理屋hν

ブログを読んで頂きありがとうございます。
私は自分の持っている書籍と論文を参考に書きましたが
インターネット上にアップされているものとしては
http://mzpubdata.maruzen.co.jp/www09/mzpubdata/stress/Stress089.pdf
で、この論文の参考の欄もアクセスされると
より全体像がわかると思います。
この手の被害と言うのは統計的なもので
統計データは簡単に自分の説を優位にするように
加工できますので、様々な説が存在します。
私がよく理解できないのは年間100~200mシーベルト
被曝した人の癌のリスクは、被曝していない人の1.08倍ですが
簡単な例でいいますと喫煙者の発がんリスクは
非喫煙者の1.6倍です
煙草は気にならないが、少々の被曝でも気になるという方のリスク感覚です。
ただこれも精神的に気になって気になって仕方がないという場合は避難した方がいいと思います。
ストレスのリスクは一般的にそれより遥かに高いからです。
by 物理屋hν (2011-06-15 22:59) 

村上吉文

ありがとうございます。
さっそく拝見いたします。
今後も有益な記事を楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
by 村上吉文 (2011-06-16 01:19) 

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