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超流動について [科学ネタ]

(温度について)
本題に入る前にここで温度について
書いておきます。

日本では一般には水の沸騰する温度を100°C
氷ができる温度0°Cとして、その間を100等分した、
セルシウス度、すなわち摂氏を使っています。

アメリカやヨーロッパ北部などでは、
その当時知られていた最低温度(-17.8℃)を0°F
としたファーレンハイト(華氏)を使っています。
この利点は気温のほとんどが0~100°Fの間に
入るという点にあります。

科学ではこの二つではなく
ケルビンという単位を使います。
ケルビンは絶対零度を0ケルビンとします。
因みに絶対零度(-273℃)より低い温度はありません。
これは、熱の正体が分子の運動だからです。
その運動が止まる(実際には不確定性原理により微小運動しますが)
温度が絶対零度なので、それ以下の温度は存在しません。

(超流動)
極低温になると様々な面白い現象が起こります。
今回はその中で超流動という現象について
説明したいと思います。

ヘリウム(以下Heと書きます。)は最も液化しにくい気体で
沸点は4.2K(ケルビン)です。
この液体になったHeを更に冷やすと
2.17Kで相転移をして突然粘性がなくなってしまいます。
これをヘリウムⅡと呼びます。
ヘリウムⅡはどんな隙間でも何の抵抗もないので
するすると流れてしまいます。
この現象を超流動と言います。

この超流動の典型的な現象例を書いておきます。
グラスに水を入れると水はグラスに入ったままです。
当たり前ですが[わーい(嬉しい顔)]

ところが、
この液体になったヘリウムⅡを
グラスにいれると、
なんとグラスに入れたヘリウムⅡが次々と
グラスの縁を上り、こぼれて行ってしまいます。

一見重力に反したこの現象ですが
実はこれはサイフォンの原理で理解することができます。
ヘリウムⅡはHe原子同士の引力が弱い為に
グラスの壁の原子からの引力が大きくなって、
ヘリウムⅡが壁の表面に薄い膜を作ります。
そこをヘリウムⅡがサイフォンの原理に従って
流れ落ちます。
普通の液体は粘性がある為にグラスの壁に
ピタリとくっついてしまいます。

サイフォンの原理はお風呂の浴槽の壁に
濡れタオルを片方が浴槽の液面にふれるようにかけると
外にぽたぽた浴槽の水がこぼれ落ちていくことで
確認できます。

簡単に言うとそれが極低温になり粘性を失った
ヘリウムⅡで起こるということです。
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