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チオ硫酸ナトリウム [雑感]

一般の人にはもしかしたら
馴染みが少ないかもしれないですが
入試の化学ではよく出る
チオ硫酸ナトリウム、というのがあります。
普通五水和物ですね。
推理小説好きの人はご存知ですかね。
青酸カリの解毒剤で注射したり、とかありますよね。

入試でも基本的に
還元剤として使います。
還元剤というのは
電子をあげる親切な人です。
この世は電子の奪い合いなので(笑)

フッ素や塩素や臭素、ヨウ素なんかは
ハロゲンと呼ばれる暴走族みたいなのもので(笑)
基本、電子をくれ〜〜って言う気持ちが強すぎて
善良な市民から電子を取ってて
しまう不届き者ですが
そんな方々に
惜しみなく電子をあげるのが
チオ硫の役割です。

電子二個も投げちゃいます。
(チオ硫1人当たりは一個なので一価です)
自分たちは2人でジスルフィド結合みたいに
くっついちゃって

それで脱ハロゲン剤として使われますが
大学入試では
そのうちのヨウ素還元滴定
(チオ硫のためにあるような名前(笑))
がよく出ます。

代表的なのは
業界3番目くらいの酸化剤としての強さの
過酸化水素水
この濃度がわからないとします。
過酸化水素の量が分かればいいですね。

それに
それより弱いヨウ化物イオンを入れる…
ヨウ化カリウム水溶液でいいです。

そうすると過酸化水素は
ヨウ化物イオンに、電子をよこせ言うて
どんどん電子を奪い取ります。
それでヨウ化物イオンからヨウ素に戻るんですが
ここで都合がいいことに
使った過酸化水素と同じだけヨウ素ができるんです。
だからガンガンヨウ化カリウムを入れます。
過剰量。
そうすると
量がわからない過酸化水素は
全部ヨウ素に綺麗に変わっています。
余りはヨウ素イオンのまんまで関係ないですし
ヨウ素の方の量を測れば
めでたく過酸化水素水の量がわかります。
なんでこんなまどろっこしい
過酸化水素を全部ヨウ素に変えるようなことを
やるかと言いますと
ヨウ素にはかの有名なヨウ素デンプン反応があるので
測りやすいからです。
終点が目に見えるんです。

これに限らず
ヨウ素に変えてあげられるものがあれば
ヨウ素に変えて
その量を測ればいいんです♩
銅イオンの定量とか、よくやりますよね。
あと…ヨウ素は酸化滴定も出来ます。
ヨウ素より弱い酸化剤二酸化硫黄
硫化水素を使って。

デンプンはヨウ素(普通のもの、イオンじゃないです)
を捕まえますので
過酸化水素出身の
ヨウ素を全部捕まえて
くれるんです。
それで青紫色になります。

そのデンプンが捕まえた
ヨウ素に
濃度をきっちり測った
チオ硫で今度は電子をあげて
イオンに戻れ〜とします。
完全にヨウ素がヨウ化物イオンになったところで
デンプンが握ってたヨウ素は全部ヨウ化物イオンに
なってなくなり、液が青紫→透明になります。
そこで終了〜!
使ったチオ硫を確認します。
チオ硫とヨウ素は2:1で反応しますので
チオ硫のモル数の半分がヨウ素のモル数で
ヨウ素と同じモル数が過酸化水素のモル数となって
未知の過酸化水素水の濃度がわかります[ひらめき]

ヨウ素さんは
イオンから元に戻され
またイオンにされ…で
大変な役回りです。
こんなまどろっこしいことをやるのは
ヨウ素デンプン反応でしっかり終点がわかるからですね。
…にしても
大忙しですねえ。

あ、
因みに化学式はNa2S2O3です。
硫酸H2SO4みたいに、Sにはお供の酸素が4人も
ついてるのですが
その1人がSに置き換わったのがチオ硫ちゃんです。



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