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中間管理職物理屋 [雑感]

数学に論理性
これは
ご飯にお味噌汁くらい
切っても切れない関係ですが
現在の日本の数学教育ではなんとも
おかしな状況が生まれているわけです。

近代以降の数学の展開というのは
全てを計算的プロセスに還元していく
ということでした。
卑近な例をあげますと
幾何の問題を座標を導入して
単なる計算問題に還元するというような
ことです。

その計算的プロセス還元主義の最たるものが
数学の論証を支える論理そのものを
計算的に記述するという
19世紀以降に始まった数学です。

現代数学はこの記号論理学と共に始まった
と言ってもいいくらいです。

記号論理学は非常に簡単に分けますと
命題論理と述語論理に分けられます。
まあ本当はphaseの違いで
このような分け方自体に問題がないわけではないですが。

しかし学校教育では何故か命題論理だけを
異様に学びます。
これは教育的配慮なのか
なんなのかは分かりませんが
これによって数学が歪な形で教えられている
ことは確かでしょう。

そしてこの歪さは
大学以降の数学を勉強していく上で
ネックになってきます。
ある段階で数学をやる人は
ちゃんと数学基礎論を
学び直さないといけなくなります。
(ま、当たり前か(笑))

このことが
高校までの数学と
大学以降の数学の大きな断絶を生み
大学教授が作る入試問題が
時折
高校生には不思議、不可解に
思える原因もここにあるでしょう。

この橋渡しをしなければならない
立場にある私はいつも
非常に大きなストレスを感じます。

中間管理職なんです、私。
真剣に教えると莫大な時間がかかり
それを教えた効果が目先の入試に役に立つか
その後、数学科にいく人以外に役立つか
という
実務的な問題と
大袈裟にいうと真実の数学の狭間とで
板挟みになるからです。

そこで中間管理職の
私なりの妥協点を
生徒に示すことになるわけです。
正しくはないけど
こう考えておいた方が楽だと言う……

まあ数学の場合は大きな要因として
述語論理に触れないことがあるのは明白です。
ですからそろそろ
述語論理を中学くらいからしっかり勉強した方がいいかも…
と思うわけですが
これをやったらより数学嫌いが増えて
数学を数学としては厳密に使わない
他の科学者の道も狭めてしまうことになるかもしれません。
中学数学で数学をやめる人が遥かに増えます。
ですから致し方ないです。

苦情は私がお引き受け致します。

やりたいことはあって
それが正しいことはわかっていても
実務上できない
中間管理職は辛いのであります。


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