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白氏文集 [アートと私]

白氏文集(はくしもんじゅう)は
唐の詩人白居易の詩文集です。

私が小さいころ
家には漢文等の全集が色々とあり
その中で小学校、中学校と色々と雑読しては
楽しんでいた本です。

時々中学生にどんな本を読んだらいいか
聞かれることがあるのですが
そんな時には白氏文集を挙げることもあります。
何よりも漢文の勉強になりますし(笑)
漢文は句法を覚え、単語や語句をある程度暗記すれば
色々簡単に読めるので非常にお得です。
これも先人の恩恵です。
レ点、返り点で日本語のように中国語を読んでしまう
これは革命的な発見ではないかと
個人的にいつも思います。

白氏文集を読む利点は何か?
最近は何かを薦めると
「先生、それを読むとどんな良いことがあるんですか?」
と聞かれます
良いことって……[ふらふら]
別に読書は何かのためにやるのではなく
楽しいからやるものだと思うのですが…
私が速読を嫌いなのもその理由です。
速読しなきゃ
というときはきっと役立つ情報やら何やらを短時間で
沢山手にいれたいとか、そんな気持ちですよね。
そういう気持ちで読書をするのが本来私は好きではないんです。
まあ、仕方なくそうなる時も確かにありますが…

ここで敢えて白氏文集の読んで得するところを
挙げますと
それは平安時代以降の有名な日本文学の多くに多大な影響を
与えているということです。
源氏物語や枕の草子、太平記…
これはパクリじゃないかという日本文学のお話もよくあります。
それくらい日本人の多くに読まれた、いわば日本文学の源流をなすものだからです。
それを理解すると細かい文学の背景が見えることもあります。
多層的な理解ができるのです。
漢詩を味わうのは
初学者には非常に敷居が高いですが
白居易の詩は非常に平易で分かりやすいですし
文章も非常に面白いものが多いです。
しかも短編が多いので読みやすいです。

ここで白居易について知らない人に簡単に解説しておきますと
白居易は字(あざな)を楽天といい
白楽天とも呼びます。
楽天はここから名前をとったんですかね(笑)
そんなことはありませんか(笑)

白居易は非常に優秀な人で若くして29歳で科挙に合格します。
科挙は隋の時代から1900年初頭まで1300年に渡って続いた
官吏登用試験で、中国では伝統的に賄賂が認められていましたので
役人になれば非常に大きな富を得られるため、科挙は全盛期で3000倍以上の
倍率がありました。
大半の人は一生受からず、幼いころから勉強をし続け、
大体30代後半くらいで合格するのが平均的な合格者でした。
中国は良くも悪くも昔から完全実力社会なのです。
戦乱が長く続き、常に異民族による侵略がありましたので
埋もれた優秀な人材を見つけ出すことが非常に大切だったのです。
現在でも父親が共産党員であっても、共産党員にはなれません。
何のツテもないんです。しかも65歳定年制があり、党書記でも誰でも
それ以降の年齢では能力が落ちるということで強制引退です。
話が逸れました。
この科挙試験はカンニングが見つかると死刑[がく~(落胆した顔)]です。
あまりにも覚えることが膨大だったため、数十万字が書かれた
カンニング下着まで残っています。
その科挙試験の最難関と言われる進士科に合格した白居易は
左遷されるなど紆余曲折ありましたが最終的には刑部尚書
今でいう法務大臣の地位まで出世しました。

そんな詩人としても名を馳せた白居易の様々な
才能に触れることができるのが白氏文集であり
多くの歴史上の日本人も影響を受けてきた不朽の名著なのです。
気が向いたら一読することをお勧めします。
何かしら役に立つかもしれませんし、役に立たないかも知れません。
それは読者の人それぞれの生き方によると思います。
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