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第4講偏光(スピン)について [ストリングについて]

前回は重力について書きました。
今回はスピンという考え方を理解していただけるように
偏光について講議を進めていきます。
今日の講議は分かりやすい光について考えるために「偏光」
という題名になっていますが、一般に今日述べる性質は素粒子に共通したもので
のちに「スピン」と言い換えて講義をするものです。
いきなりスピンの話を書くと理解しにくい方もいると思うからです。

超弦理論では偏光はStringの振動のことです。
ですから偏光を考えることによりStringの振動の方法を考察してみようという
わけです。

光には二種類の振動があります。
紐の端を固定して揺らすと
縦に揺らしたり、横に揺らしたりできるのと同じです。
(上下方向と水平方向です。)
この紐と同じように電子を揺らすと電場や磁場が変化し
電磁波として伝播していきます。
これが電磁波で、可視光つまり私たちが日常
光と呼ぶものも電磁波の一種です。

紐と同じように電磁波にも二種類も振動方向
つまり偏光があるわけですが
一般に太陽光や電球など大抵の光源からの光というのは
特定の方向に偏光していません。
「反射した時に初めて偏光する」のです。

偏光には直線偏光、円偏光、楕円偏光という3種類があります。
この偏光を利用したものは私たちの生活の中にあふれています。
偏光フィルター(偏光板)というものがあります。
理科の実験で見た方も多いと思います。
偏光板を90度傾けると真っ暗になり、更に90度傾けるとまた光が通ります。

この偏光フィルターは様々なところで使われています。
カメラに偏光フィルターを装着すると、方向により反射光の光量をコントロールできます。
これによって水辺などで撮影するときに反射光を抑制できます。
光磁気ディスクには、磁気によって偏光面が回転する性質
を持った物質が含まれており、レーザー光を照射して反射してきた
光の偏光面を検出してデータを読み取ることができます。
液晶ディスプレイの表面と裏面には、特定の直線偏光のみを通す
「偏光フィルター」が貼られており、液晶によって各画素ごとに
旋光性や複屈折性をコントロールすることで、映像を表示しています。
最近話題の3D映画やテレビも偏光を使ったものもあります。

自然界でも多くの生物が偏光を利用して生活しています。
残念ながら人間の眼は光の強度と色を識別することはできますが
偏光はほとんど識別することができません。
わずかに網膜の中心部に偏光特性があって
「ハイディンガーのブラシ」という有名な方法で偏光をぼんやりと見ることは
出来ますが、これを見るためにはトレーニングが必要で
すべての人が確実に見れるわけではありません。

それに対して昆虫は偏光を識別できます。
昆虫の複眼の中には、特定の偏光方向に敏感な視細胞が
色々な方位に規則正しく集合しているのです。
ハチは天空の光の偏極を元にして
太陽の見えない曇空であっても方向を間違えずに
長距離を飛ぶことができます。
カメムシやタマムシなどの一部の昆虫の体は
液晶のような構造色を持っており、片方の円偏光のみを選択的に反射します。

このように身の周りには沢山の「偏光」があります。
もし偏光板が手に入るようでしたら
是非、偏光板で色々なものを見てみてください。
そうすれば、偏光するものが沢山あることを納得できると思います。

最初に述べましたように実はこの「偏光」という性質は光に限ったものではありません。
「重力」も偏光します。
このあたりをStringからどのように説明できるのか
について
次回は講議をしていきたいと思います。
それではまた[手(パー)]


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