第6講 ミンコフスキー空間 [相対性理論講義]
前回の補足です。
光速度に近い速さで飛んでいる素粒子は寿命が延びます。
しかもそれは実験で確かめられているのです。
ミュー粒子がパイ粒子からできるニュートリノ振動という現象がそうです。
今日はミンコフスキー空間について講義します。
力学や電磁気学を相対論で書き直さなければなりませんので
本格的に難易度が上がります。
ここからは大学数学も現れざるを得ません。
あまり細かいことは気にせず、結論をしっかり理解して頂ければそれで十分です。
(約束)このブログではワードのように二乗が表現できません。
何か表現する方法があるのかも知れませんが…
今のところ分かりませんので、ベーシックと同じように
2の二乗は 2*2とアスタリスクで書くことにします。
分かりにくいので極力紙に書いて表現をするようにしますが
先に有名なE=mc*2について書こうとも思いましたが、
ここでミンコフスキー空間の基本を導入した方が後々わかりやすいと思います。
ミンコフスキーはチューリヒ連邦工科大学の数学者で、
若きアインシュタインも学生として講義をとっていたそうです。
一般相対性理論で行き詰っていたアインシュタインが突破口としたのも
このミンコフスキー空間です。
ミンコフスキー空間ですと、イメージしにくい相対性理論も非常に理解しやすいです。
ただ……
そのミンコフスキー空間を理解するのが一般の方にはやや難解なのですが
まずは距離について考えたいと思います。私たちが普段使っている空間の次元だけですと左図のように三平方の定理で距離が与えられます。これは何次元でも同じです。二点間の座標の各成分の差の二乗の和のルートが距離になります。しかし空間の他に時間もvisual化できないか、そう考えたのがミンコフスキーです。そこでcτ=tというt(cは光速、タウは時間ですのでtは分かりにくいですが距離の次元です。)を使って虚数軸を導入して左図のように時空4次元を定義しました。
最初は難しいので簡単な例でミンコフスキー空間を扱う練習をしてみます。
4次元空間の点(x,y,z,t)を世界(world point)といい、粒子の運動を世界線(world-line)というベクトルで図示します。単純な一次元運動についてxとt(時間ではなくcτ=tであることに注意)をグラフにします。
イメージできるでしょうか?
①は時間とともにx軸正方向に前進しています。②は途中で戻ってきます。
③は光速で粒子が前進した場合です。cτ=tですのでcτ=xとなるからです。これが重要です。そうすると④が光速でx軸負の方向で移動していることが分かると思います。実はこのミンコフスキー空間の素晴らしいところは過去も記述できるというところにあります。ここでは分かりにくいのでtが正の場合だけを書いています。そうすると、粒子の動ける範囲が光速度不変の原理より⑤の赤斜線部に限ることが示されます。これについて詳しく説明します。仮にt=1/2xという直線があるとすると、これはx=2t=2cτになり速度が光速の二倍になってしまいます。これは光速度不変の原理に反します。
ですから⑤の範囲以外に粒子は存在できません。この考え方が後々大切になります。
最後の⑥の図は(x,y,t)で考えると、粒子の動ける範囲が円錐状になることを示しています。
これを光円錐(light cone)と呼びます。
今日はこの辺でおしまいです
次回はミンコフスキー空間を使ってローレンツ変換を記述し、
ドップラー効果を相対性理論で記述し直します。
このように相対性理論で古典力学を一つ一つ修正しなければなりません。
逆に言えばそれだけ相対性理論が素晴らしい理論だということです。
光速度に近い速さで飛んでいる素粒子は寿命が延びます。
しかもそれは実験で確かめられているのです。
ミュー粒子がパイ粒子からできるニュートリノ振動という現象がそうです。
今日はミンコフスキー空間について講義します。
力学や電磁気学を相対論で書き直さなければなりませんので
本格的に難易度が上がります。
ここからは大学数学も現れざるを得ません。
あまり細かいことは気にせず、結論をしっかり理解して頂ければそれで十分です。
(約束)このブログではワードのように二乗が表現できません。
何か表現する方法があるのかも知れませんが…
今のところ分かりませんので、ベーシックと同じように
2の二乗は 2*2とアスタリスクで書くことにします。
分かりにくいので極力紙に書いて表現をするようにしますが
先に有名なE=mc*2について書こうとも思いましたが、
ここでミンコフスキー空間の基本を導入した方が後々わかりやすいと思います。
ミンコフスキーはチューリヒ連邦工科大学の数学者で、
若きアインシュタインも学生として講義をとっていたそうです。
一般相対性理論で行き詰っていたアインシュタインが突破口としたのも
このミンコフスキー空間です。
ミンコフスキー空間ですと、イメージしにくい相対性理論も非常に理解しやすいです。
ただ……
そのミンコフスキー空間を理解するのが一般の方にはやや難解なのですが
まずは距離について考えたいと思います。私たちが普段使っている空間の次元だけですと左図のように三平方の定理で距離が与えられます。これは何次元でも同じです。二点間の座標の各成分の差の二乗の和のルートが距離になります。しかし空間の他に時間もvisual化できないか、そう考えたのがミンコフスキーです。そこでcτ=tというt(cは光速、タウは時間ですのでtは分かりにくいですが距離の次元です。)を使って虚数軸を導入して左図のように時空4次元を定義しました。
最初は難しいので簡単な例でミンコフスキー空間を扱う練習をしてみます。
4次元空間の点(x,y,z,t)を世界(world point)といい、粒子の運動を世界線(world-line)というベクトルで図示します。単純な一次元運動についてxとt(時間ではなくcτ=tであることに注意)をグラフにします。
イメージできるでしょうか?
①は時間とともにx軸正方向に前進しています。②は途中で戻ってきます。
③は光速で粒子が前進した場合です。cτ=tですのでcτ=xとなるからです。これが重要です。そうすると④が光速でx軸負の方向で移動していることが分かると思います。実はこのミンコフスキー空間の素晴らしいところは過去も記述できるというところにあります。ここでは分かりにくいのでtが正の場合だけを書いています。そうすると、粒子の動ける範囲が光速度不変の原理より⑤の赤斜線部に限ることが示されます。これについて詳しく説明します。仮にt=1/2xという直線があるとすると、これはx=2t=2cτになり速度が光速の二倍になってしまいます。これは光速度不変の原理に反します。
ですから⑤の範囲以外に粒子は存在できません。この考え方が後々大切になります。
最後の⑥の図は(x,y,t)で考えると、粒子の動ける範囲が円錐状になることを示しています。
これを光円錐(light cone)と呼びます。
今日はこの辺でおしまいです
次回はミンコフスキー空間を使ってローレンツ変換を記述し、
ドップラー効果を相対性理論で記述し直します。
このように相対性理論で古典力学を一つ一つ修正しなければなりません。
逆に言えばそれだけ相対性理論が素晴らしい理論だということです。
2009-05-15 10:33
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コメント(2)
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相対性理論、とても勉強になります!
by 師子乃 (2017-09-20 23:52)
高校の数学でさえままならないのに
良く理解できました
他のページもみてみます
by ほげたらぽん (2018-02-05 14:26)