第3講 光速度不変の原理 [相対性理論講義]
前回の軽い復習から入ります。
前回は相対速度の考えを学んでいただきました。
ここがかなり大切なので復習してから
今日の授業に入ります。
時速40㌔の電車の中で時速80㌔で進行方向に向かって
球を投げます。
これを電車の中から見ると時速80㌔で変わらないのに対して
電車の外から見ると40+80=120㌔に見えるのです。
ここまでは大丈夫でしょうか?
相対速度とは観測者が何か等速で動くものに乗って、感じる速さです。
上の例では80㌔が相対速度にあたります。
(相対速度)=(自分の速度)ー(相手の速度)ですので、
地面から見た球の速度(自分の速度)を出すには、上の式に
80=Xー40でX=120㌔となります。
簡単に言うと速度の足し算ができるということです。
ところが、アインシュタインは光の場合は速度の足し算が
成り立たないのではないかと思ったのです。
(光速度不変の原理)
アインシュタインは自分の16才の頃に感じた疑問
即ち、光を光速で追いかけたらどうなるのか?
について驚くべき発想で答えることになります。
それが「光速度不変の原理」です。
光速こそが絶対速度(座標系に依存しない)で
他のものは相対的だというのです。
この観点から世界を見ると今までの「当たり前」が
「当たり前」ではなくなります。
例えば「時間」も相対的になります。
時間は観測者の位置によって異なるのです!
また、相対性理論は時間の概念自体を変えてしまいます!!
これらの楽しいお話は、数学的な証明と共に
順番にやっていきますのでお楽しみに
ここでよくアインシュタインの本にでる
マイケルソン・モーリーの実験についてお話しておきます。
この実験は地球の公転面に対して水平に光を発した時と
垂直に光を発したときで速度が変わらなかったという実験とされています。
これは、最初に復習した速度の足し算を思い出してください。
光の速度が座標系によらず一定でなければ
地球の公転面に対して水平に光を発した時と
垂直に光を発した時では、前者では地球の公転速度が足されるため
光速が速くなるはずなのです。
しかし、変わらなかった。だから光速は一定であると多くの本には書かれていますが
事実は少し異なります。アインシュタイン自身もこの実験のことはそんなに詳しくはなく
ここから着想したのではないことを自叙伝に書いています。
アインシュタイン自身もうまくはいきませんでしたが、光速度一定に関する
実験をしており、他にも13の様々な人の実験がアインシュタインの論文には
載っていて、特にマイケルソン・モーリーの実験だけが特別だったわけではありません。
しかも光に関してニュートンは粒子だと考えていましたが、
それ以後アインシュタインが現れるまでは、
光は波であるというのが定説でした。
実際に我々が日常見る光は波として振舞いますので当然と言えば
当然です。マイケルソン・モーリーも波と考えて波の干渉実験のつもりでした。
しかし、干渉が起こらない(干渉は位相差がないと起きません)ので
おかしいと思っていたのです。(光速度が不変だから速度の差がなく干渉が起こらないのです)
それがアインシュタインの論文に掲載され、光速不変の証拠のように取り上げられるように
なったのです。アインシュタインは光は粒子だと考え、光電効果を発表しました。
それでノーベル賞を貰ったことは第2講で述べました。
光速度不変の原理を認めると
様々な我々の常識的な感覚とは合わないことが起きてきます。
今日は同時刻について考えます。
ここでついに初写真導入です
これからはブログに写真もいろいろと
取り入れていきたいと思います。
次に説明する内容の重要ポイントを先に言っておきます。
ポイントは、
光速より速いものは存在しないので光は速度の足し算ができない
ということです。
(同時刻とは?)
左に電車の絵があります。その中心には光源があり、この光が左右の壁に到着する時間が、観測者が電車の中にいる場合と外にいる場合で異なることを示します。まず(図1)は観測者が中にいる場合です。光の速さをc、電車の速さをV、電車の中心から壁までをL、とします。(図1)の両端の壁につく時間は当然、(時間)=(距離)÷(速さ)で左図1のtになります。
次に観測者が外にいる場合(図2)、光が右壁につく時間をt1とすると、その間に電車もVt1進む(斜線部)ので、実際に光が進まなければならない距離はL+Vt1となり、図から①の時間が導かれます。同じように左の壁は今度は近づいて来るわけですから、下段の図から②が導かれます。ここで①と②を比べると①の方が長くなってしまう(分母が小さいから)のです!これは座標系(場所)によって、時間は異なるかもしれない!!ということなのです。
補足)
先程の図2でもし光にも速度の足し算ができれば、
相対速度を考えて光が右に行く速度はc+V(この講義の最初の例を思い出してください)
左に行く速度はc-Vになるのです。
そうすると同じ式を書くと
(c+V)×t1=L+V×t1
(c-V)×t2=L-V×t2
となりこれをt1、t2について解くとt1=t2でちゃんと同時刻になります。しかもこの時間は観測者が
電車の中にいる(図1)とも同じになるので、すべては「同時刻」なのです。
ところが、光速には速度の足し算が成立しないので、
観測者の場所(座標)によって時間がかわるのです。
光に速度の足し算ができないと、こんなに不思議なことが起こるわけです。
凄く速い乗り物に乗っている人と地上にいる人では時間が違うのです。
不思議だとは思いませんか?
相対性理論が分かれば、これは当たり前になります。
これからも不思議なことが沢山起こるので楽しみにしていてください。
次回はローレンツ変換を講義します。最大の山場なので、よく復習しておいてください
前回は相対速度の考えを学んでいただきました。
ここがかなり大切なので復習してから
今日の授業に入ります。
時速40㌔の電車の中で時速80㌔で進行方向に向かって
球を投げます。
これを電車の中から見ると時速80㌔で変わらないのに対して
電車の外から見ると40+80=120㌔に見えるのです。
ここまでは大丈夫でしょうか?
相対速度とは観測者が何か等速で動くものに乗って、感じる速さです。
上の例では80㌔が相対速度にあたります。
(相対速度)=(自分の速度)ー(相手の速度)ですので、
地面から見た球の速度(自分の速度)を出すには、上の式に
80=Xー40でX=120㌔となります。
簡単に言うと速度の足し算ができるということです。
ところが、アインシュタインは光の場合は速度の足し算が
成り立たないのではないかと思ったのです。
(光速度不変の原理)
アインシュタインは自分の16才の頃に感じた疑問
即ち、光を光速で追いかけたらどうなるのか?
について驚くべき発想で答えることになります。
それが「光速度不変の原理」です。
光速こそが絶対速度(座標系に依存しない)で
他のものは相対的だというのです。
この観点から世界を見ると今までの「当たり前」が
「当たり前」ではなくなります。
例えば「時間」も相対的になります。
時間は観測者の位置によって異なるのです!
また、相対性理論は時間の概念自体を変えてしまいます!!
これらの楽しいお話は、数学的な証明と共に
順番にやっていきますのでお楽しみに
ここでよくアインシュタインの本にでる
マイケルソン・モーリーの実験についてお話しておきます。
この実験は地球の公転面に対して水平に光を発した時と
垂直に光を発したときで速度が変わらなかったという実験とされています。
これは、最初に復習した速度の足し算を思い出してください。
光の速度が座標系によらず一定でなければ
地球の公転面に対して水平に光を発した時と
垂直に光を発した時では、前者では地球の公転速度が足されるため
光速が速くなるはずなのです。
しかし、変わらなかった。だから光速は一定であると多くの本には書かれていますが
事実は少し異なります。アインシュタイン自身もこの実験のことはそんなに詳しくはなく
ここから着想したのではないことを自叙伝に書いています。
アインシュタイン自身もうまくはいきませんでしたが、光速度一定に関する
実験をしており、他にも13の様々な人の実験がアインシュタインの論文には
載っていて、特にマイケルソン・モーリーの実験だけが特別だったわけではありません。
しかも光に関してニュートンは粒子だと考えていましたが、
それ以後アインシュタインが現れるまでは、
光は波であるというのが定説でした。
実際に我々が日常見る光は波として振舞いますので当然と言えば
当然です。マイケルソン・モーリーも波と考えて波の干渉実験のつもりでした。
しかし、干渉が起こらない(干渉は位相差がないと起きません)ので
おかしいと思っていたのです。(光速度が不変だから速度の差がなく干渉が起こらないのです)
それがアインシュタインの論文に掲載され、光速不変の証拠のように取り上げられるように
なったのです。アインシュタインは光は粒子だと考え、光電効果を発表しました。
それでノーベル賞を貰ったことは第2講で述べました。
光速度不変の原理を認めると
様々な我々の常識的な感覚とは合わないことが起きてきます。
今日は同時刻について考えます。
ここでついに初写真導入です
これからはブログに写真もいろいろと
取り入れていきたいと思います。
次に説明する内容の重要ポイントを先に言っておきます。
ポイントは、
光速より速いものは存在しないので光は速度の足し算ができない
ということです。
(同時刻とは?)
左に電車の絵があります。その中心には光源があり、この光が左右の壁に到着する時間が、観測者が電車の中にいる場合と外にいる場合で異なることを示します。まず(図1)は観測者が中にいる場合です。光の速さをc、電車の速さをV、電車の中心から壁までをL、とします。(図1)の両端の壁につく時間は当然、(時間)=(距離)÷(速さ)で左図1のtになります。
次に観測者が外にいる場合(図2)、光が右壁につく時間をt1とすると、その間に電車もVt1進む(斜線部)ので、実際に光が進まなければならない距離はL+Vt1となり、図から①の時間が導かれます。同じように左の壁は今度は近づいて来るわけですから、下段の図から②が導かれます。ここで①と②を比べると①の方が長くなってしまう(分母が小さいから)のです!これは座標系(場所)によって、時間は異なるかもしれない!!ということなのです。
補足)
先程の図2でもし光にも速度の足し算ができれば、
相対速度を考えて光が右に行く速度はc+V(この講義の最初の例を思い出してください)
左に行く速度はc-Vになるのです。
そうすると同じ式を書くと
(c+V)×t1=L+V×t1
(c-V)×t2=L-V×t2
となりこれをt1、t2について解くとt1=t2でちゃんと同時刻になります。しかもこの時間は観測者が
電車の中にいる(図1)とも同じになるので、すべては「同時刻」なのです。
ところが、光速には速度の足し算が成立しないので、
観測者の場所(座標)によって時間がかわるのです。
光に速度の足し算ができないと、こんなに不思議なことが起こるわけです。
凄く速い乗り物に乗っている人と地上にいる人では時間が違うのです。
不思議だとは思いませんか?
相対性理論が分かれば、これは当たり前になります。
これからも不思議なことが沢山起こるので楽しみにしていてください。
次回はローレンツ変換を講義します。最大の山場なので、よく復習しておいてください
2009-02-27 00:02
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コメント(2)
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光速度基準についてのお話であるはずなのに、
速度の足し算をすること自体が時間基準です。
その概念を取れない限り、あらゆる事が成り立たないのは当たり前。
否定するのは悪いことではありませんが、
最低限、特殊相対性理論の大前提は理解した上で
否定しないと、ここを閲覧している他の方々にも理解
しづらいと思います。
by A (2009-09-03 00:04)
検索して、いきなりの否定論かと思ってしまいました。
前言撤回。すいませんでした。
by A (2009-09-03 00:25)